藤生家住宅東井戸 ― 花崗岩の井戸枠をもつ飲み水の井戸

藤生家住宅東井戸(ふじうけじゅうたくひがしいど)は、群馬県桐生市広沢町の藤生家住宅で主屋の北背後、味噌蔵の南に位置する明治前期の石組の井戸で、平成19年(2007年)5月15日に登録有形文化財に登録された。

藤生家の飲み水を汲んだ井戸とされる。地上の井戸枠は1メートル四方で、花崗岩の切石4枚を組み合わせてつくり、枠の高さは45センチ、石の厚さは15センチある。井筒の下方は玉石の空積で、深さは4.3メートル。登録上の面積は1.1平方メートルである。

登録の理由 ― 相欠きで組んだ石工の技

藤生家住宅東井戸は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」として登録された。文化庁の解説は、この井戸の石工技術が優れていることを特に評価している。

4枚の花崗岩は、それぞれの端を半分ずつ欠き取って互いに噛み合わせる相欠きの仕口で組まれ、継ぎ目が精緻に納まっている。硬い花崗岩をこの精度で加工するには手間がかかり、毎日使う飲み水の井戸に、それだけの手間をかけたことがわかる。

見どころ ― 地上の石枠と、地下の玉石積

藤生家住宅東井戸は、地上と地下で異なる積み方を使い分けている。地上に見える枠は切石を組んだ端正なつくりで、地下の井筒はモルタルなどを使わずに丸石を積み上げた空積である。水が壁の隙間からしみ出す構造で、玉石積は井戸の壁として各地で用いられてきた。

同じ屋敷の西井戸は、庭の池のそばにあって茶室用と伝わり、凝灰岩の低い枠をもつ。東井戸は台所に近い主屋の背後で、より硬い花崗岩を使い、深さも上回る。用途に応じて、石材も深さも変えていたことになる。

藤生家住宅東井戸の見学

藤生家住宅東井戸は主屋の北の背後、敷地の奥にあり、道路から見ることはできないと考えてよい。敷地は個人の住宅で公開されていない。

藤生家住宅を訪ねる際も、敷地には入らず、道路からの外観見学にとどめてほしい。

Q&A

Q藤生家住宅東井戸は何に使われていましたか?
A飲み水を汲むための井戸とされます。主屋の北の背後、味噌蔵の南にあります。
Q藤生家住宅東井戸の井戸枠はどんな石でできていますか?
A花崗岩の切石4枚を相欠きで組み合わせたもので、1メートル四方、高さ45センチ、厚さ15センチです。
Q藤生家住宅東井戸の深さはどのくらいですか?
A深さは4.3メートルです。井筒の下方は玉石の空積になっています。
Q藤生家住宅東井戸はいつ造られましたか?
A明治前期のものです。平成19年(2007年)5月15日に登録有形文化財に登録されました。
Q藤生家住宅東井戸は見学できますか?
Aできません。敷地の奥にあり、個人の住宅として公開されていません。

基本情報

名称藤生家住宅東井戸
所在地群馬県桐生市広沢町5-1179
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年平成19年(2007年)5月15日登録(第54回、登録番号10-0227)
員数1基
寸法面積1.1平方メートル、井戸枠1メートル四方・高さ45センチ、深さ4.3メートル
所有者個人
公開状況非公開(個人の住宅)

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁)― 藤生家住宅東井戸
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00006158
桐生市 ― 国登録文化財一覧
https://www.city.kiryu.lg.jp/kankou/bunkazai/1010700/kunitouroku/1001989.html

最終更新日: 2026.09.25