いまも現役で使われる昭和44年のホール
土浦市民会館は、茨城県土浦市東真鍋町にある昭和44年(1969年)竣工の多目的ホールで、令和6年(2024年)3月6日に登録有形文化財(建造物)となった。命名権により「クラフトシビックホール土浦」の愛称でも呼ばれる。登録された建造物のなかでは珍しく、入館券ではなく公演のチケットを持って入る建物である。
適用された登録基準は「造形の規範となっているもの」だった。近代の建物に用いられる二つの基準のうち、周囲の景観ではなく建築そのものの質を問う側である。
構造は鉄筋コンクリート造一部鉄骨造の3階建、屋根は陸屋根、建築面積は2,674平方メートル。
音響の専門家が設計した建物
土浦市民会館を設計したのは佐藤武夫(1899年から1972年)である。意匠の人というより、建築音響工学における当時の第一人者として知られた。全国のホールを手がけたその経歴は、この建物の平面にもはっきり表れている。
大ホールは東側に置かれ、3階分を吹き抜けて立ち上がる。側面の壁と天井は曲面で構成されており、これは装飾ではない。反射音を配り、生の管弦楽をひとつの響きにまとめるための形である。仕上げには不燃処理を施したクルミ材の化粧合板が使われ、室内はやや赤みを帯びた落ち着いた色調になる。木がもたらす柔らかさが、そのまま音の手ざわりにつながっている。土浦市は、登録有形文化財となったコンサートホールとしては関東地方でも最大級と説明する。
小ホールは西側の2階と3階を占める。傾斜した客席を持つ靴箱形の単純な直方体で、音響設計者が講演や室内楽に対して信頼を置いてきた形式である。
開演前に見ておきたいところ
早めに着くとよい。設計の主張は南正面に集まっていて、暗いホールに入ってしまえば、帰るまで見る機会はない。
南面は全幅が階段になっている。扉に達する前に、まず通りから一段持ち上げられる仕掛けである。その奥に角柱の列柱廊が並び、さらにガラス壁がそれを画す。平らな正面ではなく、柱が幾重にも重なる奥行きとして見えてくる。ガラスの内側のホワイエは吹抜で、日中は柱の影が長く床を横切る。用いられている語彙は古典主義のもので、それをコンクリートとガラスに移し替えている。ありふれた公共施設の箱に、晴れがましさを与えているのはこの部分である。
平成30年(2018年)から令和2年(2020年)にかけて、耐震補強と大規模改修のため全館が休館した。工事は安全性と使い勝手を現在の水準に引き上げ、2020年に再開館している。外観と二つのホールの見どころは残されており、だからこそ登録は改修の後に続いた。
土浦市民会館の見学について
土浦市民会館は博物館ではなく稼働中の施設なので、入口はプログラムのほうにある。演奏会でも発表会でも学校行事でもよい、チケットを1枚買えば、ホワイエも列柱廊も、二つのホールのどちらかも、通常の使われ方のまま見ることができる。何が開かれているかは、土浦市のウェブサイトにあるイベントカレンダーで確かめられる。
事務室の受付時間は、開館日の午前9時から午後5時まで。利用の相談もここで扱う。休館日は毎週月曜日で、月曜日が祝日にあたるときは翌平日に振り替わる。12月29日から1月3日までも休館となる。施設は午前、午後、夜間、全日の4区分で借りることができ、申し込みは利用日の6か月前から14日前まで、来館して手続きする決まりになっている。
公演中の客席での撮影は、ほかの劇場と同様に認められていない。外観と南面の大階段は、通りから自由に撮ることができる。
JR土浦駅西口のバスターミナル4番乗り場からが基本の経路になる。関鉄観光バスなら7分から10分で、市民会館前で降りる。関鉄路線バスの協同病院行きも使え、この場合は真鍋新町で降りて徒歩10分ほど。まちづくり活性化バス「キララちゃん」の循環コースもここに停まる。車では土浦北インターチェンジから霞ヶ浦方面へ10分ほど。ただし駐車台数は限られており、市は近隣の私有駐車場を使わないよう呼びかけている。
Q&A
- 土浦市民会館の中に入れますか。入場料はかかりますか。
- 見学施設ではないため、建物自体の入場料はありません。公演の観覧者や施設を借りた利用者に内部が開かれる形なので、イベントカレンダーに載っている催しのチケットを買うのが実際的です。事務室の受付は開館日の午前9時から午後5時までです。
- 土浦市民会館の休館日はいつですか。
- 毎週月曜日です。月曜日が祝日にあたるときは翌平日が振替休館となります。年末年始は12月29日から1月3日まで休館します。
- 土浦市民会館は誰が設計したのですか。
- 佐藤武夫(1899年から1972年)です。建築音響工学の分野で当時の第一人者とされた人物で、大ホールの曲面の側壁と天井、南正面の古典主義的な列柱廊はいずれも佐藤の設計によります。
- 土浦市民会館はなぜ登録有形文化財になったのですか。
- 2024年に「造形の規範となっているもの」という登録基準で登録されました。土浦市は、南面全幅の大階段、ガラス壁で画された列柱廊、大ホールの音響的な処理を挙げています。
- 土浦駅から土浦市民会館へはどう行けばよいですか。
- 西口バスターミナルの4番乗り場を使います。関鉄観光バスなら7分から10分で市民会館前に着きます。関鉄路線バスの協同病院行きに乗る場合は、真鍋新町で降りて徒歩10分ほどです。
基本情報
| 名称 | 土浦市民会館(つちうらしみんかいかん)/愛称 クラフトシビックホール土浦 |
|---|---|
| 所在地 | 茨城県土浦市東真鍋町1480-2 |
| 指定区分 | 登録有形文化財(建造物) |
| 指定年 | 令和6年(2024年)3月6日登録 |
| 員数 | 1棟 |
| 寸法 | 鉄筋コンクリート造一部鉄骨造3階建、陸屋根、建築面積2,674平方メートル |
| 所有者 | 土浦市 |
| 公開状況 | 公演の観覧や施設利用で内部に入れる。月曜日と年末年始は休館 |
参考文献
- 文化庁 国指定文化財等データベース「土浦市民会館」
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00014733
- 文化遺産オンライン「土浦市民会館」
- https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/555271
- 土浦市「『土浦市民会館(クラフトシビックホール土浦)』が登録有形文化財に登録されました。」
- https://www.city.tsuchiura.lg.jp/kanko-bunka-sports/rekishi-bunkazai-maizobunkazai/shitei-touroku/news/page019426.html
- 土浦市 クラフトシビックホール土浦「ご利用案内」
- https://www.city.tsuchiura.lg.jp/craft-civic-hall-tsuchiura/page001031.html
- 土浦市 クラフトシビックホール土浦「交通アクセス」
- https://www.city.tsuchiura.lg.jp/craft-civic-hall-tsuchiura/page004221.html
- 茨城県教育委員会 いばらきの文化財「土浦市民会館」
- https://kyoiku.pref.ibaraki.jp/bunkazai/bunkazai-31967/
最終更新日: 2026.09.09