野村隆男家住宅とは

野村隆男家住宅は、高知県安芸市土居の武家町・土居廓中(どいかちゅう)にある江戸時代末期(1830〜1867年)の武家屋敷で、主屋、門、塀、便所・風呂棟、納屋、薪置き場、井戸の7件が平成17年(2005年)7月12日に国の登録有形文化財に登録された。安芸市や観光協会の案内では「野村家住宅」の名で紹介されており、現地でもこちらの呼び名が通っている。

7件は同じ日に登録され、登録番号は39-0188から39-0194まで連続する。登録基準はいずれも「国土の歴史的景観に寄与しているもの」で、主屋だけでなく、便所や薪置き場のような小さな附属屋、地面に穿たれた井戸までが一つずつ登録されている点に、この屋敷の特色がある。

屋敷は平成20年(2008年)に安芸市へ寄贈され、現在は市の所有として一般に公開されている。土居廓中には約40戸の屋敷が残るが、観光協会などの案内によれば、一般に公開されているのは野村隆男家住宅だけである。

五藤家の家臣・野村家と土居廓中

土居廓中は、戦国時代に築かれた安芸城の跡を中心に、江戸時代に土佐藩家老の五藤家が大きな屋敷を構えたことで形づくられた武家町である。範囲は東西約410メートル、南北約360メートル、面積は約9.2ヘクタールで、平成24年(2012年)7月9日に国の重要伝統的建造物群保存地区に選定された。

安芸市の説明では、野村家はもとは香美郡山北村(現在の香南市香我美町山北)の出で、五藤家が安芸に入ってから召し抱えられ、財政や家臣の人事などをまとめる惣役(そうやく)を務めた家である。

建てられた時期について、文化庁のデータベースは7件すべてを江戸末期とする。安芸市観光協会は、主屋を天保のころ(1830年ごろ)の建築と推定し、廓中に残る屋敷のなかで最も古いものとしている。

廓中では、屋敷ごとの生垣や樹木の管理が早くから定められていた。明和4年(1767年)の「御土居附屋鋪牒」に管理の細かな決まりが記されていることを、安芸市が紹介している。野村隆男家住宅の周りを囲む生垣も、そうした町並みの一部として見ておきたい。

7件の配置と歩く順序

野村隆男家住宅の敷地は、西側の通りに向かって門を開く。門は屋敷地の西辺のほぼ中央、やや南寄りに立ち、これをくぐると正面に主屋の西の妻側と、その中央に設けられた式台玄関が見えてくる。

門の南からは、瓦を練り込んだ低い塀が東へ延び、主屋の西南端に取り付く門(文化庁の解説では「南塀重門」)までをつないでいる。安芸市は、土居廓中の屋敷には道路から主屋の玄関までを生垣や練塀、板塀が折れ曲がりながら導く、枡形のような入り方が多いと説明している。こうち旅ネットは、この玄関脇の塀重門を襲撃に備えて設けられた門として紹介している。

主屋の北側、敷地の西辺に沿っては附属屋が南から順に並ぶ。門のすぐ北に便所・風呂棟、その先に物置と米蔵からなる納屋、北西の隅に薪置き場が建ち、納屋と薪置き場のあいだは屋根を架けた通路状の部分で結ばれている。井戸は主屋の台所棟(かま屋)の北西、薪置き場の入口の前にある。

歩く順序としては、門から入って塀と南の門を確かめ、主屋を見学したあと、北の裏庭へまわって井戸と薪置き場、納屋、便所・風呂棟を南へたどり、門へ戻ると屋敷を一巡できる。表の構えと裏の暮らしの場が、一つの敷地のなかで近い距離に収まっている。

見学案内(時間・料金・アクセス)

野村隆男家住宅の見学は無料で、年中無休である。安芸市によると見学時間は午前8時頃から午後5時頃までで、天候などにより変わることがある。安芸市観光協会は見学の所要時間を約30分としている。撮影の可否については、市や観光協会の案内に記載が見当たらなかったため、気になる場合は安芸観光情報センター(電話0887-34-8344)に確かめるとよい。

土居廓中は保存地区であると同時に、住民が日々を送る住宅地でもある。安芸市は、散策の際にマナーを守るよう呼びかけている。野村隆男家住宅以外の屋敷は住まいとして使われているので、門の内側をのぞき込むようなことは控えたい。

最寄り駅は土佐くろしお鉄道ごめん・なはり線の安芸駅で、駅から車で約5分、レンタサイクルで約10分、歩くと約30分かかる。安芸市営の元気バスを使う場合は「野良時計前」で降り、土居廓中までは徒歩約2分である。車では高知東部自動車道の芸西西ICから約25分、高知自動車道の南国ICから約55分とされる。

駐車場の案内は資料によって異なる。安芸市は、地区内に来訪者用の駐車場はなく、南へ徒歩3分ほどの溝ノ辺公園駐車場を使うよう案内している。高知県観光コンベンション協会のサイトは、無料の駐車場として土居公民館を挙げている。

参考文献

野村隆男家住宅主屋(文化庁 国指定文化財等データベース)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00004842
野村隆男家住宅門(文化庁 国指定文化財等データベース)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00004843
野村隆男家住宅便所・風呂棟(文化庁 国指定文化財等データベース)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00004844
野村隆男家住宅納屋(文化庁 国指定文化財等データベース)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00004845
野村隆男家住宅薪置き場(文化庁 国指定文化財等データベース)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00004846
野村隆男家住宅井戸(文化庁 国指定文化財等データベース)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00004847
野村隆男家住宅塀(文化庁 国指定文化財等データベース)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00004848
野村隆男家住宅主屋(文化遺産オンライン)
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/170152
安芸市土居廓中伝統的建造物群保存地区(安芸市)
https://www.city.aki.kochi.jp/life/dtl.php?hdnKey=1381
土居廓中・武家屋敷(安芸市観光協会)
https://www.akikanko.or.jp/kanko/doikatyu.html
野村家住宅・土居廓中(こうち旅ネット、高知県観光コンベンション協会)
https://kochi-tabi.jp/search_spot_activity.html?id=16472
土居廓中(こうち旅ネット、高知県観光コンベンション協会)
https://kochi-tabi.jp/search_spot_sightseeing.html?id=802

最終更新日: 2026.09.29

基本情報

名称野村隆男家住宅
所在地高知県安芸市土居994
所有者安芸市
指定登録有形文化財 7件
座標33.51858, 133.91144