豊見親墓とは

豊見親墓(とぅゆみゃばか)は、沖縄県宮古島市平良西仲宗根にある3基の石造墓で、18世紀中期から19世紀前期にかけて築かれ、平成5年(1993年)4月20日に国の重要文化財に指定された。文化庁の指定名称は「豊見親墓(沖縄県平良市字西仲宗根)」で、括弧内は指定当時の旧平良市の地名である。

3基の内訳は、仲宗根豊見親(なかそねとぅゆみゃ)の墓、知利真良豊見親(ちりまらとぅゆみゃ)の墓、あとんま墓である。仲宗根豊見親は15世紀末から16世紀初めにかけて宮古の首長をつとめた人物で、その一門を忠導氏(ちゅうどううじ)という。知利真良豊見親は仲宗根豊見親の三男にあたり、その子孫が宮金氏(みやがねうじ)を名乗った。あとんま墓には忠導氏一門の後妻(継室)が葬られている。

墓所は宮古島の北西、平良湾に面した墓地にあり、3基は数十メートルの範囲にまとまっている。所有者は平良市字西仲宗根財産区である。

豊見親墓が重要文化財に指定された理由

文化庁の解説は、仲宗根豊見親の墓と知利真良豊見親の墓を18世紀中期に築かれた巨大な石造墳墓とし、宮古島を代表する石造建築として価値が高いと評価している。あとんま墓は19世紀前期の築造で、岩盤を生かした石造の技法に見るべきものがあるとされる。

宮古島市教育委員会は、豊見親墓の3基に共通する特色を2点挙げる。1つは墓の入口の正面に「つんぷん」(沖縄本島でいうひんぷん、目隠しの壁)を立てること。もう1つは墓室の上部に短い石柱を並べることで、石柱の上端には凹形の欠き込みがある。祭祀のときにはこの凹みに桁木を渡して梁を掛け、屋根を架けることができたという。市はこうした構造の墓を県内のほかの地域では見られないものとしている。

知利真良豊見親の墓について、市の案内は、子孫で平良の頭(かしら)をつとめた宮金氏寛富(かんぷ)が乾隆15年(1750年)ごろに造ったと伝えている。文化庁データベースの各基の欄は、仲宗根豊見親の墓と知利真良豊見親の墓の年代を1751年から1829年、あとんま墓を1830年から1867年としており、解説文の「18世紀中期」「19世紀前期」とは幅がずれている。築造年代はおおよその目安として受け止めたい。

豊見親墓の見どころ

まず仲宗根豊見親の墓の前に立ちたい。文化庁の記載では、この墓は墓室、うりがー(降りて水を汲む井戸)、周囲の石垣からなる。石を幾段にも積み上げた墓の量感は、3基のなかでもとりわけ大きい。墓室の上に立ち並ぶ短い石柱に目を向けると、先端の欠き込みが下からでも見分けられる。祭祀の日にここへ木を渡して屋根を掛けたと知ってから見ると、石柱の列が単なる飾りではないことが分かる。

知利真良豊見親の墓は、墓室とつんぷん、周囲の石垣からなる。入口の正面をふさぐように立つつんぷんは、豊見親墓の特色をもっとも分かりやすく示す部分で、正面から眺めると墓室の口が壁の陰に隠れる。

あとんま墓は、墓室と周囲の石垣からなる小ぶりな墓である。岩盤を削り込み、そこに石を組み合わせてつくられており、自然の岩と加工した石の境目を探しながら見ると、文化庁が評価する岩盤利用の技法が実感できる。仲宗根豊見親の墓の南側、草木に囲まれたやや奥まった場所にある。

豊見親墓の見学方法

豊見親墓は屋外の墓所で、3基とも外から見学できる。宮古島市の案内に見学時間や料金の定めは示されていない。現在も祖先をまつる墓であるため、墓室や石垣に上ったり、供え物に触れたりすることは控えたい。撮影の可否についても公的な案内はなく、祭祀が行われているときは撮影を遠慮するのが礼儀である。

豊見親墓は平良の市街地に近く、宮古島の海の玄関口である平良港から北へ歩いて5分ほどの場所にある。宮古空港からは約5キロで、車なら10分ほどである。専用の駐車場は公的な案内では確認できないため、車で訪れる場合は周辺の駐車場を利用したい。

Q&A

Q豊見親墓はいつ重要文化財に指定されましたか?
A平成5年(1993年)4月20日に、3基がまとめて国の重要文化財に指定されました。指定名称は「豊見親墓(沖縄県平良市字西仲宗根)」です。
Q豊見親墓の3基には誰が葬られていますか?
A仲宗根豊見親の墓には仲宗根豊見親を始祖とする忠導氏一門、知利真良豊見親の墓にはその三男の流れをくむ宮金氏一門、あとんま墓には忠導氏一門の後妻が葬られています。
Q豊見親墓の「つんぷん」とは何ですか?
A墓の入口の正面に立てる目隠しの壁で、沖縄本島のひんぷんにあたります。宮古島市は、つんぷんと墓室上部の石柱の列を豊見親墓の特色に挙げています。
Q豊見親墓は見学に料金がかかりますか?中に入れますか?
A屋外の墓所で、公的な案内に料金や見学時間の定めは示されていません。現在も祖先をまつる墓なので、外から静かに見学し、墓室や石垣には上らないようにしてください。
Q豊見親墓へはどう行けばよいですか?
A平良港から北へ徒歩5分ほど、宮古空港からは約5キロで車なら10分ほどです。専用駐車場は公的な案内では確認できません。

基本情報

名称豊見親墓(沖縄県平良市字西仲宗根)
所在地沖縄県宮古島市平良西仲宗根3-4
指定区分重要文化財
指定年平成5年(1993年)
員数3基(仲宗根豊見親の墓、知利真良豊見親の墓、あとんま墓)
寸法不明(文化庁データベースに記載なし)
所有者平良市字西仲宗根財産区
公開状況屋外の墓所で外観を見学可(見学時間・料金の定めの記載なし)

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁):豊見親墓 仲宗根豊見親の墓
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/102/3653
国指定文化財等データベース(文化庁):豊見親墓 知利真良豊見親の墓
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/102/3654
国指定文化財等データベース(文化庁):豊見親墓 あとんま墓
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/102/3655
文化遺産オンライン:豊見親墓(沖縄県平良市字西仲宗根) あとんま墓
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/176892
宮古島市:【国指定:建造物】豊見親墓・三基
https://www.city.miyakojima.lg.jp/soshiki/kyouiku/syougaigakusyu/syougaikakusyu/bunkazai-TuyumyaBaka.html

最終更新日: 2026.10.03

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