土佐漆喰とは
土佐漆喰は、高知県で古くから用いられてきた漆喰で、建物の外壁や軒裏の仕上げに使われる。一般の漆喰が海藻を煮た糊を混ぜて塗りやすくするのに対し、土佐漆喰は糊を用いず、発酵させた藁すさを練り込んで厚く塗り重ねるとされる。糊を含まないため雨に溶けにくく、台風の多い土地の外壁に向くと説明される。塗り上がりは白だが、年月を経ると藁の成分によりやや黄みを帯びるといわれる。
土佐漆喰の壁は、雨から壁面を守るための工夫と組み合わされることが多い。室戸市の吉良川町では、海沿いの地区に土佐漆喰で塗り込めた塗屋造の町家が並び、壁の途中に小さな瓦を水平に数段取り付けた水切り瓦が見られる。壁を伝う雨水を途中で外へ落とし、漆喰の傷みを抑えるためのもので、土佐漆喰と水切り瓦の組み合わせは高知の町並みの特徴になっている。
記録と実物で見分ける手がかり
記録では、外壁のどの部分を土佐漆喰で仕上げたかが書かれる。森澤家住宅の長屋門は、外壁の腰を押縁付の下見板張とし、上部を土佐漆喰塗とする。同じ屋敷の納屋は、上部を真壁の土佐漆喰塗りと書かれる。安芸市の五藤家住宅では、納屋の妻面や南面の上部、事務所の小壁を土佐漆喰で仕上げたと記される。腰を板張りにして傷みやすい足元を守り、上部を漆喰で仕上げる構成が多いことが分かる。
記録に「漆喰塗」とだけあって「土佐漆喰」と書かれていない高知県内の建物もある。記事で土佐漆喰と書くときは、記録の表記に従い、県内の建物だからといって補わないようにしたい。
現地では、壁の面の平滑さと厚み、軒裏まで塗り込めているか、水切り瓦があるかを見る。色味の黄ばみは土佐漆喰の手がかりとされるが、汚れや後の塗り替えでも色は変わるので、見た目だけで材料を決めることはできない。
参考文献
- 森澤家住宅長屋門|国指定文化財等データベース(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00005043
- 森澤家住宅納屋|国指定文化財等データベース(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00005046
- 五藤家住宅納屋|国指定文化財等データベース(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00006941
- 室戸市吉良川(室戸市作成資料)
- https://www.arch.kanagawa-u.ac.jp/lab/shimazaki_kazushi/shimazaki/Traditional%20buildings/093kiragawa/r1392257_093.pdf
最終更新: 2026.09.26