二本木に残る材木商の屋敷構え
原家住宅は、新潟県新潟市江南区二本木にある明治後期から大正初期にかけての屋敷で、明治35年(1902年)建築の主屋をはじめとする10棟が、平成28年(2016年)8月1日に国の登録有形文化財に登録された。いまも個人の住まいとして使われており、一般には公開されていない。
読みは「はらけじゅうたく」。文化庁のデータベースでは主屋・仏間棟・茶室・離れ・土蔵・奥土蔵・道具蔵・味噌蔵・米蔵・門の10件が別々の登録として並ぶ。新潟市の登録文化財一覧は、これを「原家住宅 主屋ほか」10棟としてひとまとめに載せている。登録番号も15-0425から15-0434まで切れ目なく続く。
原家の家業について、文化庁の解説が手がかりとして残しているのは材の話である。主屋の座敷まわりは飾りを抑えながら、材木を商う家らしい良い材を使っていると解説は書く。門の扉に一枚板を用いたこと、茶室の床構えに良材を多く使ったことも、同じ調子で指摘されている。家の生業が、建物の意匠よりも材の選び方に出ている屋敷である。
建てられた時期は棟ごとに少しずつずれる。明治35年(1902年)に主屋・仏間棟・道具蔵・味噌蔵が建ち、門もその頃とされる。明治39年(1906年)に茶室が建ち、土蔵と奥土蔵もその頃の建築とみられている。明治43年(1910年)には米蔵、大正3年(1914年)頃には隠居所の離れが加わった。のちに米蔵は昭和26年(1951年)に増築され、茶室は昭和51年(1976年)に同じ敷地の中で移築されている。
原家住宅の配置と、10棟の位置関係
原家住宅の中心は主屋で、敷地の中央からやや南に寄り、南を正面にして建つ。その玄関の斜め前、敷地の南の辺に一間の薬医門が立つ。門をくぐった客が式台付きの玄関へ斜めに進む、という動線が、2棟の位置からそのまま読み取れる。
主屋の北西には仏間棟が接続する。茶室はもともと仏間棟の北側に取り付いていたが、いまは敷地の中に土を盛った一角へ移されている。主屋の北東には隠居所として建てられた離れがあり、渡廊下で主屋とつながる。
渡廊下はさらに北へ延び、敷地の北側に東西に並ぶ2棟の蔵へ届く。東が土蔵、西が奥土蔵で、どちらも南を正面にし、あいだに平屋の倉庫を挟む。主屋から離れ、土蔵、奥土蔵までは、屋根の下を通って行き来できる造りである。
主屋の東側には、西を向いた道具蔵と味噌蔵が並ぶ。この2棟のあいだにも平屋の倉庫がある。さらに東、敷地のいちばん東の端に、桁行14メートルの米蔵が同じく西を向いて建つ。住まいと祭祀・接客の棟が西から北へ、貯蔵の棟が東へと振り分けられた配置で、10棟が一つの屋敷の機能をほぼ過不足なく分け持っている。
原家住宅が屋敷ごと登録された理由
10棟はすべて、登録基準のうち「国土の歴史的景観に寄与しているもの」によって登録されている。登録有形文化財の制度は平成8年(1996年)に始まった。基準の文言は棟ごとに同じでも、原家住宅の場合、評価の中心は1棟の出来ではなく、住まい・蔵・門がそろった屋敷の構えにある。解説文にも、道具蔵と味噌蔵について「旧家の屋敷構えを引き立てている」、奥土蔵について敷地の景観をかたちづくる建物だ、という書き方が繰り返し出てくる。
そのうえで、棟ごとに目を留める箇所は異なる。主屋では、縁側の外にガラス戸を回して土間の通路(土縁)を取り込み、さらにその外に鉄の柱を立てて軒を支える。文化庁の解説は、この構えを当地域の特徴をよく示すものと評価している。土蔵と奥土蔵は、腰を煉瓦積み、上を漆喰塗りとし、入口の扉まわりにスコットランド製の鋼材を用いる。米蔵の小屋組は和小屋とキングポストトラスを部分ごとに使い分ける。
仏間棟では、住宅の一室でありながら虹梁と出組の組物、格天井で仏壇の前を寺院のように構える。茶室は三畳と四畳半の二席をつなぎ、土庇を円柱で支える。材木商の家が、明治の終わりから大正にかけて、どこに手間と材をかけたかを棟ごとに比べられることが、原家住宅の見どころになっている。
原家住宅の見学とアクセス
原家住宅は個人の住まいで、建物の内部も敷地も一般公開されていない。見学を受け付ける窓口や公開日の案内も、調べた範囲では見当たらなかった。新潟市の登録文化財一覧は、所有者の都合で見学できない場合があるとして、見学にはマナーを守るよう求めている。
外から眺める場合も、敷地へは立ち入らず、門の外の公道にとどめる必要がある。撮影についての公式な案内は無い。人の暮らす家なので、住人や窓の内側が写り込まないよう配慮したい。道路からどの棟がどこまで見えるかは、生垣や周囲の建物しだいで、確認できていない。
最寄りの駅はJR信越本線の荻川駅である。原家住宅は駅の北、直線でおよそ1キロの位置にあり、歩けば15分から20分ほどかかる。所在地は新潟市江南区二本木で、住所の地番は棟によって1794-1から1800までに分かれている。見学者用の駐車場は無い。
参考文献
- 国指定文化財等データベース(文化庁)― 原家住宅主屋
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00011083
- 国指定文化財等データベース(文化庁)― 原家住宅門
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00011092
- 国指定文化財等データベース(文化庁)― 原家住宅仏間棟
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00011084
- 国指定文化財等データベース(文化庁)― 原家住宅茶室
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00011085
- 国指定文化財等データベース(文化庁)― 原家住宅離れ
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00011086
- 国指定文化財等データベース(文化庁)― 原家住宅土蔵
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00011087
- 国指定文化財等データベース(文化庁)― 原家住宅奥土蔵
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00011088
- 国指定文化財等データベース(文化庁)― 原家住宅道具蔵
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00011089
- 国指定文化財等データベース(文化庁)― 原家住宅味噌蔵
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00011090
- 国指定文化財等データベース(文化庁)― 原家住宅米蔵
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00011091
- 文化遺産オンライン ― 原家住宅主屋
- https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/288930
- 新潟市 ― 市に所在する国登録文化財一覧
- https://www.city.niigata.lg.jp/kanko/bunka/rekishi/bunkazai/ichiran/touroku.html
最終更新日: 2026.09.24
基本情報
| 名称 | 原家住宅 |
|---|---|
| 所在地 | 新潟県新潟市江南区二本木1798他 |
| 所有者 | 個人 |
| 指定 | 登録有形文化財 10件 |
| 座標 | 37.84298, 139.11352 |