武者小路千家茶室官休庵とは

武者小路千家茶室官休庵は、京都市上京区の武者小路千家の屋敷にある1畳の客座と台目の点前座からなる小さな茶室で、大正15年(1926年)に愈好斎が再建し、平成16年(2004年)11月8日に国の登録有形文化財に登録された。文化庁のデータベースでの読みは「むしゃのこうじせんけちゃしつかんきゅうあん」。

木造平屋建で、建築面積はわずか11平方メートル。主屋の北の付属棟の東に取り付いて建つ。流祖の一翁宗守が好んだ茶室を再建したもので、「官休庵」の名はこの席から武者小路千家そのものの呼び名にまで広がった。

名の由来と、焼けては建て直された歴史

武者小路千家茶室官休庵の名は、一翁が父の千宗旦と相談して茶室を造ったときに、宗旦から授かったと伝わる。席には宗旦の筆による「官休」の額が掛かる。

名の意味ははっきりしない。安永3年(1774年)の一翁百年忌に大徳寺の眞巌宗乗が寄せた頌は、茶に打ち込むために官を退いたのだろう、と読んでいる。流儀の案内は、一翁が高松藩の茶頭の務めを引いたのちの、官を辞した侘び人の庵という意味と考えている。

官休庵は安永・天明・嘉永の3度の火災で焼け、そのたびに歴代の当主が建て直した。安永元年(1772年)に焼けた席は、2年後の一翁百年忌に合わせて再建されている。現在の建物は、途絶えていた家を再興した愈好斎が大正15年(1926年)に再建したものである。

登録の理由:半板をはさんだ独特の平面

武者小路千家茶室官休庵の登録基準は「造形の規範となっているもの」である。文化庁の解説がまず挙げるのは平面で、1畳の客座と台目の点前座とのあいだに、幅5寸2分(約15.8センチ)の半板を入れた独特の間取りだという。

客と亭主が膝を突き合わせる1畳台目の広さに、細い板を1枚はさむだけで、両者のあいだにわずかなゆとりが生まれる。流儀の案内も、この半板を主客に余裕を持たせる工夫と説明している。

茶道口から入ると半畳分の板畳が踏込になり、炉は向切、点前座の脇に台目の下座床が付く。床柱は杉の柾目材を八角になぐって磨いたもの、床框は檜の磨き丸太である。

見どころ:窓・天井・屋根と一翁遺愛の蹲踞

文化庁の解説によると、武者小路千家茶室官休庵は東に2つの下地窓、南ににじり口と下地窓を開き、北に水屋が続く。流儀の案内は、にじり口の上の連子窓と、点前座の風炉先窓にも触れている。1畳台目の小さな室内に、光の入り口がいくつも配されている。

天井は白竹を竿縁にした蒲天井で、踏込の板畳の上だけを掛込天井にして変化をつける。水屋には、年を重ねた人にも扱いやすい道庫が備わり、杉のノネ板の戸2枚の内側に竹の簀の子の流しと棚を設けている。

屋根は桟瓦葺で、螻羽と軒先を柿葺とする。瓦屋根の縁と軒先だけが、薄い木の板で仕上げられている。前庭に据えられた蹲踞は鎌倉時代の四方仏を用いたもので、一翁が愛用したと伝わる。

武者小路千家茶室官休庵の見学について

武者小路千家茶室官休庵は非公開で、内部を見学することはできない。屋敷の奥、主屋の北寄りに建つため、武者小路通から建物は見えず、通りから見えるのは門構えと塀までである。

官休庵はいまも流儀の茶会や稽古に使われる現役の席である。室内の写真は武者小路千家の公式サイトにある茶室の紹介で見ることができる。

Q&A

Q武者小路千家茶室官休庵はいつ建てられ、いつ登録有形文化財になりましたか?
A現在の建物は大正15年(1926年)に愈好斎が再建したものです。平成16年(2004年)11月8日に国の登録有形文化財に登録されました。
Q武者小路千家茶室官休庵の「官休」とはどういう意味ですか?
A意味ははっきりしません。安永3年(1774年)の頌は茶に専念するために官を退いた意と解し、流儀は高松藩の茶頭を退いた侘び人の庵という意味と考えています。
Q武者小路千家茶室官休庵の半板とは何ですか?
A1畳の客座と台目の点前座のあいだに入れた幅5寸2分(約15.8センチ)の板です。狭い席の中で客と亭主のあいだにゆとりをつくります。
Q武者小路千家茶室官休庵は見学できますか?
Aできません。非公開で、建物は屋敷の奥にあるため通りからも見えません。
Q武者小路千家茶室官休庵の大きさはどれくらいですか?
A木造平屋建で、建築面積は11平方メートルです。室内は1畳の客座と台目の点前座に、半畳分の板畳の踏込が付きます。

基本情報

名称武者小路千家茶室官休庵(むしゃのこうじせんけちゃしつかんきゅうあん)
所在地京都府京都市上京区武者小路通新町西入西無車小路町613-2他
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年平成16年(2004年)11月8日登録
員数1棟
寸法木造平屋建、瓦葺一部こけら葺、建築面積11平方メートル
所有者財団法人官休庵(現・公益財団法人官休庵)
公開状況非公開(通りから見えるのは門構えと塀まで)

参考文献

武者小路千家茶室官休庵(文化庁 国指定文化財等データベース)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00004367
武者小路千家茶室官休庵(文化遺産オンライン)
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/117447
茶室のご紹介 官休庵 京都稽古場(武者小路千家官休庵公式サイト)
https://www.mushakouji-senke.or.jp/tearoom/
千家と官休庵の歴史、三千家系譜、歴代家元(武者小路千家官休庵公式サイト)
https://www.mushakouji-senke.or.jp/history/

最終更新日: 2026.09.28