本堂の西、高台に営まれた宗祖の御廟
西教寺の中心伽藍を見下ろす高台に、天台真盛宗の宗祖・真盛上人(1443〜1495)の墓所として建てられた小さな堂がある。西教寺御廟である。本堂の西、伽藍の南西にあたる一段高い場所に位置し、堂内には上人の五輪塔が安置されていると伝わる。周囲を歴代住職の墓が囲み、参道の石段を上りつめた墓地の最上段からは琵琶湖の水面が望める。
建立は天保13年(1842)。今回まとめて登録された西教寺の建造物群のなかで最も古い。真盛上人は文明18年(1486)に入寺し、荒れていた堂塔と教えを立て直して不断念仏の道場を興した人物で、その名は宗派名「真盛宗」にそのまま残る。上人を偲ぶ場として、境内で最も奥まった、静けさの深い一角が選ばれている。
江戸末期の彫りの厚み
平面は桁行1間・梁間2間ながら方形にまとめ、正面に向拝を張り出す。屋根は四方に流れる宝形造で、頂部に露盤・宝珠をのせる。四半敷の基壇の上に堂が据えられ、簡素な墓堂でありながら手が込んでいる。
見どころは軒まわりの造作にある。垂木を二段に重ねた二軒繁垂木、二手先に組み上げた組物、その先端に絵様を刻んだ尾垂木。蟇股や手挟にも彫刻が施され、江戸末期らしい装飾の厚みがある。2001年(平成13)8月28日に登録有形文化財となった。
石段を上る参拝の時間
御廟へは本堂と明智一族の墓の間を抜け、放生池の奥から石段を上る。段はやや急で、雨の日は足元に注意したい。上りきると御廟が静かに構え、その背後には歴代住職の墓と、開けた琵琶湖の眺めが待つ。
堂の内部は通常非公開で、外から拝するかたちになる。派手さはないが、宗祖の眠る場所として西教寺の信仰の核をなす。境内をゆっくり巡るなら、ここまで足を延ばして手を合わせてから引き返したい。
Q&A
- 御廟には誰が眠っているのですか。
- 西教寺を再興した宗祖・真盛上人の墓所とされ、堂内に上人の五輪塔が安置されていると伝わります。周囲には歴代住職の墓が並びます。
- いつ建てられたものですか。
- 天保13年(1842)の建立で、今回登録された西教寺の建造物のなかで最も古いものです。
- 宝形造とはどんな屋根ですか。
- 四方向へ均等に勾配をとり、頂点で一点に集まる方形の屋根形式です。頂上には露盤と宝珠を据えています。
- 御廟の内部は見学できますか。
- 堂内は通常非公開で、外から拝観します。石段を上った先にあり、雨天時は足元にご注意ください。
基本情報
| 名称 | 西教寺御廟(さいきょうじごびょう) |
|---|---|
| 所在地 | 滋賀県大津市坂本本町3210 |
| 指定区分 | 登録有形文化財(建造物) |
| 登録年月日 | 2001年(平成13)8月28日 |
| 年代 | 天保13年(1842)/江戸時代末期 |
| 員数 | 1棟 |
| 構造 | 木造平屋建、瓦葺、宝形造、建築面積15㎡ |
| 所有者 | 宗教法人西教寺 |
| 拝観 | 境内は拝観可(御廟内部は非公開)。客殿等の拝観は有料 |
参考文献
- 西教寺御廟 — 国指定文化財等データベース(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00002271
- 西教寺御廟 — 文化遺産オンライン(文化庁)
- https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/139541
- 西教寺 — Wikipedia
- https://ja.wikipedia.org/wiki/西教寺
- 西教寺 — 滋賀県観光公式サイト
- https://www.biwako-visitors.jp/spot/detail/88/
最終更新日: 2026.07.08