東山荘正門とは

東山荘正門は、静岡県熱海市春日町の東山荘敷地の西辺北端、道路に面して開く木造の門で、昭和8年(1933年)の建築、平成28年(2016年)8月1日に国の登録有形文化財(建造物)に登録された。文化庁の分類では建築物ではなく、その他工作物として扱われている。

この門は、第一銀行頭取の石井健吾が別荘を構えた際、本館・離れ・物置とともに清水組(現在の清水建設)の設計施工で建てられた。以後、昭和14年(1939年)に山下亀三郎、昭和19年(1944年)に世界救世教の岡田茂吉と所有者が替わるあいだも位置を変えず、90年余りにわたって同じ場所で敷地の入口を務めている。

訪れる人が最初に触れる建物であり、坂道を上ってきた視線がここでいったん止まる。門の意匠が別荘全体の性格を先に告げる役割を負っている。

登録有形文化財としての価値

東山荘正門の登録番号は22-0230である。敷地内の7棟のうち最後の番号で、登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」。本館・蔵・物置と同じ基準にあたる。

昭和初期の熱海には別荘が数多く建ったが、門を含む一式がそろって残る例は多くない。母屋だけが残り門や塀が失われた事例と比べると、東山荘正門が当初の位置で機能を保っていることの意味は大きい。文化庁の解説も、端正で気品を備えた意匠の正門と記す。

門の構えを見る

東山荘正門の総間口は3.6メートル。屋根は切妻造で、平入りに構える。文化庁のデータベースは間口を1.8メートルと記録しており、これは中央に開く門口の寸法にあたる。中央間には板戸を引違いにたて、その北側の半間を土壁とし、南側には潜戸を開く。門の両側面も土壁である。

屋根の仕上げが目を引く。瓦の下端をまっすぐ通す一文字葺きで、水平線がぶれずに走る。用いられているのは焼成時に色調が変化した窯変瓦で、一枚ごとに異なる色が並ぶ。一文字葺きの周囲は銅板で葺き、屋根の縁を締めている。

軸部は磨丸太で構成される。皮を剥いで表面を磨いた丸太を柱とする手法で、角柱の門とは表情が大きく違う。東山荘保存会はこの門を四脚門様式の数寄屋造の門と説明しており、格式の形式を採りながら仕上げは茶室の作法に寄せた構えになっている。

潜戸は、門扉を開けずに人ひとりが出入りするための小さな戸である。日常の出入りと客を迎える儀礼的な開門とを使い分ける仕掛けで、別荘の暮らしの実際が読み取れる部分でもある。

見学方法とアクセス

東山荘正門は道路に面しているため外観は通りから見えるが、門をくぐって敷地に入るには東山荘保存会の予約制公開に申し込む必要がある。公開日は原則毎月第3日曜日、3月・5月・8月・11月は第4日曜日。開始は午前11時と午後1時30分の2回、定員は各回10名である。

拝観料は1,000円で当日受付にて支払う。ガイド付き、所要はおよそ1時間。申し込みは保存会のメールアドレスへ氏名・連絡先・希望日・希望時間・人数を送る。令和8年(2026年)は7月と12月が休館である。

撮影の可否は公表されていないため、当日ガイドに確認してほしい。

JR熱海駅から南東へ坂を上って徒歩約10分。敷地に駐車場はないので、市内の有料駐車場を利用する。門前の道は住宅地の細い坂道で、車での接近には向かない。

Q&A

Q東山荘正門は自由に見られますか。敷地に入るには予約が必要ですか。
A門の外観は道路から見えますが、くぐって敷地に入るには予約が必要です。原則毎月第3日曜日(3月・5月・8月・11月は第4日曜日)の午前11時と午後1時30分、各回10名、拝観料1,000円のガイド付き公開が行われています。
Q東山荘正門の大きさと構造を教えてください。
A木造で屋根は瓦葺、総間口は3.6メートルです。文化庁データベースは間口1.8メートルと記録しており、これは中央の門口の寸法です。南側に潜戸が付きます。
Q東山荘正門の屋根に使われている窯変瓦とは何ですか。
A焼成の過程で色調が一枚ごとに変化した瓦のことです。下端をそろえる一文字葺きで並べられ、その周囲は銅板葺として屋根の縁を締めています。
Q東山荘正門はいつ、誰が建てたものですか。
A昭和8年(1933年)、第一銀行頭取の石井健吾が別荘を構えた際に、本館・離れ・物置とともに清水組の設計施工で建てられました。
Q東山荘正門はいつ登録有形文化財になりましたか。
A平成28年(2016年)8月1日です。登録番号は22-0230、登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」で、敷地内の7棟が同じ日に登録されました。

基本データ

名称東山荘正門
所在地静岡県熱海市春日町1712-16
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年平成28年(2016年)8月1日登録
員数1棟
寸法木造、瓦葺、総間口3.6メートル(門口の間口1.8メートル)、南方潜戸付
所有者宗教法人世界救世教
公開状況外観は道路から見学可、敷地内は予約制公開(拝観料1,000円)

参考文献

国指定文化財等データベース「東山荘正門」(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00011145
国登録有形文化財 東山荘「建物について」(東山荘保存会)
https://touzansou.jp/about
国登録有形文化財 東山荘「見学申込み」(東山荘保存会)
https://touzansou.jp/application
文化財(世界救世教)
https://sekaikyuuseikyou.or.jp/culture

最終更新日: 2026.09.09