隠居した当主のための小屋

別府町新野辺の大歳家の屋敷のうち、隠居部屋は家の中心から離れた静かな一画にある。この格の家では、家督を譲った当主が小ぶりで静かな建物へ移ることが多く、この棟がその役割を担った。

位置は主屋の東方、離屋の南東方で、敷地北東辺の外塀に沿って建ち、南東方で納屋に連なる。桁行4間半、梁間2間半の本瓦葺の身舎の前面に半間幅の庇を出し、縁付きの6畳間の南東に4畳の前室を、納屋との間に1間通りの土間入口を設ける。

登録された屋敷群の一部として

隠居部屋は、大歳家の9棟の一つとして平成11年(1999)11月18日に登録された。単体では小さな建物だが、隠居・接客・収納それぞれの場が揃った大庄屋の屋敷の、機能する一部として価値が認められている。

離屋や什器蔵に近く外塀に寄せて建つその位置は、屋敷の北端が接客や見せる場ではなく、家族の私的な裏庭側にあてられていたことを示している。

見どころ

ここで見るべきは壮麗さではなく、規模と間取りである。縁付きの6畳間は静かな内側の地へ向いていたとみられ、小さな前室が公私の切り替えを簡潔な形で示す。

北東の外塀に沿うため、瓦屋根と塗壁は屋敷の外縁の一部を形づくり、住宅自体は個人所有で常時公開されないものの、外側からその構えを読み取れる。

Q&A

Q何のための建物ですか。
A家督を譲った隠居の当主が暮らした棟で、主屋の生活空間から離れて建てられました。
Q規模は。
A建築面積は約56平方メートル。縁付き6畳間、4畳前室、土間入口から成ります。
Qいつ登録されましたか。
A平成11年(1999)11月18日、他の8棟とともに登録されました。
Q見学できますか。
A個人住宅の一部で常時公開はされていませんが、北東辺では外塀沿いに屋根と壁を望めます。

基本情報

名称大歳家住宅隠居部屋(おおとしけじゅうたくいんきょべや)
所在地兵庫県加古川市別府町新野辺881番地
区分登録有形文化財(建造物)
登録年月日平成11年(1999)11月18日
構造・形式木造平屋建、瓦葺(本瓦葺)、建築面積約56平方メートル、1棟
時代江戸時代・19世紀
公開個人所有の住宅の一部。常時公開なし

参考文献

最終更新日: 2026.07.04