姫路城とは ― 大天守と三つの小天守が連なる白漆喰の城
姫路城は、兵庫県姫路市本町の姫山を中心に築かれた平山城で、慶長14年(1609年)に完成した大天守をはじめとする天守群8棟が国宝に、櫓・門・土塀など74棟が重要文化財に指定されている。壁から軒裏までを白い漆喰で塗り込めた外観から、「白鷺城(はくろじょう、しらさぎじょう)」の愛称で呼ばれてきた。
城の中心にある姫山は、標高45.6メートルほどの小山である。その頂の天守台に、5重6階地下1階の大天守と、西小天守・乾小天守・東小天守の3棟の小天守が建ち、4棟をイ・ロ・ハ・ニの4棟の渡櫓が四角くつないでいる。大天守と小天守を渡櫓で結ぶこの形は連立式天守と呼ばれ、姫路市は屋根の重なりと千鳥破風・唐破風の組み合わせを姫路城の外観の要点に挙げている。
姫路城は平成5年(1993年)12月11日、「法隆寺地域の仏教建造物」とともに日本で初めての世界文化遺産に登録された。登録にあたっては、木造の城郭建築として美的な完成度が高いこと、17世紀初めの天守・櫓・門・土塀と石垣・堀がまとまって残り、日本の城の防御の仕組みをよく示していることが評価されている。資産の範囲は登録当時の特別史跡の範囲にあたる107ヘクタールで、その外側に143ヘクタールの緩衝地帯が設けられている。
姫路城の歴史 ― 赤松氏の砦から池田輝政の大改修まで
姫路市の年表によると、姫山に初めて砦が築かれたのは元弘3年(1333年)、赤松則村(円心)の挙兵のときとされ、正平元年(1346年)に赤松貞範が本格的な城を構えたと伝わる。その後、城は赤松氏の一族の小寺氏、重臣の黒田氏が預かった。
天正8年(1580年)、黒田孝高は中国攻めに向かう羽柴秀吉に姫路城を献上し、秀吉は3層の天守を築いた。関ヶ原の戦いのあと慶長5年(1600年)に城主となった池田輝政は、翌年から城の大改築に取りかかり、慶長14年(1609年)に現在の連立式天守を完成させた。元和3年(1617年)に入った本多忠政が三の丸や西の丸を増築し、姫路城の全容はこのときにほぼ整った。
城主はその後もたびたび替わり、寛延2年(1749年)からは酒井氏が明治維新まで城を治めた。姫路市は、城主を務めた家を13氏48代と数えている。明治2年(1869年)の版籍奉還で城は国有となった。
姫路市は姫路城を「不戦・不焼の城」と紹介している。城下が戦場になることがなく、近代の戦災も免れたため、天守のほかに櫓や門、土塀までが良い状態で残った。保存修理は昭和9年(1934年)、豪雨で西の丸のタの渡櫓からヲの櫓にかけてが石垣ごと崩れたことを機に本格化し、昭和31年(1956年)から昭和39年(1964年)にかけての「昭和の大修理」では大天守が解体修理された。平成21年(2009年)からの「平成の修理」では大天守の屋根と壁が塗り直され、平成27年(2015年)に工事を終えている。
姫路城の国宝と重要文化財
姫路城の建造物は、文化庁の国指定文化財等データベースでは6件の指定に分かれて登録されている。国宝は5件8棟で、重要文化財は「姫路城」の名で一括された1件74棟である。
- 姫路城大天守:5重6階地下1階。国宝。
- 姫路城西小天守:3重3階地下2階。国宝。
- 姫路城乾小天守:3重4階地下1階で、3棟の小天守のうちもっとも大きい。国宝。
- 姫路城東小天守:3重3階地下1階。国宝。
- 姫路城イ、ロ、ハ、ニの渡櫓:天守群をつなぐ4棟の渡櫓で、大天守の北に付く台所1棟が附(つけたり)として含まれる。国宝。
- 姫路城(重要文化財):櫓・渡櫓27棟、門15棟、土塀31棟、築地塀1棟の計74棟。
天守群の8棟は昭和6年(1931年)1月19日に指定を受け、文化財保護法のもとで昭和26年(1951年)6月9日に国宝に指定された。残る74棟は昭和6年(1931年)12月14日に重要文化財に指定されている。重要文化財の74棟のなかにも「イの渡櫓」「ロの渡櫓」といった名の建物があり、国宝の渡櫓とは別の建物である。城跡そのものは国の特別史跡「姫路城跡」に指定されている。
姫路城の縄張りと城内の歩き方
姫路城の縄張りは、姫山の北東から出た内堀が左回りに曲輪を囲み、そのまま中堀、外堀へと渦を巻くように続く螺旋式である。姫路市はこの形を江戸城と姫路城にしか例がないと説明している。内堀に囲まれた内曲輪だけで約23ヘクタールあり、中堀の内側には武家屋敷や藩の役所が、外堀の内側には町家や寺町が置かれていた。
見学の入口は、三の丸広場の北にある入城口である。菱の門をくぐると道は二つに分かれ、千姫ゆかりの化粧櫓と百間廊下のある西の丸を回る道と、いの門・ろの門・はの門・にの門を経て天守群へ登る道がある。天守群へ近づくほど道は折れ曲がり、門は小さく、通路は狭くなる。城の守りの考え方を、歩きながら体で確かめられるのが姫路城の見学の面白さである。
姫路城管理事務所の案内では、天守群だけの見学で約1時間、西の丸を含む有料区域全体で1時間30分から2時間を見込む。入城口から大天守の入口までは歩いて約15分かかる。城内は坂と階段が続き、建物の中の階段は手すりがあっても急で狭い。それぞれの建物の見どころと、内部に入れるかどうかは、各建物のページで扱っている。
姫路城の入城料・開城時間と行き方
姫路城の開城時間は午前9時から午後5時までで、入城は午後4時までである。大天守に登るには午後4時10分までに大天守の入口へ着く必要があり、大天守や西の丸の百間廊下などの建物は午後4時30分から順に窓を閉めていく。休城日は12月29日と30日で、荒天の日は予告なく閉城することがある。
