神山家住宅石垣

黒島の神山家にたどり着く前に、まず出会うのは石垣である。サンゴ石灰岩を積んだ低い石垣が、屋敷地の四周をほぼ巡る。途切れているのは南辺の西寄りの一部だけ。延長は87.4メートル、高さはおよそ1.3〜1.4メートル、厚みは0.6〜0.8メートルほど。石は礁から得たままの粗い面を表に向け、漆喰などで固めずに空積みする野面積(のづらづみ)で組まれている。

黒島は八重山のサンゴ礁の低い島で、石垣港からフェリーで25〜30分。こうした石垣が集落の小道をかたちづくっており、神山家の囲いもその一つとして文化財に登録されている。

景観に配慮した積み方

この石垣が築かれたのは明治42年(1909年)。登録有形文化財となったのは平成19年(2007年)5月で、登録番号は47-0032である。登録の区分は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」。建物そのものだけでなく、その場所の見え方をどう形づくっているかを評価する区分である。

近づいて見ると、つくりの丁寧さが分かる。南辺の中央には間口およそ三メートルの門部が開き、その両端は切石を木端建(こばだて)に据えて、間の野面石よりも引き締めている。西辺や出隅には大きめの石を選び、表に出る面を落ち着いた線で通している。これらは行き当たりばったりではない。道から見たときの姿を意識して、石垣は組み上げられている。

見どころ

サンゴの石垣は八重山のどの集落にも巡るが、黒島のそれには独特の趣がある。角を直角ではなく丸く積むことが多く、段もよくそろう。小道を自転車で走る人が気づく、黒島に特有の手癖である。神山家の石垣は、徒歩でゆっくり通り過ぎるほどに面白い。粗い礁石が門部の切石に切り替わるところ、大きな石が隅を締めているところを目で追ってみたい。

石垣は、一つの屋敷を構成する登録四件のうちの一つである。囲いの内側には大正元年の主屋、南西隅の石造井戸、そして道沿いのコンクリート貯水槽が控える。この囲いは単なる境界ではない。風にさらされる島で、家を守る最初の備えであり、暮らしの場の縁を画している。個人の住まいであるので、見学は道沿いからとし、屋敷の中は住む人にゆだねたい。

Q&A

Q石垣は何でできていますか。
A島で得られるサンゴ石灰岩です。漆喰を使わず、粗い面を生かして空積みする野面積で組まれています。
Q長さや高さはどのくらいですか。
A屋敷地の大半を囲って延長87.4メートル、高さおよそ1.3〜1.4メートル、厚みは0.6〜0.8メートルほどです。
Qいつ築かれ、いつ登録されましたか。
A明治42年(1909年)に築かれ、平成19年(2007年)5月に登録有形文化財となりました。登録番号は47-0032です。
Q門のつくりに特徴はありますか。
A南辺の門部は間口約三メートルで、両端に切石を木端建に据え、引き締まった枠としています。
Qなぜ島の家は石垣の内に建つのですか。
Aサンゴの石垣は、風にさらされる島で屋敷を守り、家の縁を画します。黒島の集落に共通して見られる構えです。

基本情報

名称神山家住宅石垣(かみやまけじゅうたくいしがき)
所在地沖縄県八重山郡竹富町字黒島1522
区分登録有形文化財(建造物) 登録番号47-0032
登録年月日2007年(平成19年)5月15日(告示5月29日)
年代明治42年(1909年)
構造・形式1所 石造(サンゴ石灰岩・野面積)、延長87.4メートル、高さ約1.3〜1.4メートル、幅約0.6〜0.8メートル
アクセス石垣港から黒島までフェリー約25〜30分、港から自転車で東筋集落へ
公開状況個人住宅。石垣は道沿いから望見可

参考文献

文化庁 国指定文化財等データベース 神山家住宅石垣
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00006120
竹富町観光協会 竹富町の文化財
https://painusima.com/cultural/

最終更新日: 2026.06.25