真鍋家住宅中門及び塀
大きな屋敷は、客を一気に招き入れはしない。南面の長い入口の門と主屋の玄関との間に、真鍋家はもう一つの小さな門、すなわち中門を据え、そこから短い塀を延ばした。二つは主屋前の内庭を囲い、訪れる者が外の導入路から一族のより私的な領域へと踏み入る地点を示している。
門の建立は明治四一年(一九〇八)。形式は薬医門で、主柱を前に立て、その後ろに控柱を添える構えとし、間口約一・五メートルの上に切妻造本瓦葺の屋根を架ける。材はケヤキ。堅く木目の美しいこの木は、強さと見栄えの両方のために選ばれた。付属する塀は銅板葺で総延長およそ一一メートル。これによって通路は単なる出入口ではなく、練り上げられた一連の流れとなる。
登録の理由と価値
中門及び塀は平成二九年(二〇一七)五月二日、登録有形文化財となった。登録基準は「造形の規範となっているもの」。屋敷の外周を構成する諸工作物のなかで、職人の技が見せることに向けられているのがこの一件である。一族が印象づけたいと願う相手の目に触れるために造られ、その仕上げもそれにふさわしく選ばれた。
この登録は、門と塀の一対をそれ自体一つの造形として認めている。長い外塀が屋敷の規模を語るとすれば、中門が語るのは趣味である。その役割は到着の体験を演出することにあり、これほど小さな工作物に注がれた手間は、その体験が格式ある家にとってどれほど大切だったかを教えてくれる。
見どころ
塀は両面で仕上げを違え、その対比こそ注目すべき点である。玄関側は上部を黒漆喰、腰を幅広の板張とし、一間ごとに格子窓を配して、塀を閉じきりでも開ききりでもないものにしている。内庭側は腰の上下ともに網代壁とし、その囲う私的な空間にふさわしい、より柔らかく親密な肌合いを与える。
門そのものは、その仕口をじっくり見る値打ちがある。ケヤキは高価で加工も難しく、それで建てた門は、この家が最良の材を用いうることを示していた。門と塀を合わせた一式は、客を儀礼の感覚とともに内へ進ませるよう設計されていた。個人の住まいの一部であるため中に入ることはできないが、その存在は外の導入路からも感じ取れる。
Q&A
- 薬医門とはどのような門ですか。
- 主柱を前に立て、後ろに控柱を添えて切妻の屋根を架ける門の形式です。真鍋家の中門はケヤキ造の薬医門です。
- 中門はどんな役割を果たしますか。
- 長い入口の門と主屋の玄関の間に位置し、内庭を囲って、外の導入路から一族の私的な領域へ移る地点を示します。
- 塀はどのように仕上げられていますか。
- 玄関側は上部が黒漆喰、腰が板張で、一間ごとに格子窓を設けます。内庭側は腰の上下ともに網代壁とします。
- なぜケヤキを用いたのですか。
- ケヤキは堅く木目が美しい一方、加工に手間のかかる高価な材です。それで門を建てることは、家が良材と優れた職人を動かせたことを示しました。
基本情報
| 名称 | 真鍋家住宅中門及び塀(まなべけじゅうたくなかもんおよびへい) |
|---|---|
| 所在地 | 香川県高松市林町字宮西58-1 |
| 指定区分 | 登録有形文化財(建造物)/登録日 平成29年5月2日/登録番号 37-0426 |
| 年代 | 明治41年(1908年) |
| 構造・員数 | 門 木造、瓦葺、間口約1.7m/塀 木造、銅板葺、総延長約11m/1棟 |
| 見学 | 個人所有につき常時公開なし。 |
References
- 国指定文化財等データベース — 真鍋家住宅中門及び塀(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00011581
最終更新日: 2026.07.11