入城料は令和8年(2026年)3月1日に改定され、18歳以上は一般2,500円、姫路市民1,000円となった。市民料金を受けるにはマイナンバーカードや運転免許証など、住所の分かる証明書の提示が必要である。18歳未満は住所にかかわらず無料で、隣接する好古園との共通券は2,600円、1年間何度でも入れる年間縦覧券は5,000円である。障害者手帳を持つ人は本人と介助者1名が無料になる。
混雑する時期は、日時を指定して事前に買えるデジタルチケットを使うと改札を通りやすい。ただし文化財保護と安全のため大天守に登れるのは1時間あたり1,000人までとされ、デジタルチケットを持っていても大天守の入口で待つことがある。
電車で行く場合、JR姫路駅と山陽電車の山陽姫路駅から姫路城までは歩いて約20分である。姫路駅北口から神姫バスに乗り、「大手門前」で降りれば入城口まで歩いて約5分で着く。車の場合は大手門駐車場がもっとも近く、入城口まで歩いて約10分である。
城内のきまりとして、建物の中では三脚・一脚・自撮り棒を使った撮影が禁じられており、再入城もできない。令和8年(2026年)3月1日からは有料区域へのペットの同伴が断られている(盲導犬・聴導犬は入城できる)。大天守と百間廊下では靴を脱ぎ、入城時に配られる肩掛け式の袋に入れて持ち歩く。姫路城のライトアップは毎日、日没から24時ごろまで行われている。
令和8年(2026年)7月上旬から令和9年(2027年)7月下旬ごろまで、姫路城ではニの櫓や水の一門・水の二門など大天守周辺の建物で保存修理工事が行われている。足場が組まれるため、大天守の眺めや夜間のライトアップに影響が出るほか、見学ルートの一部が狭くなっている。
参考文献
- 文化庁 国指定文化財等データベース「姫路城大天守」
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/102/2264
- 文化庁 国指定文化財等データベース「姫路城西小天守」
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/102/2265
- 文化庁 国指定文化財等データベース「姫路城乾小天守」
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/102/2266
- 文化庁 国指定文化財等データベース「姫路城東小天守」
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/102/2267
- 文化庁 国指定文化財等データベース「姫路城」(重要文化財)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/102/2298
- 姫路市「世界遺産姫路城」
- https://www.city.himeji.lg.jp/kanko/0000001645.html
- 姫路市「姫路城イ・ロ・ハ・ニの渡櫓 附台所1棟」
- https://www.city.himeji.lg.jp/kanko/0000001656.html
- 姫路市「姫路城」(重要文化財)
- https://www.city.himeji.lg.jp/kanko/0000001875.html
- 姫路市「姫路城跡」
- https://www.city.himeji.lg.jp/kanko/0000001665.html
- 姫路城公式サイト「姫路城の歴史」
- https://www.city.himeji.lg.jp/castle/0000007750.html
- 姫路城公式サイト「姫路城・昭和の大修理写真」
- https://www.city.himeji.lg.jp/castle/category/10-2-2-0-0-0-0-0-0-0.html
- 姫路城公式サイト「姫路城の規模」
- https://www.city.himeji.lg.jp/castle/0000007746.html
- 姫路城公式サイト「城の楽しみ方」
- https://www.city.himeji.lg.jp/castle/0000007738.html
- 姫路城公式サイト「姫路城ご利用案内」
- https://www.city.himeji.lg.jp/castle/0000007671.html
- 姫路城公式サイト「3月1日以降の姫路城縦覧料等について」
- https://www.city.himeji.lg.jp/castle/0000030746.html
- 姫路城公式サイト「姫路城保存修理工事について」
- https://www.city.himeji.lg.jp/castle/0000033820.html
- 世界文化遺産・国宝 姫路城便覧「よくあるご質問(FAQ)」
- https://www.himejicastle.jp/faq.html
最終更新日: 2026.10.21
基本情報
| 名称 | 姫路城 |
|---|---|
| 所在地 | 兵庫県姫路市本町 |
| 所有者 | 国(文部科学省) |
| 指定 | 国宝 5件・重要文化財 1件 |
| 座標 | 34.83945, 134.69390 |