小早川家住宅とは
小早川家住宅(こばやかわけじゅうたく)は、長崎県島原市城内2丁目にある島原城下の武家屋敷で、江戸時代後期の石塀、江戸時代末期の門、明治23年(1890年)の主屋、明治時代後期の煉瓦塀の4件が、平成24年(2012年)2月23日に登録有形文化財となった。所有者は島原市で、地元では「小早川邸」の名でも呼ばれている。
島原城は元和4年(1618年)に松倉重政が築き始め、寛永2年(1625年)ごろに主要部が整ったとされる。本丸・二ノ丸・三ノ丸が南から北へ一直線に並び、その北側に家臣団の屋敷地が広がっていた。小早川家住宅が建つのは本丸の北、藩政期に上級藩士が暮らした一画である。城の西側に残る下級武士の武家屋敷通りとは、屋敷の格も敷地の広さも異なる。
長崎新聞が市教育委員会の話として伝えるところでは、幕末の1865年当時、この屋敷は島原藩の重役、佐野勇太郎の住まいだった。その後に小早川氏の所有となり、平成27年(2015年)に子孫から島原市へ寄贈された。
登録された4件
小早川家住宅の4件は、平成24年(2012年)2月23日の第72回登録で、そろって登録有形文化財となった。登録基準はいずれも「国土の歴史的景観に寄与しているもの」である。文化庁のデータベースが示す年代と規模は次のとおり。
- 主屋:明治23年(1890年)、木造平屋建、入母屋造桟瓦葺、建築面積194平方メートル
- 門:江戸時代末期、一間の薬医門、桁行2.6メートル、梁間1.5メートル
- 石塀:江戸時代後期、石造、高さ1.6メートル内外、総延長98.7メートル
- 煉瓦塀:明治時代後期、煉瓦造、高さ1.4から1.9メートル、総延長32.1メートル
建物は主屋の1棟だけで、残る3件は門と塀である。江戸時代の門と石塀が屋敷の輪郭をつくり、明治に入って主屋が建て替えられ、さらに北側の道路が広げられた際に煉瓦塀が加わった。小早川家住宅は、城下の武家屋敷が明治の町に移り変わる過程を、外構から母屋まで一つの敷地に残している。
屋敷の配置と歩き方
小早川家住宅の主屋は敷地の中央に東を向いて建つ。表門は東面の中央よりやや北に開き、門をくぐると正面に主屋の玄関がある。門と主屋の間は曲面を描く石塀で仕切られている。
敷地の外周は、東・南・西の三方と北西の隅を石塀が囲み、北側だけが煉瓦塀になっている。北の道路は傾斜しており、煉瓦塀はその坂に合わせて高さを3段に変える。外から一巡するなら、東の表門から南へ回り、西側の石塀を経て、北側の坂道で煉瓦塀を見上げる順が分かりやすい。灰色や桃色の混じる島原石の石塀が途中で赤い煉瓦に切り替わる地点で、江戸と明治の境目が目に見える。
主屋の座敷は庭園に面している。庭園は三ノ丸内の湧水地から水路を引き込んで池とし、生活用水にも使っていたと伝わる。湧水の町である島原の武家屋敷らしい構えで、市の担当者は、水路に段差を付けて水音を聞かせる工夫にも触れている。
島原城跡は令和7年(2025年)3月10日に国の史跡となった。長崎新聞は、答申の段階で小早川家住宅がその指定範囲に含まれると報じている。
見学と行き方
小早川家住宅はふだん公開されておらず、敷地には入れない。島原市が期間を区切って一般公開を行うことがあり、令和6年(2024年)12月には、午後1時から午後5時(最終入館は午後4時30分)まで無料で公開された。公開の有無と日程は、島原市商工観光部しまばら観光課(電話0957-63-1111)で確かめたい。専用の駐車場は設けられていない。
公開日以外でも、石塀と煉瓦塀、表門の外観は周りの道路から見られる。主屋は敷地の中央にあるため、外からはほとんど見えない。
長崎県の文化財データベースは、島鉄バスの「北門」停留所から歩いて約10分と案内している。島原鉄道の島原駅からは北西へ直線でおよそ1キロ、歩いて15分前後である。島原市のコミュニティバス「たしろ号」(予約制、運賃200円)には「小早川邸」の乗降場所があり、令和7年(2025年)10月17日時点の路線図に載っている。
参考文献
- 国指定文化財等データベース 小早川家住宅主屋(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00009236
- 国指定文化財等データベース 小早川家住宅門(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00009237
- 国指定文化財等データベース 小早川家住宅石塀(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00009238
- 国指定文化財等データベース 小早川家住宅煉瓦塀(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00009239
- 長崎県の文化財 小早川家住宅(主屋・門・石塀・煉瓦塀)(長崎県)
- https://www.pref.nagasaki.jp/bunkadb/index.php/view/255
- 長崎県の文化財 島原城跡(長崎県)
- https://www.pref.nagasaki.jp/bunkadb/index.php/view/747
- 島原城跡が国史跡に指定されました(島原市)
- https://www.city.shimabara.lg.jp/page20246.html
- 島原市コミュニティバス たしろ号 路線図(島原市)
- https://www.city.shimabara.lg.jp/common/UploadFileOutput.ashx?c_id=3&id=17694&sub_id=114&flid=71593
- 島原の武家屋敷「小早川邸」公開中(長崎新聞、2024年12月24日)
- https://www.nagasaki-np.co.jp/kijis/?kijiid=e641b8cf42c44fa997029fea2d86c811
最終更新日: 2026.09.28
基本情報
| 名称 | 小早川家住宅 |
|---|---|
| 所在地 | 長崎県島原市城内2-1013 |
| 所有者 | 島原市 |
| 指定 | 登録有形文化財 4件 |
| 座標 | 32.79662, 130.36501 |