生糸に始まった倉庫

JR前橋駅の北口に立つと、正面に上毛倉庫の建物群が並ぶ。その一号棟である。運営する上毛倉庫株式会社は、明治28年(1895年)12月、前橋を潤した生糸と繭を保管するために創業した。群馬は蚕糸の国であり、前橋はその大きな市場の一つ。良質な生糸はヨーロッパで「マエバシ」と呼ばれたと伝わる。

一号棟が建てられたのは下って昭和24年(1949年)、平成2年(1990年)に改修された。鉄筋コンクリート造平屋建、建築面積331平方メートル、切妻造桟瓦葺で、敷地の南東に建つ。

近代の構造に古い顔

令和7年(2025年)8月、駅前の歴史的景観に寄与するものとして登録有形文化財となった。コンクリート造でありながら、古い蔵のように見せる。外壁はモルタル塗で鉢巻を廻し、高窓には鉄扉を付す。

屋根の内側には木造のキングポスト・トラスが組まれる。近代の構造の中に木の小屋組が収まる。全体は土蔵風の姿をとり、隣に建つ煉瓦の兄たちと違和感なく並ぶ。

訪ねる

倉庫群は稼働中の建物で、博物館ではない。上毛倉庫はいまも敷地を保管に使い、新聞用紙や段ボールを納め、トランクルームも貸し出す。撮影隊が近代のロケ地として借りることもある。駅前の道からその連なりを眺められる。

背後にある生糸の歴史をたどるなら、前橋市蚕糸記念館や、少し足を延ばして世界遺産の富岡製糸場が、この私有の倉庫とは違って訪ねやすい。

Q&A

Qこの倉庫は何を保管していましたか。
Aはじめは生糸と繭で、前橋の経済を支えた品でした。一号棟はのちに別の貨物も納め、現在は紙や段ボールを保管しています。
Q中に入れますか。
A入れません。上毛倉庫は私有の稼働中の建物です。外観はJR前橋駅前の道から見られますが、内部は公開されていません。
Q一号棟はいつ建てられましたか。
A昭和24年(1949年)で、平成2年に改修されました。同じ敷地の煉瓦倉庫(明治29年)より新しい建物です。
Qコンクリートの倉庫がなぜ文化財なのですか。
A駅前の歴史的景観に寄与するものとして登録されました。モルタルの外壁や鉢巻、蔵風の姿が、駅周辺の古い趣を保っています。

基本情報

名称江原本家上毛倉庫一号棟
所在地群馬県前橋市表町二丁目25-2
指定区分登録有形文化財(建造物) 登録番号10-0363
登録年月日令和7年(2025年)8月6日
構造・形式鉄筋コンクリート造平屋建、瓦葺、建築面積331㎡
年代昭和24年(1949年)/平成2年改修
所有上毛倉庫株式会社(私有)
公開稼働中の営業倉庫。外観は公道から見学可、内部は非公開

参考文献

国指定文化財等データベース — 江原本家上毛倉庫一号棟
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00015401
群馬県 文化遺産課 — 群馬の文化財
https://www.pref.gunma.jp/page/5190.html
前橋市 — 国指定文化財一覧
https://www.city.maebashi.gunma.jp/soshiki/kyoiku/bunkazaihogo/gyomu/3/2/5104.html

最終更新日: 2026.07.03