旧片上鉄道吉ヶ原駅駅舎とは

旧片上鉄道吉ヶ原駅駅舎は、岡山県久米郡美咲町吉ヶ原にある昭和6年(1931年)建築の木造駅舎で、平成18年(2006年)3月2日に国の登録有形文化財に登録された。

読みは「きゅうかたかみてつどうきちがはらえきえきしゃ」。地名の吉ヶ原は「よしがはら」ではなく「きちがはら」と読む。

片上鉄道は、柵原鉱山で掘り出された硫化鉄鉱を備前市の片上港まで運ぶために大正8年(1919年)に設立された鉄道で、吉井川に沿って走った。全線が北の終点柵原まで開通したのは昭和6年で、吉ヶ原駅はこのとき延びた備前矢田から柵原までの区間に設けられた。終点柵原の一つ手前の駅にあたる。鉱石だけでなく沿線の住民も運んだ路線は平成3年(1991年)に廃止されたが、旧片上鉄道吉ヶ原駅駅舎は取り壊されずに残り、駅と操車場の跡地に整備された柵原ふれあい鉱山公園の入口として使われている。所有者は美咲町である。

旧片上鉄道吉ヶ原駅駅舎が登録された理由

旧片上鉄道吉ヶ原駅駅舎の登録番号は33-0105、登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」である。文化庁の解説が挙げるのは、建物の組み立て方そのものだ。桁行9間、梁行2間半の東西に長い本体を切妻造の鉄板葺とし、西側の待合室の部分にだけ棟を南北に向けた急勾配の切妻屋根を架け、プラットホーム側には下屋の庇を添える。地元で「とんがり屋根の旧駅舎」と呼ばれて親しまれてきたことも、解説にあえて書き添えられている。

岡山県の解説によると、吉ヶ原駅には運転支区が置かれ、乗務員の宿舎や木造の車庫もあった。終点に近い山あいの駅ながら、列車の運行を支える拠点の一つだったことになる。それらの付属施設は残っていないが、駅舎は開業当時の姿をとどめ、保存の状態も良いと県は評価している。建築面積は114平方メートルで、大きな建物ではない。

旧片上鉄道吉ヶ原駅駅舎の見どころ

待合室の上のとんがり屋根

旧片上鉄道吉ヶ原駅駅舎を少し離れて眺めると、横に長い平屋の屋根の西端から、三角形の妻をこちらに向けた急な屋根が突き出しているのが分かる。本体の棟と直交させたこの屋根が待合室の上に載り、駅の顔をつくっている。低く伸びる本体とのとがった妻の対比が、この駅舎の外観のほぼすべてと言ってよい。

当時のままの待合室と改札

駅舎の中には入ることができる。岡山観光WEBの紹介によれば、待合室は当時の姿のまま保存され、石造りの改札が残り、ホームには木製の駅名標やベンチが置かれている。改札を抜けてホームに出ると、頭上の下屋庇が乗客の雨よけだったことが実感できる。

ホームの先の保存車両

美咲町によると、構内には鉱石を運んだ貨車や客車など11両が保存されている。ホームに立つと線路の先に車両が並び、旧片上鉄道吉ヶ原駅駅舎がいまも駅として機能しているかのような眺めになる。美咲町はこの駅を「駅長猫発祥の地」とも紹介している。

旧片上鉄道吉ヶ原駅駅舎の見学方法

旧片上鉄道吉ヶ原駅駅舎は柵原ふれあい鉱山公園の入口になっており、見学は無料である。公園の奥にある柵原鉱山資料館は午前9時から午後5時まで(受付は午後4時30分まで)開いており、休館日は月曜日(祝日の場合は翌日)と12月28日から1月4日まで。資料館の入館料は大人(高校生以上)520円、小学生以上310円で、坑道の採掘現場や鉱山町の暮らしを再現した展示を見られる。駅舎だけを見る場合も、資料館の開館日に訪れると確実である。

