善光寺の境内に残る国宝・重要文化財・登録有形文化財の5件

善光寺は、長野県長野市元善町にある特定の宗派に属さない寺院で、境内には宝永4年(1707年)に再建された国宝の本堂をはじめ、重要文化財の三門と経蔵、登録有形文化財の仁王門と鐘楼の5件の建造物が残る。

御本尊は一光三尊阿弥陀如来で、一つの光背の中に阿弥陀如来・観世音菩薩・勢至菩薩の三尊が並ぶ形から「善光寺式阿弥陀三尊」とも呼ばれる。御本尊は白雉5年(654年)以来の絶対秘仏とされ、ふだんは誰も拝むことができない。寺は宗派を持たない一方、運営は天台宗の大勧進と浄土宗の大本願の両本坊が担っており、法要も両宗が交互に勤める。

文化財の指定や登録は建物ごとに別々に行われているため、このサイトでは建物ごとにページを分けた。このページには、境内の5件に共通する善光寺の歩み、参道を歩く順序、参拝券と開館時間、行き方、建物と結びついた行事をまとめてある。

善光寺の縁起と、焼失と再建の歴史

善光寺の案内によれば、寺に伝わる『善光寺縁起』は、御本尊が欽明天皇13年(552年)に百済から日本へ渡った仏像で、難波の堀江に捨てられたのちに信濃の本田善光が見つけて持ち帰り、皇極天皇元年(642年)に今の地へ移したと語る。寺号は本田善光の名から取られたという。これは寺の縁起が伝える話で、草創期の様子を記した史料は寺に残っていない。

考古学の手がかりはある。大正13年(1924年)と昭和27年(1952年)に境内から白鳳期の瓦が見つかっており、7世紀後半にはこの地にかなりの規模の寺院があったと考えられている。中世には善光寺聖と呼ばれる僧が御本尊の分身仏を背負って各地を巡り、善光寺信仰を広めた。戦国時代には御本尊が甲府、京都へと移され、慶長3年(1598年)にようやく信濃へ戻っている。

善光寺の歴史は火災の歴史でもある。元禄13年(1700年)の大火では、本堂を建て直すために用意していた材木まで焼けた。寺は前立本尊を各地へ運んで公開する出開帳を5年にわたって行い、集まった2万両を超える浄財で宝永4年(1707年)に今の本堂を落成させた。三門は寛延3年(1750年)、経蔵は宝暦9年(1759年)に続き、伽藍が整えられた。鐘楼は嘉永6年(1853年)、仁王門は大正7年(1918年)の再建である。

善光寺の参道を南から北へ歩く順序

善光寺の5件は、南北にまっすぐ延びる参道に沿って並んでいる。長野駅から来たバスを善光寺大門で降りると、北へ少し歩いたところに最初の建物である仁王門が南を向いて立つ。仁王門は門前町の中にあり、ここから石畳の仲見世通りが北へ続く。

仁王門からおよそ250メートル進むと、二階建ての三門(善光寺では山門と呼ぶ)が正面をふさぐように立つ。三門をくぐった先、およそ90メートルの所に本堂がある。本堂の南東の角、参道から見て右手前に鐘楼が建ち、本堂の西側には経蔵がある。経蔵の近くの日本忠霊殿の1階が善光寺史料館で、本堂内陣の参拝券で入館できる。

本堂は南北に長く、正面から入って奥へ進むと内陣と、御本尊を納めた瑠璃壇の床下を手探りで巡るお戒壇巡りがある。参道の距離は文化庁データベースの位置情報から求めた目安で、ゆっくり歩いても仁王門から本堂まで10分かからない。

善光寺の国宝・重要文化財・登録有形文化財の一覧

善光寺が所有する建造物で国の文化財になっているのは、次の5件である。建築の年代と、指定・登録の年月日は文化庁の国指定文化財等データベースによる。

  • 本堂:宝永4年(1707年)。昭和28年(1953年)3月31日に国宝に指定
  • 三門:寛延3年(1750年)。昭和40年(1965年)5月29日に重要文化財に指定
  • 経蔵:宝暦9年(1759年)。昭和40年(1965年)5月29日に重要文化財に指定
  • 仁王門:大正7年(1918年)。令和2年(2020年)8月17日に登録有形文化財に登録
  • 鐘楼:嘉永6年(1853年)。令和2年(2020年)8月17日に登録有形文化財に登録

善光寺自身の案内は、経蔵を昭和49年(1974年)の重要文化財指定としており、データベースの日付と食い違う。また、善光寺は三門を「山門」と表記している。指す建物は同じである。

