旧上岡小学校第一棟とは
旧上岡小学校第一棟は、茨城県久慈郡大子町大字上岡にある明治43年(1910年)建築の木造校舎で、平成26年(2014年)12月19日に登録有形文化財となった。木造平屋建、鉄板葺で、建築面積は373平方メートル。校庭に南面して東西に長く延び、屋根は寄棟造である。
学校そのものの歴史は建物より古い。上岡の学校は明治12年(1879年)に児童51名で開かれ、明治25年(1892年)に上岡尋常小学校として独立した。校地を現在の場所へ移したのは明治44年(1911年)で、その前後に建てられたのがこの校舎にあたる。文化庁の国指定文化財等データベースも大子町の文化財解説も、建設年代を明治43年(1910年)としている。
校地は国道461号に面し、南側を押川が東西に流れる。北の八溝山塊と南の鷲子山塊に挟まれた場所で、山がちな大子町のなかでは平坦地の多い土地柄にあたる。南側を校庭にとり、一段高い北側に校舎を並べる配置がとられた。
児童数は昭和35年(1960年)の278名を最多として減り続け、平成13年(2001年)3月に閉校している。以後は地元の「上岡小跡地保存の会」が旧上岡小学校第一棟をはじめとする校舎の維持管理にあたってきた。
明治の設計基準を写した平面と構造
旧上岡小学校第一棟の平面は北側片廊下式である。廊下を建物の北側に寄せ、玄関ホールを挟んで東西に2室ずつ、あわせて4室の教室を並べる。教室の南面をまるごと窓に使えるので、午前も午後も光が入る。
明治28年(1895年)に文部省が示した「学校建築図説明及設計大要」は、近代日本の学校建築の設計基準を定めるうえで大きな影響をもった文書として知られる。大子町の解説によれば、上岡の校舎群は平面構成や採光の方法においてこの大要をよく守っている。中央が示した型が、八溝の山あいの小さな学校にまで届いていたことがわかる。
外壁は簓子下見板張である。板を横に張り重ね、その段に合わせて刻みを入れた縦の押縁で留める仕上げで、下見板張のなかでは手間のかかる納まりにあたる。小屋組は和小屋、軒は一軒の疎垂木で、垂木の間隔をゆるやかにとる。屋根は寄棟だが、中央には切妻造の玄関が前へ張り出し、東西の両端に昇降口が設けられた。
大正15年(1926年)と昭和43年(1968年)に改修を受けている。旧上岡小学校第一棟の鉄板葺の屋根は建設当初からのものではないが、規模と平面はおおむね建てられたときの形を保っている。
登録有形文化財としての価値
旧上岡小学校第一棟が登録有形文化財に登録されたのは平成26年(2014年)12月19日、登録番号は第08-0263号である。登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」にあたる。指定ではなく登録という制度が使われている点は、登録有形文化財の項に説明がある。
茨城県内で明治期の小学校校舎として残るものは多くない。県指定文化財の旧水海道小学校本館(明治14年・1881年)は水戸市の茨城県立歴史館へ移されて保存されており、建てられた場所に立ったままの明治の校舎としては旧上岡小学校第一棟が県内で最も古い、と大子町は説明している。
同じ校地の第二棟・第三棟も同じ日に登録され、3棟がひとまとまりの近代化遺産として扱われている。茨城県教育委員会は、明治に建てられた第一棟を中心に、高低差を利用して各校舎を配した構成が里山の歴史的景観に寄与している点を挙げる。
旧上岡小学校第一棟の見どころ
校庭側から向き合うと、東西に長い寄棟の屋根が中央だけ切妻の玄関で断たれ、その左右に下見板の壁が伸びていく。彫刻の類はほとんどない。
軒は見上げてみたい。垂木は一段で、間隔も詰まっていない。社寺建築の込み入った軒とは対照的な、住宅に近い簡素さである。簓子で押さえた下見板の縦の線が、壁面に一定の間隔で入っているのもここで確かめられる。
内部は北側の廊下を通って各教室に入る。窓は木のサッシで、閉校当時の校舎の様子をそのまま見学できると大子町は案内している。
旧上岡小学校第一棟の西側には平成4年(1992年)築の理科室、その南に昭和27年(1952年)築の図書室があり、校庭の東側には明治43年(1910年)築の物置が残る。いずれも改造が多いため登録の対象からは外れているが、校地が少しずつ手を入れられながら使われてきた経過を示している。
旧上岡小学校第一棟の見学案内