かつては毎月第1日曜日に保存車両を走らせる運転会が開かれていたが、美咲町によると現在は休止中で、再開の時期は決まっていない。撮影の可否について公園の案内は見当たらないが、ほかの来園者が写り込まないよう気を配りたい。

公共交通では、JR津山駅から中鉄バスで約40分、「吉ケ原」停留所で降りるとすぐ目の前である。車ならJR津山駅から約30分、中国自動車道の美作インターチェンジからも約30分かかる。公園には駐車場がある。片上鉄道の線路跡は自転車道「片鉄ロマン街道」として整備されており、旧片上鉄道吉ヶ原駅駅舎のある公園はその発着地にもなっている。

Q&A

Q旧片上鉄道吉ヶ原駅駅舎の「吉ヶ原」は何と読みますか?
A「きちがはら」と読みます。文化庁のデータベースのふりがなも「きゅうかたかみてつどうきちがはらえきえきしゃ」です。停留所や地名表記では「吉ケ原」と書かれることもあります。
Q旧片上鉄道吉ヶ原駅駅舎は中に入れますか?料金はかかりますか?
A入れます。駅舎は柵原ふれあい鉱山公園の入口で、待合室や改札、ホームを無料で見学できます。隣接する柵原鉱山資料館は有料(大人520円、小学生以上310円)で、午前9時から午後5時まで、月曜日(祝日の場合は翌日)と年末年始は休館です。
Q旧片上鉄道吉ヶ原駅駅舎へはどう行けばよいですか?
AJR津山駅から中鉄バスで約40分、「吉ケ原」停留所で下車してすぐです。車の場合はJR津山駅や中国自動車道の美作インターチェンジから約30分で、公園に駐車場があります。
Q旧片上鉄道吉ヶ原駅駅舎ではいまも列車に乗れますか?
A現在は乗れません。保存車両を走らせる毎月第1日曜日の運転会は休止中で、美咲町は再開の時期を未定としています。構内に保存された11両の貨車や客車は見ることができます。
Q旧片上鉄道吉ヶ原駅駅舎はいつ建てられ、いつ登録有形文化財になりましたか?
A片上鉄道が柵原まで延伸した昭和6年(1931年)の建築で、平成18年(2006年)3月2日に国の登録有形文化財に登録されました。登録番号は33-0105です。

基本情報

名称旧片上鉄道吉ヶ原駅駅舎
所在地岡山県久米郡美咲町吉ヶ原432-1
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年平成18年(2006年)3月2日登録
員数1棟
寸法木造平屋建、鉄板葺、建築面積114平方メートル
所有者美咲町
公開状況公開(柵原ふれあい鉱山公園の入口として内部も見学可、無料)

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁):旧片上鉄道吉ヶ原駅駅舎
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00005359
文化遺産オンライン(文化庁):旧片上鉄道吉ヶ原駅駅舎
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/118437
岡山県:旧片上鉄道吉ヶ原駅駅舎(PDF)
https://www.pref.okayama.jp/uploaded/attachment/260983.pdf
美咲町:柵原ふれあい鉱山公園詳細
https://www.town.okayama-misaki.lg.jp/kakuka/sangyokanko/gyomu/1/1/656.html
美咲町:片上鉄道をカメラガールズがめぐる
https://www.town.okayama-misaki.lg.jp/section/cameragirls/
柵原ふれあい鉱山公園・柵原鉱山資料館
https://yanahara-fkk.com/
岡山観光WEB:美咲町でタイムトリップ。鉱山町再現やレトロな駅舎でノスタルジック体験
https://www.okayama-kanko.jp/okatabi/886/page
岡山観光WEB:柵原ふれあい鉱山公園/柵原鉱山資料館
https://www.okayama-kanko.jp/spot/11879
津山瓦版:旧片上鉄道吉ケ原駅駅舎(久米郡美咲町)
https://www.e-tsuyama.com/report/2018/02/post-1506.html

最終更新日: 2026.10.02