袖塀とは
袖塀は、門の左右に短く延ばす塀である。門と敷地の境をつなぎ、門だけが独立して建つのを避ける。袖壁ともいう。
構造及び形式等欄では門の仕様の一部として記される。大阪府の小倉家住宅門は昭和7年の建築で、「鉄筋コンクリート造、銅板葺、間口4.91m、左右袖塀付」と記録されている。香川県の鳥取家住宅西門は昭和前期の建築で、「木造、鉄板葺、間口1.3m、袖塀付」と記される。門の間口と並んで袖塀の有無が書かれる。
寺社の大きな門にも付く。京都府の真宗本廟東本願寺には「四脚門、切妻造、前後唐破風付、両脇袖塀附属、檜皮葺」「三間一戸薬医門、本瓦葺、両脇袖塀附属、潜戸付」と記録された門がある。
神奈川県の旧正力家別邸表門は昭和中期の建築で、「木造、銅板葺、間口1.8m、左右袖塀付」と記録されている。規模の大小を問わず用いられる。
意匠と機能
袖塀は意匠の場にもなる。神奈川県の本覚寺大門は昭和前期の建築で、「両側面に袖壁を付す…袖壁は腰を板壁、腰貫上を縦格子窓」と解説されている。腰を板張り、上部を格子とすることで、閉じつつ視線を通す構えになる。
番屋を伴う例もある。青森県の旧藤田家別邸冠木門及び両袖番屋は大正11年の建築で、「間口約4メートルの冠木門の扉上部と両脇壁面の上部に全面に格子を入れて外観を整え、門の両袖に煉瓦基礎上にのる番屋を配する。全体として、城の近傍という立地に相応しい風格を備えた門構えをつくる」と解説されている。袖の位置に建物を置く構成である。
長屋門は門の両脇に部屋を並べる形式で、袖塀を塀ではなく建物とした極端な例にあたる。袖塀、袖番屋、長屋門は、門の脇をどう扱うかという同じ問いへの答えの違いである。
現地では門の左右を見るとよい。門の柱から短い塀が延びて敷地の塀につながっていれば袖塀である。記録に「両脇袖塀附属」とあれば、その塀も指定や登録の範囲に含まれる。
参考文献
- 文化庁 文化財の紹介 登録有形文化財(建造物)
- https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/shokai/yukei_kenzobutsu/toroku_yukei.html
- 国指定文化財等データベース(文化庁)小倉家住宅門/鉄筋コンクリート造、銅板葺、間口4.91m、左右袖塀付
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00014058
- 国指定文化財等データベース(文化庁)鳥取家住宅西門/木造、鉄板葺、間口1.3m、袖塀付
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00014106
- 国指定文化財等データベース(文化庁)真宗本廟東本願寺/長屋門、建築面積230.02㎡、2階建、入母屋造
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/102/00005517
- 国指定文化財等データベース(文化庁)旧正力家別邸表門/木造、銅板葺、間口1.8m、左右袖塀付
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00014149
- 国指定文化財等データベース(文化庁)本覚寺大門/一間一戸の高麗門で門扉を省略、両側面に袖壁を付す
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00014339
最終更新: 2026.09.11