酒蔵の店として通りに建つ
西岡家が筑波山の北麓で酒を造りはじめたのは天明2年(1782年)のこと。真壁の通りに面したこの店舗には、いまも銘酒「花の井」の名が掲げられている。古くからの店構えに見えるが、もとは清水屋酒造の主屋だった建物で、西岡本店が引き継いで自家の酒を売る顔とした。
店舗が建つのは、茨城県桜川市真壁町の旧商家町の一角、通りの東側である。木造2階一部平屋建、瓦葺で、建築面積はおよそ189平方メートル。主体部は桁行7間、梁行5間半の規模を切妻造でまとめる。
東側の半間通りには下屋(げや)を架け、南へ平屋建の店舗部を張り出す。地元の資料では、明治改元(1868年)以降、明治初期の建築とされる。西岡家が引き継ぐ以前は、清水屋酒造の主屋として使われていた。
登録が守るもの
この店舗が国の登録有形文化財となったのは平成13年(2001年)8月28日、官報告示は同年9月14日である。登録(とうろく)は、日本の文化財保護で用いられる二つの大きな区分のうち、より緩やかな仕組みにあたる。国宝や重要文化財に適用される指定(してい)が特に優れたものを対象とするのに対し、登録は明治期以降を中心とした数多くの建物、それも現役で使われ続けているものを幅広く守るために設けられた。
長く商いに使われてきたため、建物には改造の跡もある。それでも外観や土間(どま)、かつて杜氏(とうじ)のために設けられた座敷には、建てられた当時の姿が残る。働く場であり続ける建物が登録されているのは、この区分の趣旨にかなう。
蔵元を訪ねる
店舗は現在も西岡本店の事務所として使われており、内部は通常公開されていない。見どころは通りからの構えにある。長い切妻の屋根、下屋の軒、南へ張り出した店舗部の構成が、道からよく見て取れる。建物の前には、真壁の名産である御影石(みかげいし)でつくられた登録文化財の標識が立つ。
来訪者を迎えるのは敷地の奥である。かつての蔵がギャラリー・展示空間として活用されている。敷地内の売店では「花の井」を扱い、季節に合わせて展示を入れ替えている。仕込み場の見学は事前予約で受け付けているが、仕込みの最盛期はおおむね12月中旬から3月にかけてで最も忙しい時期にあたる。ゆっくり訪ねるならこの期間を外すとよい。
よくある質問
- 店舗の中を見学できますか。
- 店舗は現在、蔵元の事務所として使われているため、内部は通常公開されていません。来訪者は敷地内の売店や、旧蔵を改装したギャラリーで迎えられ、仕込み場の見学は事前予約で受け付けています。
- 「花の井」とは何ですか。名前の由来は。
- 「花の井」は西岡本店の日本酒の銘柄です。かつて敷地内の井戸のかたわらにあった桜の木に由来し、花の咲く井戸という発想から名づけられたとされます。
- 西岡本店の創業はいつですか。
- 天明2年(1782年)、近江国日野(現在の滋賀県)出身の商人・西岡半右衛門によって創業されました。この地域でも古い部類の酒蔵のひとつです。
- 真壁へのアクセスは。
- 真壁にはすでに鉄道が通っていません。多くの方は車(桜川筑西インターチェンジから20〜25分ほど)か、JR水戸線の岩瀬駅から出る路線バスで訪れます。
- 訪れるのによい時期はありますか。
- 2月から3月初めの「真壁のひなまつり」に合わせて訪れる人が多く、町じゅうの家々に雛人形が飾られ、通りがもっとも賑わう時期です。
基本情報
| 名称 | 西岡本店店舗(にしおかほんてんてんぽ) |
|---|---|
| 所在地 | 茨城県桜川市真壁町田6-1 |
| 指定区分 | 登録有形文化財(建造物) |
| 登録年月日 | 平成13年(2001年)8月28日(告示 同年9月14日) |
| 員数 | 1棟 |
| 構造 | 木造2階一部平屋建、瓦葺 |
| 建築面積 | 約189平方メートル |
| 時代 | 明治(1868-1911年)/地元資料では明治初期 |
| 公開・見学 | 蔵元の事務所として使用(外観見学)。敷地内の売店・ギャラリーは見学可、酒蔵見学は事前予約制 |
参考資料
- 国指定文化財等データベース(文化庁)西岡本店店舗
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00002205
- 文化遺産オンライン(国立情報学研究所)西岡本店店舗
- https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/148815
- 株式会社西岡本店「花の井」公式サイト
- https://hananoi.jp/
- 桜川市観光協会 真壁と登録文化財
- https://www.kankou-sakuragawa.jp/page/page000255.html
最終更新日: 2026.06.25