式年遷宮とは
式年遷宮は、定められた年数ごとに社殿を建て替え、神体を新しい殿舎へ移す神事である。式年は定められた年を意味する。伊勢神宮のものがよく知られる。
文化財の記録では、旧殿の行方として現れる。香川県の宇夫階神社本殿は昭和28年の建築で、「昭和28年の式年遷宮で造営された豊受大神宮の多賀宮御正殿。次の式年遷宮に際し解体、頒賜された。桁行3間、梁間2間、切妻造の茅葺型銅板葺屋根を架ける。縁を廻さず、棟持柱、堅魚木、千木をもつ正式の神明造で、掘立て柱の伝統的工法をよく残している」と解説されている。
頒賜は、用を終えた社殿を他社へ分け与えることを指す。伊勢で建て替えられた社殿が解体され、各地の神社へ移されて再び組み立てられる。
滋賀県の乎加神社本殿は明治初期の建築で、「明治22年の伊勢神宮遷宮に際し別宮を譲り受け、25年に当地に移築したものと伝えられる」と解説されている。ここでは式年遷宮ではなく遷宮と記されている。
記録の読み方
遷宮によって移築された社殿は、建築年と現在地への移築年が異なる。宇夫階神社本殿は昭和28年の造営で昭和51年の移築、乎加神社本殿は明治初期の建築で明治25年の移築である。記録の年代欄に二つの年が並ぶのはこのためである。
建て替えを前提とする仕組みは、掘立て柱という工法と結び付いている。柱を地中に埋める工法は腐りやすいが、定期的に建て替えるならその弱点は問題にならない。宇夫階神社本殿の解説が「掘立て柱の伝統的工法をよく残している」と評価するのは、この関係を踏まえている。
記事に書くときは、その社殿が伊勢から譲られたものか、他社が独自に建てたものかを区別したい。記録の解説文に頒賜や譲り受けの記述があるかが手がかりになる。
参考文献
- 文化庁 文化財の紹介 国宝・重要文化財(建造物)
- https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/shokai/yukei_kenzobutsu/kokuho_bunkazai.html
- 国指定文化財等データベース(文化庁)宇夫階神社本殿(旧多賀宮御正殿)/昭和28年の式年遷宮で造営、次の式年遷宮に際し解体・頒賜
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00004438
- 国指定文化財等データベース(文化庁)乎加神社本殿/独立棟持柱を有する神明造、棟に千木と堅魚木7本を載せる
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00003249
最終更新: 2026.09.10