武者小路千家茶室弘道庵とは

武者小路千家茶室弘道庵は、京都市上京区の武者小路千家の屋敷で主屋の東に建つ15畳の広間をもつ茶室で、昭和15年(1940年)に愈好斎が再建し、平成16年(2004年)11月8日に国の登録有形文化財に登録された。文化庁のデータベースでの読みは「むしゃのこうじせんけちゃしつこうどうあん」。

木造平屋建で、建築面積は59平方メートル。文化庁の解説はこの建物を「稽古の間」と呼ぶ。1畳台目の官休庵と同じ屋敷にありながら、こちらは大勢が一度に座れる広さを主眼に建てられている。

15畳の広間の来歴

武者小路千家茶室弘道庵の始まりは、江戸時代中期の直斎にさかのぼる。流儀の茶室案内によると、直斎が安永3年(1774年)に12畳の茶室を創建し、天明8年(1788年)の大火で焼けたのち、一啜斎が再建したときに15畳になった。一方、流儀の歴史の案内は、15畳の弘道庵を造ったのは直斎だと書いている。15畳になった時期は、流儀の資料の中でも記述が分かれている。

弘道庵は嘉永7年(1854年)の大火でふたたび焼けた。いまの建物は、利休の350年忌にあたる昭和15年(1940年)に愈好斎が建て直したもので、直斎以来の15畳の大広間を露地の東に再現し、多くの門人が一度に集まれるようにしたと流儀は説明している。

流儀の歴史の案内は、利休の系統の広間はそれまで4畳半以上、広くても8畳ほどだったとし、15畳へ一挙に広げたことを画期的と評している。

登録の理由:通りから広間へ連なる平面

武者小路千家茶室弘道庵の登録基準は「造形の規範となっているもの」である。建物は南側の道路からやや引っ込んで建ち、玄関の土間、6畳の寄付、6畳半の次の間が並んで、その奥に15畳の広間の弘道庵がある。流儀の案内は6畳半の間を水屋と呼んでいる。

広間には床と付書院を設け、周りに土縁をめぐらせる。流儀の案内によれば、床は1間半の大床、書院は1間である。玄関の外は車回しを経て武者小路通に面しており、屋敷の表玄関から入った客はすぐに弘道庵の寄付に通される。

屋根は桟瓦葺で、軒を銅板で葺く。瓦の屋根に銅の軒先を組み合わせる仕上げは、同じ屋敷の官休庵が軒を柿葺とするのと対照的である。

見どころ:近衛文麿の筆による「弘道」の額

武者小路千家茶室弘道庵の沓脱石の上には「弘道」の額が掛かる。筆をとったのは近衛文麿で、茶の湯では愈好斎の直門の弟子だった。額に文字を薄く彫ったのは、文麿の実弟で同じく直門だった水谷川忠麿である。

広間の外には、縁側を板敷きにせず土の床とした土縁がめぐる。文化庁の解説によれば、弘道庵は庭を挟んで主屋の東に建っている。

武者小路千家茶室弘道庵の見学について

武者小路千家茶室弘道庵は非公開で、内部を見学することはできない。表玄関の車回しは武者小路通に面しているが、建物は門の内側にあり、通りから見学できるのは門構えまでである。

弘道庵はいまも流儀の稽古や茶会に使われている。広間の写真は、武者小路千家の公式サイトにある茶室の紹介で見ることができる。

Q&A

Q武者小路千家茶室弘道庵はいつ建てられ、いつ登録有形文化財になりましたか?
A現在の建物は昭和15年(1940年)に愈好斎が再建したものです。平成16年(2004年)11月8日に国の登録有形文化財に登録されました。
Q武者小路千家茶室弘道庵の広さはどれくらいですか?
A中心の広間は15畳で、床と付書院が付きます。ほかに6畳の寄付と6畳半の次の間があり、建築面積は59平方メートルです。
Q武者小路千家茶室弘道庵の「弘道」の額は誰が書いたのですか?
A愈好斎の直門の弟子だった近衛文麿の筆で、実弟の水谷川忠麿が文字を薄く彫りました。
Q武者小路千家茶室弘道庵は見学できますか?
Aできません。非公開で、通りから見えるのは表玄関側の門構えまでです。
Q武者小路千家茶室弘道庵はなぜ昭和15年に再建されたのですか?
Aこの年が千利休の350年忌にあたり、愈好斎が記念して建て直しました。大勢の門人が一度に集まれる大広間を再現する目的もありました。

基本情報

名称武者小路千家茶室弘道庵(むしゃのこうじせんけちゃしつこうどうあん)
所在地京都府京都市上京区武者小路通新町西入西無車小路町613-2他
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年平成16年(2004年)11月8日登録
員数1棟
寸法木造平屋建、瓦葺、建築面積59平方メートル
所有者財団法人官休庵(現・公益財団法人官休庵)
公開状況非公開(通りから見えるのは門構えと塀まで)

参考文献

武者小路千家茶室弘道庵(文化庁 国指定文化財等データベース)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00004368
武者小路千家茶室弘道庵(文化遺産オンライン)
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/140138
茶室のご紹介 官休庵 京都稽古場(武者小路千家官休庵公式サイト)
https://www.mushakouji-senke.or.jp/tearoom/
千家と官休庵の歴史、三千家系譜、歴代家元(武者小路千家官休庵公式サイト)
https://www.mushakouji-senke.or.jp/history/

最終更新日: 2026.09.28