真鍋家住宅離れ
主屋の背面、渡り廊下でつながる先に、真鍋家の敷地で現存最古の建物が建つ。離れである。今その前に建つ主屋よりも古い。もっとも自然な読み方は、これが隠居屋、すなわち家督を次の代に譲った当主が同じ屋敷内で静かな暮らしを送るための隠居の住まいとして建てられた、というものである。
建立は明治八年(一八七五)頃で、大正一五年(一九二六)に改修されている。木造平屋建の一部を二階建とする。主要な部分は家人が「オヘヤ」と呼んだ座敷で、桁行六間・梁間三間、切妻造の本瓦葺とし、蔵座敷風の外観を見せる。年長者の部屋にときに与えられる、重厚で品のある構えである。これに桁行三間・梁間二間、寄棟造桟瓦葺の小さな二階建部分が付く。
登録の理由と価値
離れは平成二九年(二〇一七)五月二日、登録有形文化財となった。登録基準は「造形の規範となっているもの」。内部の造作の質が特に評価されており、その古さがこの建物に独特の価値を与えている。屋敷の最前列での役割を後に建つ立派な主屋に譲った、その下層にあたる、一族の最も古い建材をこの離れは担っているのである。
隠居屋は、退く当主が家を離れずに一歩退くという隠居の習わしを記録している。その目的のために設けられ、取り払われずに保たれ改修された建物は、真鍋家が周囲を建て替えながらも自らの過去を手放さずにいたことを示している。
見どころ
オヘヤの蔵座敷風の性格が、注目すべき特徴である。この扱いは、住まいの座敷に蔵のようなより重く守りの強い外観を与えるもので、品位があり少し厳めしく、それが収めた人の年長の立場にふさわしい。道路に面するのではなく主屋の背後に置かれたこの建物は、客に見せるためではない私的な場所であった。
二階建部分は構成に第二の尺度を加え、その軽い桟瓦葺の屋根が、古い部分の本瓦と対をなす。建物全体が建立から半世紀を経た大正一五年に改修されたことは、一族が受け継いだ建物を建て替えるのではなく、変わりゆく必要に合わせて手を入れてきたことを示している。離れは個人の住まいの内、主屋の背後にあるため、屋敷のなかでもっとも見えにくい部分の一つであり、一般の見学はできない。
Q&A
- 離れはなぜ重要なのですか。
- 敷地内で現存最古の建物で、現在の主屋より古く、隠居屋として建てられたと考えられます。内部の造作の質が評価されています。
- 隠居屋とは何ですか。
- 当主が家の運営を次の代に譲ったのち、同じ屋敷内で暮らすための隠居の住まいです。
- いつ建てられ、いつ改修されましたか。
- 明治八年(一八七五)頃の建立で、大正一五年(一九二六)に改修されました。平成二九年(二〇一七)に登録有形文化財となりました。
- 蔵座敷風とはどういう意味ですか。
- 住まいの座敷に蔵のような重く堅固な外観を与える扱いで、年長の家族の部屋にときに用いられる品位ある構えです。
基本情報
| 名称 | 真鍋家住宅離れ(まなべけじゅうたくはなれ) |
|---|---|
| 所在地 | 香川県高松市林町字宮西58-1 |
| 指定区分 | 登録有形文化財(建造物)/登録日 平成29年5月2日/登録番号 37-0420 |
| 年代 | 明治8年(1875年)/大正15年(1926年)改修 |
| 構造・員数 | 木造平屋一部2階建、瓦葺、建築面積約97㎡/1棟 |
| 見学 | 個人所有につき常時公開なし。主屋の背後にあり見えにくい。 |
References
- 国指定文化財等データベース — 真鍋家住宅離れ(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00011575
最終更新日: 2026.07.11