紋紙を納めた細長い物置

森秀織物旧物置(八丁撚糸場)は、群馬県桐生市東4丁目の森秀織物の敷地中央の東寄りに建つ、大正13年(1924年)頃の木造平屋建の物置で、平成18年(2006年)8月3日に登録有形文化財に登録された。

文化庁によれば、ほぼ創業時に紋紙を収める物置として建てられた。紋紙は、ジャカード織機に模様を織り出させるための穴をあけた厚紙で、柄の数だけ束が増える。お召を織る機屋にとって、紋紙は意匠そのものを預ける大事な財産だった。

登録名の括弧内の「八丁撚糸場」は、八丁撚糸の作業に使われた時期があったことを示すとみられる。八丁撚糸機は糸に強い撚りをかける機械で、お召のしぼを生む強撚糸づくりに欠かせない。登録番号は10-0174。

森秀織物旧物置が登録された理由

森秀織物旧物置の登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」である。工場、事務所、寄宿舎と並んで、機屋の仕事を支えた付属屋がそろって残る点が、森秀織物の15件の厚みになっている。

建物は2つの棟からなる。桁行10.8メートル、梁間3.3メートルの棟と、桁行6.6メートル、梁間3.0メートルの棟が、少し折れ曲がりながら一続きに建つ。どちらも切妻造、桟瓦葺で、小屋組は和小屋。東側の壁を鉄筋コンクリート造としている。

森秀織物旧物置の見どころ

奥行き3メートルあまりという細さが、この建物のいちばんの特徴である。人がすれ違える程度の幅に棚を並べれば、紋紙の束を取り出しやすい。敷地の東の境に沿って細長く建て、折れ曲がりで地割に合わせた形も、限られた敷地を使い切る機屋の工夫として読める。

東の壁だけが鉄筋コンクリート造になっている点にも目を留めたい。木造の物置の一面だけを堅い壁にしたのは、敷地の外側に向いた面を守るためと考えられるが、文化庁の記録は理由を記していない。

森秀織物旧物置の見学

森秀織物旧物置(八丁撚糸場)は、織物参考館“紫”として公開されている建物には含まれていない。内部の見学ができるかは確認できていないため、見学を希望する場合は織物参考館“紫”に問い合わせたい。撮影は公開されている範囲にとどめること。

Q&A

Q森秀織物旧物置はいつ建てられ、いつ登録されましたか?
A大正13年(1924年)頃、ほぼ創業時の建築で、平成18年(2006年)8月3日に登録有形文化財に登録されました。登録番号は10-0174です。
Q森秀織物旧物置には何が収められていたのですか?
A文化庁によれば、ジャカード織機で模様を織るための紋紙を収める物置として建てられました。
Q森秀織物旧物置の「八丁撚糸場」とは何ですか?
A八丁撚糸機で糸に強い撚りをかける作業場のことで、のちにその作業に使われた時期があったとみられます。強撚糸はお召のしぼを生む糸です。
Q森秀織物旧物置はどのような形の建物ですか?
A長さ10.8メートルと6.6メートルの細長い2棟が少し折れ曲がって続く木造平屋建で、奥行きはそれぞれ3.3メートルと3.0メートルです。東の壁は鉄筋コンクリート造です。
Q森秀織物旧物置の中は見学できますか?
A織物参考館“紫”の展示施設には含まれておらず、内部の公開は確認できていません。

基本情報

名称森秀織物旧物置(八丁撚糸場)(もりひでおりものきゅうものおき(はっちょうねんしじょう))
所在地群馬県桐生市東4-2-24
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年平成18年(2006年)登録
員数1棟
寸法木造平屋建、瓦葺、建築面積53㎡(桁行10.8m・梁間3.3mと桁行6.6m・梁間3.0mの2棟が連続)
所有者森秀織物株式会社
公開状況内部の公開は確認できない(織物参考館“紫”の展示施設に含まれない)

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁)森秀織物旧物置(八丁撚糸場)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00005568
桐生市 森秀織物工場
https://www.city.kiryu.lg.jp/kankou/bunkazai/1010700/kunitouroku/1002000.html

最終更新日: 2026.10.06