本堂の背後に続く、開山を祀る堂
洞松寺開山堂及び位牌堂は、岡山県小田郡矢掛町横谷の洞松寺で本堂の背後に建つ2つの堂からなる建物で、享保年間(1716〜1735年)に建てられ、平成23年(2011年)7月25日に国の登録有形文化財に登録された。本堂の内陣の後ろに位牌堂が接し、その奥に開山堂が続く。建築面積は2堂を合わせて66平方メートルである。
開山堂は6.8メートル四方の正方形平面で、屋根は宝形造の鉄板葺とする。位牌堂は桁行3.8メートル、梁間5.1メートルで、両下造(りょうさげづくり)の瓦葺である。両下造は棟から前後へ屋根を葺き下ろすだけの簡素な形式で、本堂と開山堂のあいだを取り持つ堂にふさわしい。
開山と二世の坐像を納める堂
開山堂は、寺を開いた僧を祀る堂である。洞松寺では、応永19年(1412年)に寺を曹洞宗として中興した喜山性讃が、自分の師である恕仲天誾を開山として迎え、自らは二世となった。矢掛町教育委員会によれば、開山堂の正面奥の壇には、向かって左に伝喜山性讃坐像(像高81センチ)、右に伝恕仲天誾坐像(像高87センチ)が並ぶ。どちらも室町時代中期の作と推定される寄木造の頂相彫刻で、玉眼を嵌め、平成12年(2000年)に岡山県の文化財に指定された。
位牌堂は、左右に位牌を祀る壇を備えた堂である。本尊を祀る本堂と開山を祀る開山堂のあいだに位牌の堂を置く並びは、仏から祖師、そして寺に連なる人々へと祀る対象が移っていく順序をそのまま建物にしている。
文化庁の解説は、本堂を建てたのちに開山堂と位牌堂を整えていった順序が、この建物から読み取れる点を評価している。元禄10年(1697年)の本堂から20年ほど遅れて、享保年間に背後の2堂が加わった。その後も江戸末期、明治前期、昭和後期と改修を重ねており、屋根の大半は鉄板葺、一部が瓦葺になっている。
見どころ
洞松寺開山堂及び位牌堂は、山門から本堂を経て一直線に延びる境内の軸の終点にあたる。中庭からは本堂の大屋根に隠れて見えにくいので、本堂の脇から背後へ回り込みたい。四方の屋根を頂点に寄せる宝形造の開山堂が、本堂の重い瓦屋根の後ろに小さく控えている。
鉄板葺の屋根は線が細く、瓦屋根の本堂と並ぶと軽さが際立つ。本堂、位牌堂、開山堂の3つの屋根が途切れずに続くさまを外から確かめられるのが、この建物のいちばん分かりやすい見どころである。
開山堂及び位牌堂の見学方法
開山堂と位牌堂は、寺の祖師と先人を祀る場である。内部の公開について定まった案内はなく、2体の坐像を拝観したい場合は事前に洞松寺へ問い合わせる必要がある。外観は本堂の側面から回り込んで見られるが、修行僧の通り道をふさがないように気をつけたい。撮影は外観にとどめる。
Q&A
- 洞松寺開山堂及び位牌堂にはどのような像が祀られていますか。
- 開山堂の奥の壇に、伝喜山性讃坐像と伝恕仲天誾坐像の2体が安置されています。ともに室町時代中期の作と推定される寄木造の坐像で、平成12年(2000年)に岡山県の文化財に指定されました。
- 洞松寺開山堂及び位牌堂はいつ建てられましたか。
- 享保年間(1716〜1735年)です。元禄10年(1697年)の本堂より後に整えられ、江戸末期・明治前期・昭和後期に改修を受けています。平成23年(2011年)7月25日に国の登録有形文化財に登録されました。
- 洞松寺開山堂及び位牌堂の内部は見学できますか。
- 定まった公開日はありません。坐像の拝観や内部の見学を希望する場合は、事前に洞松寺へ問い合わせてください。外観は本堂の背後へ回ると見られます。
- 洞松寺開山堂及び位牌堂の屋根はどのような形ですか。
- 開山堂は宝形造の鉄板葺、位牌堂は両下造の瓦葺です。屋根の大半は後の改修で鉄板葺になっています。
- 洞松寺開山堂及び位牌堂は境内のどこにありますか。
- 本堂の真後ろです。本堂の内陣の後ろに位牌堂が接し、その奥に開山堂が続きます。本堂の脇から回り込むと外観が見えます。
基本情報
| 名称 | 洞松寺開山堂及び位牌堂(とうしょうじかいざんどうおよびいはいどう) |
|---|---|
| 所在地 | 岡山県小田郡矢掛町横谷字舟木谷3796 |
| 指定区分 | 登録有形文化財(建造物) |
| 指定年 | 平成23年(2011年)7月25日登録 |
| 員数 | 1棟 |
| 寸法 | 開山堂6.8メートル四方、位牌堂 桁行3.8メートル・梁間5.1メートル、建築面積66平方メートル |
| 所有者 | 宗教法人洞松寺 |
| 公開状況 | 外観は境内から見学可。内部は通常非公開(要事前問い合わせ) |
参考文献
- 国指定文化財等データベース(文化庁)「洞松寺開山堂及び位牌堂」
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00008764
- 矢掛町教育委員会「矢掛の文化財」県指定文化財(木造伝喜山性讃坐像ほか)
- https://bunkazai.yakage-kyouiku.info/shiteibunkazai/picp
- 矢掛町教育委員会「矢掛の文化財」国指定・登録文化財(洞松寺)
- https://bunkazai.yakage-kyouiku.info/shiteibunkazai/nicp
最終更新日: 2026.09.24