四方蓋造とは

四方蓋造は、主屋の四周に庇を廻し、本屋根に蓋をかぶせたように見せる民家の形式である。上の屋根と下の庇が二段に重なって見えることから、この名がある。

香川県の村尾家住宅主屋は天保13年の建築で、「敷地奥に南面して建ち、小屋内の部材墨書から天保13年上棟と判明する。寄棟造・鉄板葺で、四周に瓦葺の下屋を廻したいわゆる四方蓋造で、側廻りは改修されたが、軸部等はよく残る。桁行約21メートルと規模も雄大で、山裾に屋敷を構えた旧家の中心的存在である」と解説されている。

本屋根が鉄板葺、下屋が瓦葺と葺材が違う。上下で材を変えることも、二段に見える効果を強めている。

いわゆるという語が付いているのは、地域で通用する呼称であることを示す。全国的な様式名ではなく、讃岐地方の民家を説明する語として用いられる。

下屋との関係

下屋は主屋の外周に差し掛ける一段低い屋根で、一面や二面に付けるのが普通である。四方蓋造はこれを四周に廻した状態を指す。

四周に廻す例は他の地域にもある。愛知県の冨田家住宅木南舎は文政10年の建築で、「切妻造の棟に越屋根を載せ、背面の屋根を下屋まで葺下ろし、四周に下屋を廻す」と解説されている。ただしこの記録は四方蓋造とは書いていない。

高知県の福田家住宅主屋は大正13年の建築で、「入母屋造で、東南西の3面に下屋を廻す」と解説されている。三面にとどまる例である。

現地では屋根を横から見るとよい。上に本屋根、下に一段低い庇が四周を巡り、二段に重なって見えれば四方蓋造の姿である。記録がこの語を使っているかどうかは、地域と記述者によって変わる。

参考文献

文化庁 文化財の紹介 登録有形文化財(建造物)
https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/shokai/yukei_kenzobutsu/toroku_yukei.html
国指定文化財等データベース(文化庁)村尾家住宅主屋/寄棟造・鉄板葺で、四周に瓦葺の下屋を廻したいわゆる四方蓋造
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00003316
国指定文化財等データベース(文化庁)冨田家住宅木南舎/背面の屋根を下屋まで葺下ろし、四周に下屋を廻す
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00013257
国指定文化財等データベース(文化庁)福田家住宅主屋/東南隅の12畳半座敷を中心とした3列8室構成
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00003006

最終更新: 2026.09.11