旧上岡小学校第一棟を含む校舎は、土曜・日曜・祝日に公開されている。開校時間は午前9時から午後4時まで、見学料は無料で、校舎の中にも入れる。平日は休みだが、夏休みの期間と紅葉の11月は毎日開けると大子町は案内している。テレビや映画の撮影が入る日は休みになることがあるため、遠方から向かうなら事前に確かめておきたい。
車では、常磐自動車道那珂インターチェンジから国道118号経由で約65分、東北自動車道矢板インターチェンジから国道4号・国道293号・国道118号経由で約75分。駐車場は校庭に隣接する専用のものを使う。鉄道ではJR水郡線常陸大子駅が最寄りで、茨城県の観光公式サイトは同駅からバス5分と案内している。
学校や団体での見学には、事前に見学申請書を大子町へ提出する必要がある。問い合わせ先は大子町観光商工課(電話0295-72-1138)。見学案内に載る住所は大字上岡957-3で、登録上の所在地である大字上岡914他とは表記が異なる。
撮影については、商業目的の撮影に制作会社向けの手続きが用意されている一方、個人の記念撮影の可否は町の案内に明記がない。校舎は現在も撮影に使われているので、当日の掲示や現地の指示に従うのが確実である。
Q&A
- 旧上岡小学校第一棟は見学できますか。開校日と開校時間は?
- 土曜・日曜・祝日に公開され、開校時間は午前9時から午後4時までです。校舎の中にも入れます。平日は休みですが、夏休みの期間と11月は毎日開校すると大子町は案内しています。撮影が入る日は休校になることがあります。
- 旧上岡小学校第一棟の見学料はいくらですか。
- 無料です。校庭に隣接する専用駐車場も利用できます。学校や団体で訪れる場合は、事前に見学申請書を大子町へ提出する必要があります。
- 旧上岡小学校第一棟はいつ建てられ、いつ登録有形文化財になりましたか。
- 建設年代は明治43年(1910年)です。大正15年(1926年)と昭和43年(1968年)に改修を受けました。登録有形文化財への登録は平成26年(2014年)12月19日、登録番号は第08-0263号です。
- 旧上岡小学校第一棟へのアクセスは?駐車場はありますか。
- 車なら常磐自動車道那珂インターチェンジから国道118号経由で約65分、東北自動車道矢板インターチェンジから国道4号・国道293号・国道118号経由で約75分です。校庭に隣接する専用駐車場があります。鉄道はJR水郡線常陸大子駅が最寄りで、同駅からバス5分と案内されています。
- 旧上岡小学校第一棟は茨城県で最も古い小学校校舎ですか。
- 建てられた場所にそのまま残る小学校校舎としては県内最古であると大子町は説明しています。これより古い旧水海道小学校本館(明治14年・1881年)は県指定文化財ですが、水戸市の茨城県立歴史館へ移築して保存されています。
基本情報
| 名称 | 旧上岡小学校第一棟 |
|---|---|
| 所在地 | 茨城県久慈郡大子町大字上岡914他 |
| 指定区分 | 登録有形文化財(建造物) |
| 指定年 | 平成26年(2014年)登録 |
| 員数 | 1棟 |
| 寸法 | 木造平屋建、鉄板葺、建築面積373平方メートル |
| 所有者 | 大子町 |
| 公開状況 | 土曜・日曜・祝日、午前9時から午後4時、無料 |
参考文献
- 国指定文化財等データベース 旧上岡小学校第一棟(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00010257
- 文化遺産オンライン 旧上岡小学校第一棟
- https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/235311
- 旧上岡小学校(大子町文化財一覧・国登録有形文化財)
- https://www.town.daigo.ibaraki.jp/page/page008097.html
- 旧上岡小学校(きゅううわおかしょうがっこう) 大子町観光情報
- https://www.town.daigo.ibaraki.jp/page/page005864.html
- 旧上岡小学校第一棟ほか2棟(茨城県教育委員会 いばらきの文化財)
- https://kyoiku.pref.ibaraki.jp/bunkazai/bunkazai-registered-6002/
- 旧上岡小学校(観光いばらき 茨城県公式観光サイト)
- https://ibarakiguide.jp/spot.php?code=161&mode=detail
最終更新日: 2026.09.06