座敷の縁に寄り添う茶室

大歳家住宅の茶室は、別府町新野辺の屋敷で主屋の南方、座敷の縁側の地先に建つ。接客の座に近いその位置取りも、この建物の意味の一部である。

建物は小さく、3畳の茶室と、道具を洗い整える2畳の水屋から成る。桟瓦葺の切妻屋根で、南側には銅板葺の土庇を差し掛けて寄付きを覆う。建築面積はわずか18平方メートルである。

登録の意義

茶室は平成11年(1999)11月18日、大歳家9棟の一つとして登録された。大庄屋の生活と接客の一端を示す施設として価値づけられている。茶の湯は教養の証であり、そのための専用の間を備えることは、この家が改まった社交の世界に身を置いていたことを示す。

小規模ながら、この茶室は屋敷が見せる全体像を完結させる。住まい、蔵、門構えとともに、客を静かに礼をもって迎える場が用意されていたのである。

見どころ

茶室が独立した庭に離れて建つのではなく、主屋と結び付いている点に注目したい。座敷の縁側の地先に据えることで、茶の営みを家の接客空間の近くに保っている。南の銅板の庇は、簡素な建物に加えられた小さく意図的な意匠である。

屋敷は個人所有で常時公開はされていない。茶室は内側の庭にあるため街路からは長屋門ほど見えないが、登録に至った屋敷群を構成する欠かせない一要素である。

Q&A

Q茶室はどこにありますか。
A主屋の南方、座敷の縁側の地先に建っています。
Qどんな構成ですか。
A3畳の茶室と、道具を整える2畳の水屋から成ります。
Q何が貴重なのですか。
A大庄屋の教養と社交の一面を示し、屋敷群を一体として完結させる点です。
Q見学できますか。
A内側の庭にあり、常時公開はされていません。

基本情報

名称大歳家住宅茶室(おおとしけじゅうたくちゃしつ)
所在地兵庫県加古川市別府町新野辺881番地
区分登録有形文化財(建造物)
登録年月日平成11年(1999)11月18日
構造・形式木造平屋建、桟瓦葺・切妻屋根、南に銅板葺土庇、建築面積約18平方メートル、1棟
時代江戸時代・19世紀
公開個人所有の住宅の一部。常時公開なし

参考文献

最終更新日: 2026.07.04