長谷園登り窯とは
長谷園登り窯(ながたにえんのぼりがま)は、三重県伊賀市丸柱にある伊賀焼の窯元・長谷園の敷地の斜面に築かれた江戸末期(1830〜1868年)の連房式登り窯で、平成23年(2011年)10月28日に旧事務所の大正館とともに登録有形文化財となった。
長谷園登り窯は大正館の東南、南に向かって高くなる斜面に設けられている。全長は34メートル、幅は4.5メートルから6.7メートル、下端から上端までの高低差は9.6メートルあり、石垣で支えられている。長谷園で登録された14件のうち、建物ではない唯一の文化財で、伊賀市は長谷園の文化財を「13棟・1基」と数えている。
長谷園は、天保3年(1832年)の開窯以来使ってきた窯として紹介しており、昭和40年代(1965〜1974年)まで火を入れていたと説明している。
斜面を上る燃焼室の列
連房式登り窯は、焼成室を斜面に沿って階段状に連ね、下の室で焚いた火の熱を上の室へ順に送りながら焼き上げる窯である。長谷園登り窯では、文化庁の解説によると、燃焼室が一直線に15室並ぶ。主焚き口は斜面の低い側、北の端に開いている。
下から上へと熱が上がっていく仕組みを、長谷園登り窯は斜面の地形そのもので実現している。北の焚き口から南の上端まで、窯の列は高低差9.6メートルを34メートルかけて上っていく。
室の数については、文化庁が燃焼室を15室とする一方、長谷園や観光の案内は「16連房」と呼んでいる。数え方の違いによるものかどうかは確かめられていないため、本記事では両方を記しておく。
長谷園登り窯の登録の理由
長谷園登り窯は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」として登録された。文化庁は、近世以来の伊賀焼の歴史を伝える窯と評している。
伊賀の陶土は耐火性が高く、長谷園は江戸時代から土鍋や行平など直火にかける道具を焼いてきた。長谷園登り窯は、その焼成を担った設備が、窯元の住まいや工房、事務所と同じ敷地に残っている例である。平成23年(2011年)に大正館とともに最初に登録され、平成27年(2015年)に住まいと工房の12件が加わったことで、窯を中心とした窯元の全体が登録文化財としてそろった。
長谷園登り窯の見学
長谷園登り窯は散策エリアの一部として公開されており、営業時間中(午前10時から午後5時、火曜日定休、祝日・休日は営業)に無料で見学できる。長谷園は窯を見渡せる展望台も設けている。2026年10月5日に長谷園の公式サイトなどで確認した内容で、変わることがある。
見学は北の焚き口のある下端から始め、斜面に沿って上へ歩くと、室が段をなして連なる様子と、窯の脇を支える石垣がよく分かる。そのあとで展望台から見下ろすと、全長34メートルの窯の列が一望できる。窯の内部に入れるかどうかは確認できていない。散策エリアへの行き方は長谷園のページにまとめてある。
Q&A
- 長谷園登り窯はいつ築かれましたか?
- 文化庁のデータベースでは江戸末期(1830〜1868年)です。長谷園は天保3年(1832年)の開窯以来の窯と紹介しています。
- 長谷園登り窯の大きさはどのくらいですか?
- 全長34メートル、幅4.5〜6.7メートル、高低差9.6メートルで、石垣で支えられています。
- 長谷園登り窯の燃焼室はいくつありますか?
- 文化庁の解説では一直線に15室が並ぶとされています。長谷園や観光の案内では「16連房」と紹介されています。
- 長谷園登り窯は見学できますか?
- 散策エリアの一部として、営業時間中(午前10時から午後5時、火曜日定休)に無料で見学できます。窯を見渡せる展望台もあります。
- 長谷園登り窯はいつまで使われていましたか?
- 長谷園は昭和40年代(1965〜1974年)まで使っていたと説明しています。平成23年(2011年)10月28日に登録有形文化財となりました。
基本情報
| 名称 | 長谷園登り窯 |
|---|---|
| 所在地 | 三重県伊賀市丸柱字長谷569 |
| 指定区分 | 登録有形文化財(建造物) |
| 指定年 | 平成23年(2011年)10月28日登録 |
| 員数 | 1基 |
| 寸法 | 全長34メートル、幅4.5〜6.7メートル、高低差9.6メートル(連房式登り窯、石垣付) |
| 所有者 | 記載なし(文化庁データベース) |
| 公開状況 | 公開(散策エリア、午前10時から午後5時、火曜日定休、入場無料) |
参考文献
- 国指定文化財等データベース 長谷園登り窯(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00009029
- 文化遺産オンライン 長谷園登り窯
- https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/252399
- 国指定文化財等データベース 長谷園大正館(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00009028
- 三重県 答申された文化財の概要(PDF)
- https://www.pref.mie.lg.jp/common/content/000371116.pdf
- 伊賀市デジタルミュージアム 長谷園大正館・登り窯・主屋ほか
- https://adeac.jp/iga-city/catalog/mp404530-100040
- 伊賀焼窯元 長谷園 店舗情報
- https://igamono.co.jp/at-first/shop/
- 伊賀焼窯元 長谷園 会社概要・沿革
- https://igamono.co.jp/about-us/company/
- 伊賀焼窯元 長谷園 長谷園の取り組み
- https://igamono.co.jp/at-first/effort/
- 観光三重 伊賀焼窯元 長谷園
- https://www.kankomie.or.jp/spot/33
- 三重県 まちかど博物館「伊賀焼の郷 長谷園」
- https://www.bunka.pref.mie.lg.jp/Miebunka/detail?cls=mica_col06&pkey=0000000062
最終更新日: 2026.10.05