葛野常喜家住宅の成り立ち

葛野常喜家住宅は、滋賀県大津市葛川坊村町にある、江戸時代後期(1751〜1829年)の蔵と天保14年(1843年)の主屋からなる住宅で、2棟とも平成14年(2002年)2月14日に登録有形文化財に登録された。文化庁のふりがなは「くずのじょうきけじゅうたく」である。

屋敷があるのは、比良山地の西側の谷を通る若狭街道(国道367号)沿いの坊村で、明王院の門前集落にあたる。大津市の資料は、明王院を、比叡山の僧相応が貞観元年(859年)に不動明王を感得したことを起こりとする寺で、天台の回峰行の道場とされてきたと紹介している。

文化庁の解説によれば、葛野常喜家は代々この明王院の信徒総代を務めてきた家である。

参道を挟んで向き合う葛野常喜家住宅

葛野常喜家住宅は、若狭街道から明王院の参道へ入る角地に建ち、参道を挟んで、寺の政所を務めた葛野常満家と向かい合う。寺の事務を担った家と、信徒をまとめた家とが参道の入口を両側から押さえる配置で、門前集落と明王院との結びつきが屋敷の位置からも読み取れる。

登録されたのは主屋と蔵の2棟である。主屋は入母屋造の茅葺を鉄板で覆った木造平屋建で、農家の外観をもちながら、土間の大戸の脇に式台を構える。蔵は敷地の南西の角に東を向いて建つ土蔵造2階建で、高く張った焼板と漆喰の対比が参道の眺めを引き締める。文化庁の年代に従えば、蔵のほうが主屋より古い。

登録基準は2棟とも「国土の歴史的景観に寄与しているもの」である。文化庁は主屋を明王院門前集落の景観に欠かせない建物、蔵を参道の景観をつくる主要素と評価した。各棟の造りは主屋と蔵のページで詳しく扱う。

葛野常喜家住宅の見学方法とアクセス

葛野常喜家住宅は一般に公開された施設ではない。文化庁や大津市の資料に内部公開の案内はなく、見学は参道から外観を眺めるにとどまる。敷地の中へは入らないでほしい。

バスで向かう場合は、JR湖西線の堅田駅から江若交通堅田葛川線(51系統、細川行き)に乗り、坊村で降りる。この路線は春分の日から12月第1日曜日までの土曜・休日にしか走らず、本数は1日1往復である。停留所時刻表によると、往路は堅田駅午前8時50分発・坊村午前9時28分着、復路は坊村午前9時51分発となっている。坊村バス停は明王院の門前近くにあり、参道の入口までは迷わない。ゆっくり見るなら、国道367号を車で来るほうがよい。

時刻は2026年10月時点の江若交通の掲載によるもので、ダイヤは変わることがある。

参考文献

文化庁 国指定文化財等データベース「葛野常喜家住宅主屋」
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00002632
文化庁 国指定文化財等データベース「葛野常喜家住宅蔵」
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00002633
大津市スポーツ推進委員協議会『地域いきいき健康マップ 葛川地区』(大津市)
https://www.city.otsu.lg.jp/material/files/group/126/katuragawa.pdf
江若交通 停留所時刻表「堅田駅 標柱3(葛川・伊香立方面)」
https://www.kojak.co.jp/timetable/Zikoku/00075_03/
江若交通 停留所時刻表「坊村 標柱1(細川方面)」
https://www.kojak.co.jp/timetable/Zikoku/00442_01/
江若交通 停留所時刻表「坊村 標柱2(堅田駅方面)」
https://www.kojak.co.jp/timetable/Zikoku/00442_02/

最終更新日: 2026.10.15

基本情報

名称葛野常喜家住宅
所在地滋賀県大津市葛川坊村町102
指定登録有形文化財 2件
座標35.24685, 135.86801