藤生家住宅主屋 ― 江戸後期の茅葺を抱える母屋

藤生家住宅主屋(ふじうけじゅうたくしゅおく)は、群馬県桐生市広沢町にある上層農家・藤生家の母屋で、江戸後期(1751〜1829年)に建てられた木造平屋建の民家であり、平成19年(2007年)5月15日に登録有形文化財に登録された。

敷地のほぼ中央に南面して建ち、棟の長さは桁行11間規模に及ぶ。屋根は入母屋造の茅葺で、現在は茅の上から銅板を被せた仮葺の状態にある。建築面積は163平方メートル。藤生家住宅として登録された17件のなかで最も古く、建物としては最も大きい。

登録の理由 ― 整形四間取と8畳の座敷

藤生家住宅主屋は、「国土の歴史的景観に寄与しているもの」という基準で登録された。文化庁の解説はこの建物を上層農家の住宅と位置づけ、その落ち着いた構えに触れている。

家格を読み取る手がかりは平面にある。主屋の西半分を床上の居室部とし、部屋を田の字形に4つ並べる整形四間取に組んで、そのうちの1室を8畳の座敷とした。農作業の場とは別に、客を迎えるための座敷を持つ構成である。南面と西面には瓦葺の庇を掛けて縁とし、茅の大屋根の下にもう一段、瓦の軒が走る。

藤生家住宅主屋は、桐生の市街地から少し離れた広沢の地で、近世の上層農家がどのような規模と間取りで暮らしていたかを具体的に示す。

見どころ ― 厚い茅の量感と、二段に重なる軒

藤生家住宅主屋でまず目を引くのは屋根の量感である。銅板を被せた今も、茅葺特有の厚みと急な勾配はそのまま残り、桁行11間の長い棟が、低い平屋の軒をいっそう横に伸びやかに見せる。

南面に目を移すと、茅の大屋根の下に瓦庇が付き、その下が縁になっている。茅と瓦という性格の違う屋根材が一つの立面の上下に重なるのは、この主屋の姿を特徴づける点である。

藤生家住宅主屋を外から見る

藤生家住宅主屋の内部は公開されていない。建物は敷地の中央にあり、南辺の表門や物置の奥に位置するため、道路から見通せる範囲は限られる。門や塀の内側へは立ち入らず、撮影する場合も公道上から、居住者の暮らしに配慮して行いたい。

屋敷全体の配置や、敷地までの道順は藤生家住宅のページにまとめてある。

Q&A

Q藤生家住宅主屋はいつ頃の建物ですか?
A江戸後期、1751〜1829年の間の建築とされます。藤生家住宅として登録された17件のうち、最も古い建物です。
Q藤生家住宅主屋の屋根はなぜ銅板なのですか?
A本来は茅葺で、現在は茅を守るために銅板で仮に葺いています。登録の記録でも「茅葺(銅板仮葺)」とされています。
Q藤生家住宅主屋の間取りにはどんな特徴がありますか?
A西半分の床上部を整形四間取とし、そのうちの1室を8畳の座敷としています。南と西には瓦庇を付けて縁を設けています。
Q藤生家住宅主屋の内部は見学できますか?
Aできません。個人の住宅で公開されていないため、道路から外観を眺めるだけになります。敷地内への立ち入りはご遠慮ください。
Q藤生家住宅主屋はどのくらいの大きさですか?
A桁行11間規模の木造平屋建で、建築面積は163平方メートルです。藤生家住宅の建物のなかで最も大きな規模をもちます。

基本情報

名称藤生家住宅主屋
所在地群馬県桐生市広沢町5-1179
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年平成19年(2007年)5月15日登録(第54回、登録番号10-0212)
員数1棟
寸法建築面積163平方メートル、桁行11間規模
所有者個人
公開状況非公開(個人の住宅)

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁)― 藤生家住宅主屋
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00006087
文化遺産オンライン ― 藤生家住宅主屋
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/171392
桐生市 ― 国登録文化財一覧
https://www.city.kiryu.lg.jp/kankou/bunkazai/1010700/kunitouroku/1001989.html

最終更新日: 2026.09.25