上段の間とは
上段の間は、座敷の奥の一部、または一室全体の床を、周囲の部屋より一段高くつくった部屋である。対面の場で身分の高い人が座る場所として設けられ、床の高さで座る人の格の違いを示す。書院造の大規模な座敷では、上段の間に床の間・違棚・付書院・帳台構などの座敷飾を集中させるのが典型である。
城郭や御殿のほか、名主や庄屋、本陣など、領主や役人を迎えることのあった旧家の住宅にも設けられた。住宅の上段の間は、座敷の奥に畳一、二枚分ほどの一段高い部分を付けるものから、一室全体を上段とするものまで規模はさまざまである。
記録と実物で見分ける手がかり
記録では「上段の間とする」「上段の間が附属する」のように書かれる。埼玉県熊谷市の旧長島家住宅主屋は、名主を務めた旧家の主屋で、田の字形の部屋の西に角座敷を設けて上段の間とし、旧家の風格を示すとされる。大阪府泉佐野市の新井家住宅奥座敷は、上段の間が附属する15畳大の座敷と10畳大の次の間を中心とする。群馬県伊勢崎市の旧相川家住宅主屋は、取次、中の間、上段の間を矩折に並べ、上段の間の南面に一間幅の畳敷の入側を付す。
上段の間の床の高さや座敷飾は、後の時代に改められていることもある。愛知県の犬山城天守(国宝)の一階の上段の間は、押板床・違棚・帳台構を備える書院造の座敷だが、解説によれば、この床は当初は他の部分と同じ高さの板敷で、床を高くし座敷飾をつくったのは文化年間(1804〜1818年)ごろとされる。記事では、現状と当初の姿を区別して書きたい。
参考文献
- 旧長島家住宅主屋|国指定文化財等データベース(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00014738
- 新井家住宅奥座敷|国指定文化財等データベース(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00001201
- 旧相川家住宅主屋|国指定文化財等データベース(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00015406
- 犬山城天守|文化遺産オンライン
- https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/200169
最終更新: 2026.09.27