取水塔とは

取水塔は、ダムや貯水池から水を取り入れるために水中に建てる塔状の施設である。水面から突き出す独立した塔として建ち、管理橋で岸と結ばれることが多い。

宮城県の青下第1ダム取水塔は昭和8年の建築で、「第1ダム上流側左岸寄りに設置された独立塔状の鉄筋コンクリート造取水塔で、内径2.4メートル、高さ16.97メートルの規模を有し、塔頂部において管理橋(青下橋)に連絡する。上中下三段の取水管より取水し、主ダム下流側左岸の量水池に導水する」と解説されている。

上中下三段という記述が、この施設の要点を示している。水位や水質は季節で変わるため、高さの違う取水口を設けて選べるようにする。

同じ水系には隧道も設けられる。青下隧道入口は昭和8年の築造で、「量水池より中原浄水場へ向かう延長696メートルの導水隧道の上口。隧道坑門は、坑口両脇の柱型やコーニス部のマチコレーション飾りにより仕上げられた丁寧な造りの石造ポータル」と解説されている。取水から浄水までが一連の施設群をなす。

外観に意匠を凝らす

近代の水道施設は、実用の構造物でありながら外観に手をかけた例が多い。北海道の旧西岡水源池取水塔は明治42年の建築で、「旧陸軍第7師団歩兵第25連隊用として月寒川上流部に建設された水道施設。内径1.5メートル、高6.6メートルの円柱状煉瓦造基礎上に、六角形平面、下見板張、縦長窓付の木造胴体部と、六角錐形の屋根が載る。井上二郎設計。公園のシンボルとして市民に親しまれている」と解説されている。

煉瓦の基礎に木造の六角形の胴体を載せるという構成は、機能だけを考えれば必要のないものである。設計者の名が記録されている点も、これが建築として扱われたことを示している。

静岡県の旧住吉浄水場着水井は昭和6年の建築で、「外径9.2メートルの正八角形平面で、頂部に円形の軒を張出し、内部は深さ6.8メートルを測る。外壁の隅に柱形を配し、基部にペデスタル、頂部に持送りを表し、柱身に溝彫りを施すなど、外部意匠を凝らした水道施設」と解説されている。

着水井は導水された水を受ける施設で、取水塔とは役割が違う。取水、導水、着水、浄水、配水という一連の流れのなかで、それぞれに固有の施設がある。記事に書くときは、どの段階の施設かを確かめたい。

参考文献

文化庁 文化財の紹介 登録有形文化財(建造物)
https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/shokai/yukei_kenzobutsu/toroku_yukei.html
国指定文化財等データベース(文化庁)青下第1ダム取水塔/独立塔状の鉄筋コンクリート造、内径2.4m高さ16.97m、上中下三段の取水管より取水
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00001087
国指定文化財等データベース(文化庁)旧西岡水源池取水塔/円柱状煉瓦造基礎上に六角形平面の木造胴体部と六角錐形の屋根が載る
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00002188
国指定文化財等データベース(文化庁)旧住吉浄水場着水井/外径9.2mの正八角形平面、外部意匠を凝らした水道施設
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00009172
国指定文化財等データベース(文化庁)旧住吉浄水場着水井/基部にペデスタル、頂部に持送りを表す
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00009172

最終更新: 2026.09.11