与力窓とは

与力窓は、外壁の開口部に太い竪格子を立て、その上に小さな庇や屋根を付けた窓をいうとされる。格子で外からの侵入を防ぎながら光と風を取り入れ、上の庇で雨を避ける。江戸時代の与力(町奉行の配下の役人)の屋敷に多く見られたことからの名と説明される。

長屋門や蔵、武家屋敷の表構えなど、通りに面して堅固さを示す部分に用いられることが多い。出格子は格子を壁から張り出す構えで、与力窓も出格子の一種として扱われることがあるが、上に小屋根を載せる点が特徴とされる。武者窓は太い格子を並べた窓で、与力窓と似るが、庇を伴わないものが多い。

記録と実物で見分ける手がかり

記録では「与力窓を設ける」「出格子や与力窓を構える」のように書かれる。大阪府枚方市の田中家住宅米蔵は、土蔵造の平屋建で、外壁漆喰塗の腰縦板張とし、南面に与力窓を二か所設けて旧家の風格ある屋敷構えを構成する。大阪府松原市の田中家住宅長屋門は、壁を漆喰仕上げ、腰を下見板張とし、出格子や与力窓を構えた重厚な外観の長屋門の一例とされる。

記録上の名称は、同じような窓でも与力窓・武者窓・出格子と書き分けが揺れる。記事では記録の語をそのまま使い、別の名称に言い換えないようにしたい。現地では、太い格子の窓の上に小さな庇が載っているかを見る。

参考文献

田中家住宅米蔵(枚方市)|国指定文化財等データベース(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00012587
田中家住宅長屋門(松原市)|国指定文化財等データベース(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00007648

最終更新: 2026.09.26