岩瀬家住宅道具蔵 ― 中庭に建つ土蔵造の蔵

岩瀬家住宅道具蔵は、香川県坂出市新浜町にある製塩業者岩瀬家の屋敷で、主屋の背後の中庭に明治44年(1911年)頃に建てられた土蔵造2階建ての蔵であり、平成31年(2019年)3月29日に登録有形文化財に登録された(登録番号37-434)。

主屋の背面の中庭に、東を正面にして建つ。屋根は切妻造本瓦葺で、建築面積は60平方メートル。正面には下屋を通し、その中央に戸口を開く。

一般に道具蔵は、客用の膳椀や調度など、家の道具類を納めておく蔵を指す。大勢の客をもてなす商家では、座敷で使う道具を季節や行事ごとに出し入れするための蔵が欠かせなかった。

登録の理由 ― 大きく丁寧につくられた中庭の要

文化庁の解説は、岩瀬家住宅道具蔵を大規模でかつ丁寧なつくりの蔵とし、中庭を構成する要素として評価している。

外壁は漆喰塗りで、腰まわりと建物の四隅を海鼠壁とする。平瓦を張って目地を漆喰で盛り上げる海鼠壁は、雨や火に弱い土壁の足元と角を守る仕上げで、白い壁面に格子の目地が走る姿が蔵の外観を引き締める。

内部は上下の階とも板敷で、壁には縦に板を張る。土蔵の内側の板張りには、納めた道具を湿気や壁の土から守る役目がある。

注目したいのは小屋組である。屋根を支える骨組みに、三角形を基本とする洋式のトラスが用いられている。伝統的な土蔵の外観を保ちながら、内側の骨組みに明治以降に広まった洋式の技術を取り入れている点に、この蔵の建った時代が表れている。

見どころ ― 海鼠壁と下屋の正面

岩瀬家住宅道具蔵の外観は、漆喰の白と海鼠壁の目地が描く格子との対比がもっとも目を引く。腰と四隅に限って海鼠壁を張るため、壁の中ほどは平滑な白い面として残り、構成がくっきりと読める。

正面の下屋は戸口の前に雨をよける軒をつくる。中庭の中で、主屋・新座敷と向き合う位置に置かれたこの蔵は、屋敷の奥の景色を形づくる建物でもある。

屋根を本瓦葺とする点も見逃せない。主屋や新座敷が桟瓦葺であるのに対し、道具蔵は重い本瓦で葺かれており、蔵に求められた堅牢さがうかがえる。

岩瀬家住宅道具蔵の見学

岩瀬家住宅道具蔵は個人が所有する住宅の中庭にあり、公開されていない。主屋の背後に建つため、敷地の外から見ることはほぼできない。

屋敷への行き方と見学の条件は、岩瀬家住宅のページにまとめてある。

Q&A

Q岩瀬家住宅道具蔵は見学できますか?
A個人所有の住宅の中庭にあり非公開です。主屋の背後に建つため、敷地の外からはほぼ見えません。
Q岩瀬家住宅道具蔵はいつ建てられましたか?
A文化庁のデータベースでは明治44年(1911年)頃の建築です。
Q岩瀬家住宅道具蔵の構造は?
A土蔵造2階建て、切妻造の本瓦葺で、建築面積は60平方メートルです。小屋組には洋式のトラスが用いられています。
Q岩瀬家住宅道具蔵の外壁はどんな仕上げですか?
A漆喰塗りで、腰まわりと四隅を海鼠壁としています。
Q岩瀬家住宅道具蔵には何が納められていたのですか?
A道具蔵は一般に客用の膳椀や調度などの家財を納める蔵です。岩瀬家で具体的に何を納めていたかを示す公的資料は確認できませんでした。

基本情報

名称岩瀬家住宅道具蔵
所在地香川県坂出市新浜町3328
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年平成31年(2019年)3月29日登録
員数1棟
寸法土蔵造2階建、瓦葺、建築面積60平方メートル
所有者個人
公開状況非公開(個人の住宅)

参考文献

国指定文化財等データベース「岩瀬家住宅道具蔵」(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00012827
登録有形文化財(建造物)の登録について(文化庁 報道発表資料 平成30年11月16日)
https://www.bunka.go.jp/koho_hodo_oshirase/hodohappyo/__icsFiles/afieldfile/2018/12/14/a1411175_01_1.pdf
文化財一覧(坂出市)
https://www.city.sakaide.lg.jp/soshiki/bunkashinkou/bunkazaiichiran.html
香川県内の登録有形文化財(香川県教育委員会)
https://www.pref.kagawa.lg.jp/kenkyoui/shogaigakushu/bunkazai/culturalassets/culturalassets_16.html

最終更新日: 2026.09.24