武者小路千家とは
武者小路千家は、京都市上京区の武者小路通に面して建つ茶道の家元の屋敷で、明治14年(1881年)頃の主屋と土蔵、大正15年(1926年)の茶室官休庵、昭和15年(1940年)の茶室弘道庵の4件が、平成16年(2004年)11月8日に国の登録有形文化財に登録された。
表千家・裏千家と並ぶ三千家の一つで、家の名は屋敷のある武者小路通から来ている。読みは流儀自身が「むしゃこうじせんけ」とし、文化庁のデータベースは「むしゃのこうじせんけ」とふりがなを振る。「官休庵」は本来は茶室の名だが、武者小路千家そのものや、屋敷を所有する公益財団法人官休庵を指して使われることも多い。
一翁宗守から愈好斎まで:焼失と再建の歴史
武者小路千家の流祖は、千利休の孫にあたる千宗旦の次男、一翁宗守である。一翁は若いころ千家を離れ、吉岡甚右衛門と名のって塗師を営んだ。のちに兄弟の勧めで家業を初代中村宗哲に譲って千家に戻り、武者小路の現在地に茶室官休庵を建てた。讃岐高松藩の茶道指南も務め、この役目は一指斎の代まで歴代に受け継がれている。
屋敷は江戸時代に3度焼けた。安永元年(1772年)の火災、天明8年(1788年)の天明の大火、嘉永7年(1854年)の御所焼けと呼ばれる大火である。そのたびに当主が茶室を建て直してきた。
いま残る武者小路千家の建物の骨格は、明治に入ってから整った。維新前後の混乱で立て直しは遅れたが、一指斎が明治14年(1881年)に茶室と庭の一部を再建している。登録された主屋と土蔵は、文化庁の記録でこのころの建築とされる。
一指斎が明治31年(1898年)に没すると、養子の愈好斎は表千家に引き取られ、家はしばらく途絶えた。成人した愈好斎が武者小路千家を再興し、大正15年(1926年)に官休庵を、利休350年忌にあたる昭和15年(1940年)に弘道庵を建て直した。愈好斎は利休から数えて12代にあたり、文化庁の解説は一翁を初代とする数え方で9代と記している。
武者小路千家の屋敷の配置
武者小路千家の屋敷は、南側の武者小路通に表を向ける。通りの西寄りに通用門、東寄りに弘道庵前の車回しと表玄関がある。
露地は敷地の南側を西から東へ進み、そこから北へ細長く奥へ延びる。主屋は敷地の西側に建ち、半宝庵・環翠園・行舟亭の3席と祖堂を内に抱える。土蔵は敷地の西辺で主屋の北に接し、官休庵は主屋の北の付属棟の東に取り付く。弘道庵は露地を挟んで主屋の東にあり、渡り廊下でつながる。
露地の中門は、屋根の形が編笠に似ることから編笠門と呼ばれる。竹格子の両開き戸に、大きく反りを描く檜皮葺の屋根を載せた門で、直斎の好みを原型とし、愈好斎の再建以降はおよそ20年ごとに屋根を葺き替えている。露地の北には平成5年(1993年)建築の2階建の茶室起風軒が建ち、平成17年(2005年)には環翠園の上の2階を改めた総黒漆塗りの茶室仰文閣ができた。編笠門・起風軒・仰文閣は登録の対象に含まれていない。
登録された武者小路千家の4件
武者小路千家の4件は、いずれも平成16年(2004年)11月8日に登録され、登録番号は26-0182から26-0185まで続いている。
- 主屋:明治14年(1881年)頃、木造2階建、建築面積201平方メートル。茶室3席と祖堂を内に配した数寄屋の住宅
- 茶室官休庵:大正15年(1926年)、木造平屋建、建築面積11平方メートル。1畳の客座に台目の点前座が付く小間
- 茶室弘道庵:昭和15年(1940年)、木造平屋建、建築面積59平方メートル。15畳の広間をもつ稽古の間
- 土蔵:明治14年(1881年)頃、建築面積23平方メートル。敷地の西辺に建つ白漆喰の蔵
登録基準は、主屋と2棟の茶室が「造形の規範となっているもの」、土蔵が「国土の歴史的景観に寄与しているもの」である。建物ごとの詳しい内容は、それぞれのページで扱っている。
武者小路千家の見学案内(公開状況・アクセス)
武者小路千家は、いまも茶道の稽古や茶会に使われている家元の屋敷である。一般公開はしておらず、京都市の観光案内も非公開としている。見学の受付も案内されていない。
通りから見えるのは、武者小路通に面した門構えと塀までである。門の前に長く立ち止まらず、出入りする人の妨げにならないよう気をつけたい。
最寄り駅は京都市営地下鉄烏丸線の今出川駅で、6番出口から歩いて約10分。武者小路通と小川通は一方通行で、駐車場も限られるため、官休庵は公共交通機関での来訪を勧めている。小川通を北へ進んで今出川通を越えた先には、表千家と裏千家の屋敷がある。
参考文献
- 武者小路千家主屋(文化庁 国指定文化財等データベース)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00004366
- 武者小路千家茶室官休庵(文化庁 国指定文化財等データベース)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00004367
- 武者小路千家茶室弘道庵(文化庁 国指定文化財等データベース)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00004368
- 武者小路千家土蔵(文化庁 国指定文化財等データベース)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00004369
- 千家と官休庵の歴史、三千家系譜、歴代家元(武者小路千家官休庵公式サイト)
- https://www.mushakouji-senke.or.jp/history/
- 茶室のご紹介 官休庵 京都稽古場(武者小路千家官休庵公式サイト)
- https://www.mushakouji-senke.or.jp/tearoom/
- 公益財団法人 官休庵について(武者小路千家官休庵公式サイト)
- https://www.mushakouji-senke.or.jp/about/
- 武者小路千家官休庵(京都市公式 京都観光Navi)
- https://ja.kyoto.travel/tourism/single01.php?category_id=8&tourism_id=696
最終更新日: 2026.09.28
基本情報
| 名称 | 武者小路千家 |
|---|---|
| 所在地 | 京都府京都市上京区武者小路通新町西入西無車小路町613-2他 |
| 所有者 | 財団法人官休庵 |
| 指定 | 登録有形文化財 4件 |
| 座標 | 35.02796, 135.75489 |