主屋の奥に建つ昭和の座敷棟

帆足家本家住宅(富春館)離れは、大分県大分市中戸次にある昭和12年(1937年)建築の木造平屋の座敷棟で、平成18年(2006年)に登録有形文化財となった。屋敷の8件のうち最も新しく、主屋が建ってから70年あまり後に加えられた。

主屋の北側に建ち、規模は桁行4間、梁間4間半、建築面積は78平方メートル。屋根は寄棟造の桟瓦葺である。南側に主屋へ続く廊下を設け、北側の中央に8畳の座敷をとる。表からは見えない屋敷の奥に、客をもてなすための一間を独立させた形である。

大分市観光協会の案内では、ギャラリーの一部として離れ座敷に「半耕」の名が付けられている。

登録が評価した点

帆足家本家住宅(富春館)離れの登録基準は、主屋と同じ「再現することが容易でないもの」である。門や蔵が景観の要素として登録されたのに対し、この離れは建物そのものの出来が評価された。

文化庁の解説によれば、床の間まわりの構えには近代の特徴が表れているものの、全体は書院造に倣ったつくりで、良い材を用い、意匠と技術に秀でる。昭和初期の座敷は、伝統的な書院の形式を守りながら、床脇や建具の意匠に新しい好みを取り入れることが多かった。帆足家の離れも、そうした時代の座敷の一例と見ることができる。

慶応の主屋と昭和の離れが廊下一本でつながり、同じ家の中で70年あまりの隔たりを数歩で行き来できる。

見どころ

まず主屋から離れへ渡る廊下を歩いてみたい。主屋の北側から入るため、表の式台玄関とは逆の、家の奥へ奥へと進む感覚がある。離れが主屋の生活空間から一段切り離された場所であることが、この移動で実感できる。

8畳の座敷では、床の間の構えに目を留めたい。文化庁が「近代の特徴」と指摘した部分である。主屋の座敷と見比べると、同じ書院風でも時代による違いが読み取れる。

柱や長押、天井板の材にも注目したい。文化庁の解説が良材の使用を挙げており、木目や色の揃い方に施主の目の確かさが出ている。

見学方法

帆足家本家住宅(富春館)離れは、主屋とともにギャラリー富春館の展示の場として使われている。営業は午前11時から午後5時まで、月曜と火曜(祝日の場合は翌日)が休みで、営業時間内なら座敷に上がって見られる。

展示替えの時期や催しによって、室内の様子は変わる。室内には作家の作品が並ぶので、撮影は係の人に確かめてからにしたい。外観は主屋の北側に回ると見られるが、主屋に遮られて南の庭からはほとんど見えない。

屋敷への行き方と全体の見学条件は、帆足家本家住宅(富春館)のページにまとめてある。

よくある質問

Q帆足家本家住宅(富春館)離れの中は見学できますか。
Aできます。主屋とともにギャラリーとして使われており、午前11時から午後5時まで座敷に上がって見られます。月曜と火曜(祝日の場合は翌日)は休みです。
Q帆足家本家住宅(富春館)離れはいつ建てられましたか。
A昭和12年(1937年)です。帆足家本家住宅の登録8件のうち最も新しい建物です。
Q帆足家本家住宅(富春館)離れはどんな建物ですか。
A主屋の北側に建つ木造平屋の座敷棟で、桁行4間、梁間4間半、建築面積78平方メートルです。南側に主屋へ続く廊下があり、北側中央に8畳の座敷があります。
Q帆足家本家住宅(富春館)離れの見どころはどこですか。
A8畳座敷の床の間の構えです。書院風のつくりに近代の特徴が加わっており、良い材が使われています。主屋から渡る廊下も見ておきたい部分です。
Q帆足家本家住宅(富春館)離れはなぜ登録有形文化財になったのですか。
A「再現することが容易でないもの」として登録されました。書院風の丁寧なつくりと良材の使用、意匠と技術の高さが評価されています。

基本データ

名称帆足家本家住宅(富春館)離れ
所在地大分県大分市大字中戸次4381-1
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年平成18年(2006年)11月29日登録
員数1棟
寸法木造平屋建、瓦葺、建築面積78平方メートル
所有者個人
公開状況ギャラリーとして公開(午前11時〜午後5時、月・火曜休)

参考文献

国指定文化財等データベース 帆足家本家住宅(富春館)離れ(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00006078
文化遺産オンライン 帆足家本家住宅(富春館)離れ
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/185983
国指定・選定等文化財一覧(大分県)
https://www.pref.oita.jp/kyoiku/tmp/bunka/post-101/1.pdf
ギャラリー富春館(帆足本家)
https://www.hoashi-honke.com/gallery.html
帆足本家 (富春館・庭園など)(大分市観光協会)
https://www.oishiimati-oita.jp/spot/374

最終更新日: 2026.09.26