後藤織物西蔵とは

後藤織物西蔵は、群馬県桐生市東1丁目にある昭和11年(1936年)頃の木造平屋建の蔵で、紋紙の収蔵庫として使われ、平成18年(2006年)3月27日に登録有形文化財となった。工場の北、西寄りに南を向いて建ち、建築面積は64平方メートル、屋根は鉄板葺である。

東隣の東蔵と並んで建ち、規模も桁行6・梁間2間で東蔵と同じである。南面の全体に1間幅の下屋を設けるが、下屋との境にも間仕切りを入れず、内部は1室の広い空間になっている。

桐生市の資料は、後藤織物西蔵を昭和11年の織物工場の増設の際に建てられたものと考えている。文化庁の解説も、紋紙の収蔵倉庫であり織物工場の主要施設の一つとしている。

登録の理由と価値

後藤織物西蔵の登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」である。価値の中心は、紋紙という、柄物を織る機屋に欠かせない道具の置き場として建てられた点にある。

紋紙は、ジャカード織機に柄を指示するための厚紙のカードで、穴の有無で経糸の上げ下げを決める。複雑な柄の帯地では、1つの柄に大量の紋紙が連なる。後藤家は明治から主に帯地を織ってきた機屋であり、柄の数だけ紋紙が増えていく。その保管のために、平屋ながら64平方メートルの床を仕切りなしで使える蔵が建てられた。

紋紙は、機屋にとって柄そのものの記録でもある。同じ帯を織り直すには、同じ紋紙が要る。紋紙を収めた後藤織物西蔵は、この機屋が積み重ねてきた柄の蓄えを守る建物だったといえる。

見どころ

東蔵と並べて見たい。後藤織物西蔵と東蔵は、どちらも桁行6間・梁間2間で、南に1間幅の下屋を張り出す同じ構えをしている。しかし東蔵が明治前期の建物を移した2階建で内部を2室に分けるのに対し、西蔵は昭和11年頃の平屋で内部は1室である。同じ規模の蔵が、建てられた時代も使い道も違う形で隣り合っている。

下屋の扱いにも注目したい。東蔵では下屋を蔵前として区切るが、西蔵では下屋との境にも間仕切りがなく、屋根の下すべてが一続きになる。束になった紋紙を出し入れし、広げて確かめるには、仕切りのない床が向いている。

屋根は鉄板葺で、瓦葺の東蔵とはここでも違う。昭和の増設期に、軽く扱いやすい材を選んだ工場施設らしい屋根である。

見学方法

後藤織物西蔵は敷地の最も奥、工場の北側にある。予約制の見学で工場を抜けた先になるため、蔵の前まで案内されるか、内部を見られるかは予約の際に確かめておきたい。撮影の可否もあわせて確認するとよい。

敷地への行き方と予約の方法は、後藤織物のページにまとめてある。

Q&A

Q後藤織物西蔵には何が収められていましたか。
Aジャカード織機に柄を指示する厚紙のカード、紋紙です。文化庁は紋紙の収蔵倉庫で、織物工場の主要施設の一つとしています。
Q後藤織物西蔵はいつ建てられましたか。
A昭和11年(1936年)頃です。桐生市は、この年の織物工場の増設にあわせて建てられたと考えています。
Q後藤織物西蔵と東蔵はどう違いますか。
A規模はどちらも桁行6間・梁間2間ですが、西蔵は平屋で内部が1室、東蔵は明治前期の建物を移した2階建で内部が2室です。屋根も西蔵は鉄板葺、東蔵は瓦葺です。
Q後藤織物西蔵は見学できますか。
A後藤織物の予約制見学の範囲で見られる場合があります。敷地の奥にあるため、案内の範囲と撮影の可否は予約時に確認してください。
Q後藤織物西蔵に納められた紋紙とは何ですか。
Aジャカード織機に柄を指示する、穴を開けた厚紙のカードです。穴の有無で経糸の上げ下げを決め、複雑な柄ほど多くの紋紙が連なります。

基本データ

名称後藤織物西蔵(ごとうおりものにしぐら)
所在地群馬県桐生市東1丁目730
指定区分登録有形文化財(建造物) 登録番号 10-0163
指定年平成18年(2006年)3月27日登録
員数1棟
寸法木造平屋建、鉄板葺、建築面積64平方メートル
所有者テクスト桐生株式会社
公開状況予約制の見学で公開(平日)

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁) 後藤織物西蔵
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00005414
後藤織物(桐生市ホームページ)
https://www.city.kiryu.lg.jp/kankou/bunkazai/1010700/kunitouroku/1007533.html
後藤織物 工場・旧釜場・物置・展示室・東蔵・西蔵(桐生市、PDF)
https://www.city.kiryu.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/007/533/02-gotopdf.pdf

最終更新日: 2026.09.24