並んで立つ鎌倉時代の2基
圓福寺宝篋印塔(えんぷくじほうきょういんとう)は、奈良県生駒市有里町の圓福寺境内にある鎌倉時代後期の石造宝篋印塔2基で、うち1基に永仁元年(1293年)の銘があり、昭和30年(1955年)に2基あわせて重要文化財に指定された。境内に2基が並んで立っている。
宝篋印塔は、方形の基礎の上に塔身を置き、階段状に段を重ねた笠を載せ、頂に相輪を立てる石塔である。笠の四隅に耳のように立ち上がる隅飾りが特徴で、もとは『宝篋印陀羅尼経』を納める塔として造られた。
文化庁は2基を(1)(2)として登録している。(1)には永仁元年(1293年)12月16日の刻銘があり、(2)は銘がなく同じ頃の造立とされる。2基が同じ指定に含まれ、員数は2基である。
年代の分かる塔と、それに並ぶ塔
銘のある塔は、年代の基準になる。鎌倉時代の宝篋印塔は各地に残るが、造立の年が刻まれたものは多くない。圓福寺宝篋印塔の銘は、年月日まで刻まれた1293年の在銘例である。
生駒市の解説によると、銘文は「右志者」に始まり、自他の罪を滅して善を生じ、浄土に往生すること、七世の父母と四恩、あらゆる衆生に等しく利益が及ぶことを願って造立した、と結ぶ。末尾には造立者とみられる人名が続くが、一部は読み取れない。個人の墓というより、広く供養と往生を願って建てた塔であることを銘文が示している。
銘のない塔は、刻銘のある塔と同じ頃の造立とされる。年代の分かる1基が隣に立つことで、もう1基の年代も比べて推し量ることができる。
2基の違いを見る
圓福寺宝篋印塔の2基は、塔身の飾りが違う。生駒市の解説では、銘のある塔の塔身には金剛界四仏、すなわち阿閦如来・宝生如来・阿弥陀如来・不空成就如来を表す梵字が刻まれている。仏の姿ではなく文字で仏を表す方法である。
もう1基の塔身には、四方に仏の姿が彫り込まれている。この塔は笠石の下部と基礎の上部にも蓮弁を刻む。同じ宝篋印塔でも、文字で表すか姿で表すかの対比が、並んだ2基の見どころになっている。
高さは生駒市の記録で、銘のある塔が残存高244.0センチメートル、四方仏の塔が残存高240.0センチメートルで、ともに約2.4メートルとほぼ同じ大きさである。
見学のしかた
圓福寺の境内は自由に参拝でき、圓福寺宝篋印塔の2基はいつでも見ることができる。石塔には触れず、少し離れた位置から塔身の四面を回って見比べたい。梵字や刻銘は浅い彫りなので、斜めから光が当たる時間帯のほうが読み取りやすい。境内への行き方は圓福寺のページにまとめた。
Q&A
- 圓福寺宝篋印塔はいつ造られたのですか?
- 1基に永仁元年(1293年)12月16日の銘があり、もう1基も同じ頃の造立とされます。いずれも鎌倉時代後期の石塔です。
- 圓福寺宝篋印塔の2基はどう違いますか?
- 銘のある塔は塔身に金剛界四仏を表す梵字を刻み、もう1基は塔身の四方に仏の姿を彫っています。後者は笠石の下と基礎の上に蓮弁も刻んでいます。
- 圓福寺宝篋印塔は自由に見学できますか?
- 境内は自由に参拝でき、2基の塔はいつでも見ることができます。
- 圓福寺宝篋印塔の高さはどのくらいですか?
- 生駒市の記録では、銘のある塔が残存高244.0センチメートル、もう1基が240.0センチメートルで、どちらも約2.4メートルです。
- 圓福寺宝篋印塔はいつ重要文化財に指定されましたか?
- 昭和30年(1955年)2月2日に、2基あわせて指定されました。
基本データ
| 名称 | 圓福寺宝篋印塔(えんぷくじほうきょういんとう) |
|---|---|
| 所在地 | 奈良県生駒市有里町390(圓福寺境内) |
| 指定区分 | 重要文化財(建造物) |
| 指定年 | 昭和30年(1955年)2月2日指定 |
| 員数 | 2基 |
| 寸法 | 石造宝篋印塔、残存高244.0センチメートル(刻銘のある塔)、240.0センチメートル(四方仏の塔) |
| 所有者 | 圓福寺 |
| 公開状況 | 境内は自由参拝、見学可 |
参考文献
- 国指定文化財等データベース(文化庁) 圓福寺宝篋印塔(1)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/102/2668
- 国指定文化財等データベース(文化庁) 圓福寺宝篋印塔(2)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/102/2669
- 生駒市デジタルミュージアム 宝篋印塔(円福寺)
- https://www.city.ikoma.lg.jp/html/dm/bun/shosai/enpuku/hokyointo.html
- 大和北部八十八ヶ所霊場 圓福寺
- https://yamato88.jp/guide/area3/213
最終更新日: 2026.09.26
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