三多気の山里に残る茅葺の主屋

田中家住宅主屋は、三重県津市美杉町三多気にある江戸時代後期(1751〜1829年)の茅葺の民家で、平成22年(2010年)9月10日に登録有形文化財に登録された。登録番号は24-0089である。

南向きの斜面に開いた敷地の中央に、南を正面として建つ。木造平屋建、入母屋造の茅葺で、規模は桁行13メートル、梁間8.3メートル、建築面積は110平方メートルである。

同じ三重県の松阪市飯高町波瀬にも同名の「田中家住宅主屋」(平成30年(2018年)登録)があるが、別の家の建物である。

伊賀南部と共通する前座敷型三間取

田中家住宅主屋の床上部分は西側にあり、表側を座敷とする前座敷型三間取を基本とする。文化庁の解説によれば、この間取りは伊賀地方の南部からその周辺に分布した形式である。奈良県境に近い美杉の山間で、伊賀南部と共通する間取りが用いられている点が注目される。

三間取は床上を三つの部屋に分ける間取りで、前座敷型では表側の部屋を客を迎える座敷にあてる。土間の側から見て、座敷が家の表、つまり南の庭に面する配置になる。

名勝の桜とつくる山村の景観

登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」で、文化庁の解説は、周囲の著名な桜とともに豊かな山村の景観をつくっている点を挙げる。三多気は、真福院へ向かう約1.5キロメートルの参道におよそ500本の桜が並ぶ「三多気の桜」の集落で、この桜並木は昭和17年(1942年)7月に国の名勝に指定された。

桜のほとんどはヤマザクラで、例年4月中旬から下旬に花を咲かせる。斜面に据わる入母屋の大きな茅葺屋根が、花の季節の山里の眺めに重なる。

田中家住宅主屋の見学とアクセス

田中家住宅主屋は個人の住まいとみられ、一般公開や見学の受け付けを案内する公式の情報は確認できなかった。敷地には入らず、道路から外観を眺めるにとどめ、住人の方の生活の妨げにならないよう配慮したい。

三多気へは、津市の案内によれば、JR名松線の終点伊勢奥津駅から津市コミュニティバスで約10分である。バスの運行は曜日や桜・紅葉の季節によって変わる。車では伊勢自動車道久居インターチェンジ、または名阪国道針インターチェンジからそれぞれ約70分。桜の季節は道幅の狭い参道が混み合うため、津市が案内する駐車場を使いたい。以上は令和8年(2026年)9月に確認した情報である。

Q&A

Q田中家住宅主屋(津市美杉町三多気)はいつ建てられましたか?
A江戸時代後期(1751〜1829年)の建築で、平成22年(2010年)に登録有形文化財に登録されました。
Q田中家住宅主屋(三多気)の構造と大きさは?
A木造平屋建、入母屋造の茅葺で、桁行13メートル、梁間8.3メートル、建築面積110平方メートルです。
Q田中家住宅主屋(三多気)は見学できますか?
A個人の住まいとみられ、公開の案内は確認できません。外観を道路から眺めるにとどめてください。
Q田中家住宅主屋(三多気)へのアクセスは?
A津市の案内では、JR名松線伊勢奥津駅から津市コミュニティバスで約10分です。運行は曜日や季節で変わります。
Q田中家住宅主屋(三多気)と三多気の桜にはどんな関係がありますか?
A周囲の著名な桜とともに豊かな山村景観をつくる点が登録の理由です。三多気の桜は昭和17年(1942年)に国の名勝に指定されています。

基本情報

名称田中家住宅主屋
所在地三重県津市美杉町三多気162
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年平成22年(2010年)9月10日登録
員数1棟
寸法木造平屋建、茅葺、建築面積110平方メートル(桁行13メートル、梁間8.3メートル)
所有者個人とみられる(文化庁データベースは空欄)
公開状況非公開(公開の案内なし)

参考文献

国指定文化財等データベース 田中家住宅主屋(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00008292
文化遺産オンライン 田中家住宅主屋
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/145824
三多気の桜 開花情報(津市)
https://www.info.city.tsu.mie.jp/kankou_bunka_sports/kankou_citypromotion/1010921/1004744/1004756/1004751.html

最終更新日: 2026.09.26