本殿と拝殿をつなぐ10平方メートル
荒神山神社渡殿は、滋賀県彦根市清崎町の荒神山山頂で本殿と拝殿をつなぐ明治28年(1895年)建築の建物で、平成29年(2017年)に国の登録有形文化財に登録された。
桁行二間、梁間一間の南北棟。切妻造の銅板葺で、木造平屋建、建築面積は10平方メートルしかない。荒神山神社の登録6件のなかで最も小さい。
神社の公式サイトは、この建物を幣殿と呼んでいる。文化庁の名称は渡殿(わたりどの)で、登録上の表記はこちらである。呼び名が二通りあるのは、つなぐ通路としての性格と、幣帛を供える場としての性格が重なるためと考えられる。
小さいことが役目である
荒神山神社渡殿の登録番号は25-0394、登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」である。文化庁の解説は、組物を拝殿と共通の舟肘木とし、社殿景観を構成する要素のひとつになっていると述べる。単体の価値ではなく、並びのなかでの役割が評価されている。
両側面には腰長押と内法長押を内外に廻らし、格子窓を入れる。内部は拭板張で、天井は棹縁天井。10平方メートルの空間に、長押を二段に通し、天井を張り、窓を切るという手順がひと通り収まっている。
改修の年も手がかりになる。荒神山神社渡殿は昭和18年(1943年)と平成8年(1996年)に改修を受けており、この2年は本殿の改修年と一致する。奥の2棟が一体のものとして扱われてきたことがうかがえる。拝殿と神饌所は瓦葺だが、本殿と渡殿は銅板葺という点でも組み合わせが揃う。
横から見ないと分からない
正面からは見えにくい建物である。参拝者の位置からは拝殿に隠れ、荒神山神社渡殿は屋根の一部が覗く程度にとどまる。
境内の東または西に回ると、拝殿と本殿の間を埋める低い切妻屋根が現れる。ここで注目したいのは高さの関係である。渡殿の棟は前後の2棟より低く抑えられ、屋根の高低が本殿から拝殿への流れをつくる。並んだ3棟が1棟に見えないのは、この段差のおかげである。
格子窓は側面にあるため、近づけば内部の暗がりも少し見える。内部の公開は行われておらず、建物への立ち入りもできない。境内への行き方と参拝の条件は荒神山神社のページにまとめてある。
よくある質問
- 荒神山神社渡殿はどのような建物ですか。
- 本殿と拝殿をつなぐ南北棟の建物です。桁行二間、梁間一間の切妻造、銅板葺で、建築面積は10平方メートルです。
- 荒神山神社渡殿はなぜ幣殿とも呼ばれるのですか。
- 神社の公式サイトが幣殿の表記を用いているためです。文化庁の登録上の名称は渡殿で、読みは「こうじんやまじんじゃわたりどの」です。
- 荒神山神社渡殿の内部はどうなっていますか。
- 床は拭板張、天井は棹縁天井です。両側面には腰長押と内法長押を内外に廻らし、格子窓を入れています。内部は公開されていません。
- 荒神山神社渡殿はいつ建てられましたか。
- 明治28年(1895年)で、拝殿や神饌所と同じ年です。昭和18年(1943年)と平成8年(1996年)に改修を受けており、この2年は本殿の改修年と一致します。
- 荒神山神社渡殿はどこから見えますか。
- 境内の東または西からです。正面からは拝殿に隠れます。側面に回ると、本殿と拝殿の間で一段低く抑えられた切妻屋根が見えます。
基本データ
| 名称 | 荒神山神社渡殿(こうじんやまじんじゃわたりどの) |
|---|---|
| 所在地 | 滋賀県彦根市清崎町1931 |
| 指定区分 | 登録有形文化財(建造物)/登録番号 25-0394 |
| 指定年 | 平成29年(2017年)登録 |
| 員数 | 1棟 |
| 寸法 | 桁行二間、梁間一間、切妻造、銅板葺、木造平屋建、建築面積10平方メートル |
| 所有者 | 宗教法人荒神山神社 |
| 公開状況 | 外観は境内の側面から見学可。内部は非公開で立ち入りもできない |
参考文献
- 国指定文化財等データベース(文化庁)「荒神山神社渡殿」
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00011520
- 文化遺産オンライン「荒神山神社渡殿」
- https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/294210
- 荒神山神社公式サイト「文化財の案内板を設置」
- https://kojinyama.org/文化財の案内板を設置/
最終更新日: 2026.09.20