岩瀬家住宅表門 ― 敷地の東北隅に立つ薬医門

岩瀬家住宅表門は、香川県坂出市新浜町にある製塩業者岩瀬家の屋敷の正門で、明治後期に建てられた本瓦葺の薬医門であり、平成31年(2019年)3月29日に登録有形文化財に登録された(登録番号37-435)。

門は敷地の東北の隅にあり、敷地の境からわずかに内側へ引いた位置に、東を向いて建つ。間口は2.1メートル。屋根は切妻造本瓦葺で、軒先へ向かってゆるやかに盛り上がる「起り(むくり)」をつけている。

門の前からは植込枠石組で縁取られた導入路が北へ延びて街路に通じ、門の左右には土塀が続く。岩瀬家住宅表門は、街路から主屋へ向かう道行きの折り返し点にあたる。

登録の理由 ― 豪商の表構えを重厚に整える門

文化庁の解説は、岩瀬家住宅表門を、豪商の屋敷の表構えを重厚に整える門として評価している。平成30年(2018年)の文化審議会の答申資料も、本瓦葺の薬医門が屋敷の重厚な構えをつくると述べる。

薬医門は、門扉を吊る2本の本柱と、その後ろに立つ2本の控柱とで屋根を支える門の形式である。岩瀬家住宅表門では、本柱に断面が長方形の「五平」の材を用い、本柱の両脇に壁を設けて、南側に通用口の潜戸を開いている。

屋根を受ける仕組みも凝っている。本柱の頭をつなぐ冠木と、控柱の頭をつなぐ虹梁形の頭貫との上に、4本の梁を前後に渡し、その梁で軒桁を受ける。梁を4本も並べる構成は間口2.1メートルの門としては重く、見た目の堂々とした量感につながっている。

見どころ ― 起り屋根と梁の架け方

外観でまず見たいのは屋根の線である。本瓦の重い屋根に起りをつけることで、門の規模のわりに屋根が大きく、やわらかな印象になる。

門の下に入る機会があれば、頭上の梁組に注目したい。冠木と虹梁形の頭貫とを4本の梁がつなぐ様子は、薬医門の構造を理解するうえでよい手本になる。

両脇を壁で閉じ、南にだけ潜戸を設ける構えは、門を閉ざしたままでも人の出入りができる実用的なつくりでもある。

岩瀬家住宅表門の見学

岩瀬家住宅表門は個人が所有する住宅の門で、門の内側へ入ることはできない。門前の導入路も私有地なので、公道から眺めるにとどめたい。

写真を撮る場合も公道からとし、門が開いていても中をのぞき込まない配慮がいる。屋敷への行き方は、岩瀬家住宅のページにまとめてある。

Q&A

Q岩瀬家住宅表門は見学できますか?
A個人所有の住宅の門で、門の内側には入れません。門前の導入路も私有地のため、公道から眺める形になります。
Q岩瀬家住宅表門はいつ建てられましたか?
A文化庁のデータベースでは明治後期の建築です。
Q岩瀬家住宅表門はどんな形式の門ですか?
A本柱と控柱で屋根を支える薬医門で、切妻造・本瓦葺の起り屋根をかけています。本柱の両脇は壁とし、南側に潜戸があります。
Q岩瀬家住宅表門の大きさは?
A間口は2.1メートルです。
Q岩瀬家住宅表門が登録有形文化財になったのはいつですか?
A平成31年(2019年)3月29日で、登録番号は37-435です。

基本情報

名称岩瀬家住宅表門
所在地香川県坂出市新浜町3328-2
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年平成31年(2019年)3月29日登録
員数1棟
寸法木造、瓦葺、間口2.1メートル、南脇潜戸付
所有者個人
公開状況非公開(外観は公道から)

参考文献

国指定文化財等データベース「岩瀬家住宅表門」(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00012828
登録有形文化財(建造物)の登録について(文化庁 報道発表資料 平成30年11月16日)
https://www.bunka.go.jp/koho_hodo_oshirase/hodohappyo/__icsFiles/afieldfile/2018/12/14/a1411175_01_1.pdf
文化財一覧(坂出市)
https://www.city.sakaide.lg.jp/soshiki/bunkashinkou/bunkazaiichiran.html
香川県内の登録有形文化財(香川県教育委員会)
https://www.pref.kagawa.lg.jp/kenkyoui/shogaigakushu/bunkazai/culturalassets/culturalassets_16.html

最終更新日: 2026.09.24