善光寺の参拝券と開館時間

善光寺の境内に入ってお参りするのに料金はかからない。料金が要るのは、本堂内陣とお戒壇巡り、三門の楼上、経蔵、善光寺史料館の4か所で、それぞれの建物の前で参拝券を買う。令和8年(2026年)4月1日からの料金は次のとおりである(2026年10月確認)。

  • 本堂内陣券(内陣・お戒壇巡り・史料館):一般800円、中高生300円、小学生100円
  • 山門参拝券(三門の楼上):一般800円、中高生300円、小学生100円
  • 経蔵参拝券:一般500円、中高生300円、小学生100円
  • 参拝セット券(上の全部):一般1,500円、中高生600円、小学生200円

未就学児は無料で、障害者手帳を持つ人は本人と付き添い1名まで無料になる。三門の楼上には小学生以下だけでは登れず、保護者の同伴が要る。

本堂内陣は毎朝のお勤めであるお朝事の1時間前に開く。お朝事の時刻が季節によって変わるため、開く時刻も夏と冬で大きく違う。長野県の文化施設案内は、夏期は午前4時30分、冬期は午前6時を目安として載せている。閉まるのは4月から10月が午後4時30分、3月と11月が午後4時15分、12月から2月が午後4時である。三門・経蔵・史料館は午前9時から午後4時まで開いている。12月31日はどの建物も午後1時で閉まる。

善光寺は境内を私有地としており、境内や建物の中で撮影した写真を報道や広報、出版などに使うときは、善光寺事務局への申請が必要だと案内している。建物ごとの見学条件は、それぞれのページに記した。

善光寺への行き方と駐車場

善光寺の案内によれば、JR長野駅の善光寺口バスロータリーの1番のりばから善光寺方面行きの路線バスに乗り、善光寺大門で降りる。所要約15分、運賃は190円で、バス停から本堂までは歩いて5分ほどである。東京駅から長野駅までは北陸新幹線で約1時間30分、金沢駅からも北陸新幹線で約1時間かかる。

車で行く場合、上信越自動車道の長野インターチェンジ、須坂長野東インターチェンジのどちらからも40分ほどである。善光寺には第1から第5までの駐車場があり、宿坊の利用者専用の第2駐車場を除けば一般の乗用車が使える。乗用車は2時間まで600円で、以後1時間ごとに300円が加わる。予約はできない。

善光寺の鐘楼と仁王門に結びつく行事、御開帳

1月7日の未明には、善光寺の年中行事でもっとも荘厳とされる七草会が営まれる。その前の午前2時から、鐘楼で「人よせの鐘」が撞かれ、参拝者も申し込みなしで撞くことができる。鐘楼の梵鐘は、ふだんは毎日午前10時から午後4時まで毎正時に撞かれ、12月31日には除夜の鐘が鳴る。

2月3日の節分会では、長野市の無形文化財である善光寺木遣りを先頭に、鬼や年男年女の行列が仁王門から本堂まで参道を練り歩く。仁王門が境内の入口として使われる場面である。

7年に一度の前立本尊御開帳は、次回が令和9年(2027年)で、6月19日の結願までの77日間にわたる。期間中は本堂の前に高さ約10メートルの回向柱が立ち、参道も境内もふだん以上に混み合う。

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁):善光寺本堂
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/102/907
国指定文化財等データベース(文化庁):善光寺三門
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/102/908
国指定文化財等データベース(文化庁):善光寺経蔵
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/102/909
国指定文化財等データベース(文化庁):善光寺仁王門
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00013395
国指定文化財等データベース(文化庁):善光寺鐘楼
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00013394
善光寺:善光寺の紹介
https://www.zenkoji.jp/about/
善光寺:主要施設
https://www.zenkoji.jp/about/syuyou/
善光寺:参拝券のご案内
https://www.zenkoji.jp/meguru/sanpai/
善光寺:アクセス
https://www.zenkoji.jp/access/
善光寺:年中行事
https://www.zenkoji.jp/annual/
善光寺:撮影や写真・イラストの使用許可について
https://www.zenkoji.jp/press/
カルチャー・ドット・ナガノ(長野県):国宝 善光寺本堂
https://www.culture.nagano.jp/facilities/270/
令和9年善光寺前立本尊御開帳特設サイト:御開帳について
https://gokaicho.zenkoji.jp/about.html
令和9年善光寺前立本尊御開帳特設サイト:御開帳行事
https://gokaicho.zenkoji.jp/events.html

最終更新日: 2026.10.04

基本情報

名称善光寺(長野市)
所在地長野県長野市大字長野元善町
所有者善光寺
指定国宝 1件・重要文化財 2件・登録有形文化財 2件
座標36.66065, 138.18762