街道の角を締める米蔵

武重本家酒造及び武重家住宅東蔵は、長野県佐久市茂田井の旧中山道沿いにある造り酒屋・武重本家の屋敷の江戸後期の土蔵で、平成12年(2000年)9月26日に国の登録有形文化財に登録された。土蔵造2階建、瓦葺、建築面積は33平方メートル。文化庁は年代を江戸後期(1751〜1829年)としている。

屋敷地の南辺は旧中山道に面し、その道に沿って水路が流れる。水路は屋敷の東辺で北へ曲がり、その曲がり角の石積擁壁の上に東蔵が建つ。桁行5間、梁行2間、およそ9メートルに3.6メートルの南北棟で、桟瓦葺、置屋根形式の2階建である。もとは米蔵であった。

置屋根とは、土で塗り固めた蔵の本体の上に、木造の小屋組を別に載せて瓦屋根を架ける形式をいう。土壁と屋根の間に空気の層ができ、蔵の壁を雨から守りながら熱を逃がす。明治元年(1868年)の酒造創業より古いこの蔵は、武重家が酒を造る前から米を納めていた建物である。

登録の理由と価値

登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」である。文化庁の解説は、西へ連なる門長屋、店、西蔵とともに、旧中山道沿いの街道景観をつくる主要な構成要素だと述べる。東蔵は屋敷の街道側の東の端であり、街道景観はこの蔵から始まって西へ続く。

水路の曲がり角に建つことの意味は大きい。旧中山道を東から来た旅人は、水路とともに角を回った瞬間に、まず東蔵の白い壁を見る。武重本家酒造及び武重家住宅東蔵は屋敷の門番のような位置にあり、置屋根の二重の輪郭が街道の角を締めている。

建築面積33平方メートルという小ささも、この蔵を街道景観の中で読むときには意味を持つ。長い店と西蔵に挟まれた通りの中で、小さく背の高い東蔵は句読点のように立つ。

見どころ

見るべき場所は水路の角である。旧中山道の道端に流れる水路が屋敷の東辺に沿って北へ折れ、その内側の石積みの上に武重本家酒造及び武重家住宅東蔵が乗っている。石積み、水、白壁、瓦の順に視線を上げると、この蔵が水路と一体で造られていることが分かる。

屋根を見上げると、置屋根の特徴である壁と屋根の間の隙間が確認できる。土蔵本体の上に木の小屋組が乗り、瓦屋根がその上に架かる。壁の白と軒裏の木の色の境に、影の帯が走る。

東蔵の西には門長屋が接続し、その南面に杉玉を掲げた門が開く。茂田井を代表する写真の多くはこの門を正面から捉えるが、少し東へ寄って東蔵から門長屋へ続く壁の流れを見ると、街道景観がどのように組み立てられているかがよく分かる。

見学方法とアクセス

武重本家酒造及び武重家住宅東蔵は旧中山道に面した屋敷の東の角にあり、通りから間近に眺められる。水路が北へ折れる角に立ち、石積みの上の白壁と置屋根を見上げるのがよい。内部は非公開で、敷地への立ち入りは売店の営業時間内か酒蔵開放の日に限られる。

武重本家酒造は稼働中の酒蔵であり、武重家の住まいでもある。建物の内部は通常公開されておらず、敷地に入れるのは事務所と売店の営業時間内、平日の午前8時から午後5時までに酒を買いに立ち寄る場合に限られる。土日祝日と年始、旧暦の盆は休みである。年に一度、春分の日前後(例年3月20日から21日ごろ)に酒蔵開放が開かれ、仕込蔵に入って試飲ができる。2026年の酒蔵開放では佐久平駅からチャーターバスの送迎が行われた。予約制の試飲会も企画され、蔵の案内が組み込まれることがある。日程は公式サイトで確認しておきたい。

最寄りはJR北陸新幹線の佐久平駅で、千曲バスの望月・芦田方面行きに乗り「茂田井入口」で降りると徒歩約2分。ただしバスは平日のみの運行なので、週末は佐久平駅からタクシーか車で約30分、距離にして約15キロを見込む。上信越自動車道の佐久インターチェンジ、湯の丸インターチェンジからも車で約30分である。公道からの撮影は自由だが、敷地内で撮る場合は行事のときにスタッフの案内に従いたい。

Q&A

Q武重本家酒造及び武重家住宅東蔵はいつ建てられましたか。
A江戸後期の建築です。文化庁のデータベースは年代を江戸後期(1751〜1829年)としており、明治元年(1868年)の酒造創業より古い建物です。
Q東蔵はどんな建物ですか。
A土蔵造2階建、瓦葺、建築面積33平方メートルの置屋根形式の土蔵で、桁行5間、梁行2間の南北棟です。もとは米蔵でした。
Q武重本家酒造及び武重家住宅東蔵はどこに建っていますか。
A屋敷地の旧中山道沿いの南辺から東辺へ回る水路の曲がり角、その石積擁壁の上に建っています。屋敷の街道側の東端にあたります。
Q東蔵は通りから見えますか。
Aはい。旧中山道から間近に見ることができます。内部は非公開です。
Qなぜ登録有形文化財に登録されたのですか。
A「国土の歴史的景観に寄与しているもの」という基準で、平成12年(2000年)9月26日に登録されました。門長屋、店、西蔵とともに旧中山道の街道景観をつくる主要な要素として評価されています。

基本情報

名称武重本家酒造及び武重家住宅東蔵
所在地長野県佐久市茂田井字東町2179
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年平成12年(2000年)9月26日登録
員数1棟
寸法土蔵造2階建、瓦葺、建築面積33平方メートル(桁行5間、梁行2間)
所有者文化庁データベースに記載なし(武重家の屋敷内)
公開状況非公開(稼働中の酒蔵兼私邸)。平日午前8時から午後5時に売店へ立ち入り可。春分の日前後の酒蔵開放で内部見学・試飲

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁) 武重本家酒造及び武重家住宅東蔵
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00001786
佐久市ホームページ 茂田井間の宿
https://www.city.saku.nagano.jp/kanko/kanko/spot/nakasendo/motaiainoshuku/motaiainoshuku.html
武重本家酒造株式会社 公式サイト
https://takeshige-honke.jp/
信州たてしな観光協会 武重本家酒造株式会社
https://shirakabakogen.jp/spot/takeshiga_honke_syuzo

最終更新日: 2026.09.10