旧国鉄士幌線とは

旧国鉄士幌線は、北海道河東郡上士幌町を南北に通っていた鉄道の跡で、昭和11年(1936年)から昭和30年(1955年)にかけて築かれたコンクリート造の橋梁7基、トンネル1基、駅のプラットホーム1基の計9件が国の登録有形文化財に登録されている(文化庁)。読みは「きゅうこくてつしほろせん」。9件とも上士幌町の所有である。

上士幌町の年表によれば、帯広から北へ延びた線路は大正14年(1925年)12月に士幌まで、大正15年(1926年)7月1日に上士幌まで開通した。そこから先の山あいは、昭和10年(1935年)11月に清水谷、昭和12年(1937年)9月26日に糠平、昭和14年(1939年)11月18日に十勝三股と、段階的に延ばされている。

文化庁の解説は、上士幌から十勝三股までの区間を「音更線」として建設された線とし、士幌線は帯広とルベシベを結ぶ予定だったと記す。音更川の谷をさかのぼるこの区間では、川や沢を渡る橋の多くがコンクリートのアーチ橋で造られた。

付け替えと廃止

昭和30年(1955年)、糠平付近の線路は付け替えられた(文化庁)。登録された9件のうち、糠平湖に注ぐ川に架かる糠平川橋梁と三の沢橋梁は、この新しい線のために造られた橋である。湖に沈んだ旧線には、水位によって湖面に姿を現したり水没したりするタウシュベツ川橋梁が残るが、これは登録の対象に含まれていない(北海道公式観光サイト)。

上士幌町の年表では、昭和53年(1978年)12月25日に糠平から十勝三股までの列車が廃止されてバスによる代行となり、昭和62年(1987年)3月22日に士幌線そのものが廃止された。

町が引き取ったアーチ橋

廃線から10年ほどで、残された橋の取り壊しが始まった。平成9年(1997年)3月には第四音更川橋梁の解体が進んでいる。上士幌町は平成10年(1998年)10月7日にアーチ橋梁群と線路跡地を取得し、平成14年(2002年)2月には第六音更川橋梁も引き取っている(上士幌町)。

登録有形文化財への登録は3回に分かれる(文化庁)。

  • 平成11年(1999年)8月23日:勇川橋梁、第三音更川橋梁、第五音更川橋梁、十三の沢橋梁
  • 平成15年(2003年)1月31日:第六音更川橋梁、音更トンネル
  • 平成29年(2017年)6月28日:糠平川橋梁、三の沢橋梁、幌加駅プラットホーム

このほか、アーチ橋梁群は平成13年(2001年)12月15日に北海道遺産に選ばれている(上士幌町)。

9件の並び

9件は音更川に沿って南から北へ、ほぼ国道273号に沿って点在する。上士幌市街に近い南側から順に並べると、次のようになる(文化庁の所在地による)。

  • 黒石平:勇川橋梁、第三音更川橋梁
  • ぬかびら源泉郷:糠平川橋梁、三の沢橋梁
  • 幌加:音更トンネル、幌加駅プラットホーム、第五音更川橋梁、第六音更川橋梁、十三の沢橋梁

もっとも北の十三の沢橋梁は、終点の十勝三股駅に近い(文化庁)。小さなものは全長4メートルの勇川橋梁、大きなものは全長109メートルの第五音更川橋梁で、規模にかなりの幅がある。それぞれの構造と見え方は各ページで扱っている。

見学とアクセス

北海道公式観光サイトによれば、橋梁群のあるぬかびら源泉郷までは、道東自動車道の音更帯広インターチェンジから車で約80分、JR帯広駅からは車で約90分である。問い合わせ先は上士幌町観光案内所(01564-4-2224)。

9件はいずれも屋外の土木構造物で、見学に料金はかからない。ただし渡ることのできる橋は限られ、橋の上が立ち入り禁止になっているものもある(北海道ファンマガジン)。現地の掲示に従い、柵や立入禁止の表示を越えないようにしたい。

一帯はヒグマの生息地でもあり、幌加駅跡の紹介では見学時の注意が呼びかけられている(ニッポン旅マガジン)。国道を外れて林道や沢沿いに入る場所では、とくに用心が要る。

糠平駅跡には上士幌町鉄道資料館があり、士幌線の写真や資料を展示している(ニッポン旅マガジン)。現地をめぐる前に立ち寄ると、9件の位置関係がつかみやすい。

参考文献

旧国鉄士幌線勇川橋梁(国指定文化財等データベース)
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00001210
旧国鉄士幌線第三音更川橋梁(国指定文化財等データベース)
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00001211
旧国鉄士幌線糠平川橋梁(国指定文化財等データベース)
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00011613
旧国鉄士幌線三の沢橋梁(国指定文化財等データベース)
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00011614
旧国鉄士幌線音更トンネル(国指定文化財等データベース)
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00003020
旧国鉄士幌線幌加駅プラットホーム(国指定文化財等データベース)
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00011615
旧国鉄士幌線第五音更川橋梁(国指定文化財等データベース)
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00001212
旧国鉄士幌線第六音更川橋梁(国指定文化財等データベース)
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00003019
旧国鉄士幌線十三の沢橋梁(国指定文化財等データベース)
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00001213
旧国鉄士幌線と鉄道遺産(上士幌町の歩み)
https://www.kamishihoro.jp/history/00000024
旧国鉄士幌線コンクリートアーチ橋梁群(北海道公式観光サイト GoodDay北海道)
https://www.visit-hokkaido.jp/spot/detail_10178.html
旧国鉄士幌線コンクリートアーチ橋梁群を巡る(北海道ファンマガジン)
https://hokkaidofan.com/kamishihorobridges/
国鉄士幌線・幌加駅跡(ニッポン旅マガジン)
https://tabi-mag.jp/ho1257/
国鉄士幌線・糠平駅跡(ニッポン旅マガジン)
https://tabi-mag.jp/ho1260/

最終更新日: 2026.10.19

基本情報

名称旧国鉄士幌線
所在地北海道河東郡上士幌町(旧国鉄士幌線沿線)
所有者上士幌町
指定登録有形文化財 9件
座標43.41632, 143.18462