巴波川の東岸に建つ塚田家住宅旧主屋

栃木市倭町、巴波川の東岸に沿って細長く延びる屋敷地。そのほぼ中央に、塚田家住宅旧主屋が建つ。塚田家は弘化年間の創業と伝える材木問屋で、目の前を流れる巴波川から利根川を経て江戸へと木材を運び、財を築いた。現在の主屋は明治後期の建築とされ、河運で栄えた一族の全盛期の建築で、当時の暮らしぶりをよく残している。

建物は木造の総二階建。寄棟造・桟瓦葺の屋根をいただき、外壁は簓子下見板張とする。細い押縁で下見板を押さえるこの仕上げは、川沿いに商家が連なるこの町でしばしば見られる。建築面積は約177平方メートル。同じ屋敷地に並ぶ巨大な土蔵と比べれば、住まいとしての落ち着いた寸法にとどまる。

登録の理由と価値

旧主屋は平成12年(2000年)10月、第26回の登録で国の登録有形文化財に加えられた。登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」。この基準がここでは具体的な意味を持つ。主屋は単独で立つのではなく、同時に登録された板塀や土蔵など塚田家の五棟をまとめる中心にあたる。白漆喰と黒い板壁が水面沿いに連なる姿は、蔵の街の象徴的な景観の一つとなっている。

内部の見どころは、その抑制のきいた意匠にある。一階・二階とも庭側の三方に縁を廻し、八畳間を二室ずつ配して光と風を通す。床を備えた座敷は、細い部材と控えめな造作を旨とする数寄屋風の手法で繊細にまとめられており、川商人の実用の住まいとしては際立った洗練を見せる。

訪ねる楽しみ

旧主屋は現在、屋敷地を活用した私設博物館「塚田歴史伝説館」として公開されている。玄関を入ってまず出迎えるのは、三味線を奏でる語り部のロボット人形。栃木の歴史や巴波川の伝説を語る、少しレトロで独特の趣向の展示群の一部である。明治の住まいとの出会い方としては意表を突くが、それも含めて味わいたい。

展示の向こうに目を凝らせば、建物そのものが応えてくれる。三方を巡る縁側、数寄屋座敷の木目の細やかさ、通りではなく庭へと向かう間取りの構え。すぐ隣には巴波川の遊覧船乗り場があり、塚田家が築いた板塀や蔵を川面からゆっくり眺める舟遊びと組み合わせて訪れることができる。

Q&A

Q旧主屋はいつ建てられたのですか。
A明治後期、1868年から1911年ごろの建築とされます。塚田家自体は弘化年間(1844〜1848年)に材木問屋を興したと伝わります。
Q中を見学できますか。
Aはい。塚田歴史伝説館として公開されており、有料で入館できます。休館日は原則として月曜日です。
Q数寄屋風とはどのような意匠ですか。
A茶室の造りに由来する住宅様式で、細い部材と装飾を抑えた造作を特徴とします。旧主屋では床の座敷がこの手法でまとめられています。
Q他の塚田家の建物との関係は。
A旧主屋は屋敷の住まいの中核で、同じ敷地に土蔵群と川沿いの長い板塀が並びます。うち五棟が同じ登録を受けており、一体の屋敷構として見るのが良いでしょう。

基本情報

名称塚田家住宅旧主屋
所在地栃木県栃木市倭町2-16
指定区分登録有形文化財(建造物) 登録年月日:2000年10月18日
登録番号09-0044
年代明治後期(1868〜1911年)
構造・員数木造2階建、瓦葺、建築面積約177平方メートル/1棟
所有者一般財団法人塚田歴史伝説館
公開状況塚田歴史伝説館として一般公開(原則月曜休館)

References

国指定文化財等データベース — 塚田家住宅旧主屋
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00001890
文化遺産オンライン — 塚田家住宅旧主屋
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/186620
栃木市観光協会 — 塚田歴史伝説館
https://www.tochigi-kankou.or.jp/spot/tsukadarekishikan

最終更新日: 2026.07.03