明治42年上棟のL字型荷蔵

塚田歴史伝説館人形山車・銘木展示館(旧荷蔵)は、栃木県栃木市倭町2-16にある明治42年(1909年)上棟の倉庫建築で、平成12年(2000年)10月18日に国の登録有形文化財に登録された。登録番号は09-0051である。

屋敷地のほぼ中央に建ち、建築面積は約322平方メートル。塚田家の登録建造物のなかで最も大きい。平面はL字型で、中央に通路をもつ。この通路が建物の設計思想を決めている。荷を積み上げて仕舞い込む蔵ではなく、入れて出す蔵として造られた。

荷蔵という名称は用途そのものである。塚田家は弘化年間から巴波川を使った木材回漕を営み、明治後期にはこの屋敷地を通る荷の量がこれだけの規模の倉庫を必要とする水準に達していた。現在、内部には人形山車と銘木が展示されている。荷を扱っていた空間に材そのものが戻ってきた形になる。

キングポストトラスという選択

この建物の構造的な見どころは天井より上にある。小屋組はキングポストトラス、すなわち棟から中央の吊束を下ろし、垂木と陸梁を三角形に組んで支持する洋式の構法である。中間に柱を立てずに大きな幅を飛ばせる。明治期の官庁営繕や鉄道建築を通じて日本の大工に浸透し、明治42年には地方の商業建築にまで届いていた。

荷蔵にとって利点は明快だった。柱のない床は、その日の荷姿に合わせてどのようにも使える。伝統的な和小屋であれば床に柱が落ちる。文化庁のデータベースは小屋組をキングポストトラスと記し、明治42年の上棟としている。登録基準は「再現することが容易でないもの」である。

壁の作りも一度立ち止まって見る価値がある。土蔵に一般的な塗籠ではなく、基本的には真壁造として柱を見せ、外壁の一部を簓子下見板張とする。なお文化庁の構造欄は「土蔵造平屋建」と記載する一方、同じデータベースの解説文はこれを「2階建倉庫」と述べており、一次資料の内部で記載が一致していない。現地で確かめられる相違である。

登録の告示は平成12年11月6日。所有は一般財団法人塚田歴史伝説館である。

山車と銘木を見る

展示される人形山車は、栃木の秋祭りで町を巡行する形式のものである。高い車体の上に大型の人形を据え、蔵造りの町並みを引き回す。屋内に据えられていると、彫刻の刀跡や幕の織り、車輪の仕口といった細部を近い距離から見られる。巡行中の山車ではまず不可能な見方になる。

隣に並ぶ銘木は、家業との結びつきがより直接的だ。塚田家が扱った類の良材が、断面や木口を見せる形で置かれている。木の商いで建った家の、最も大きな倉庫に、木そのものが展示品として置かれている。

開館は9時30分から16時、入館受付は15時30分まで。休館日は月曜日(祝日の場合は翌日)と年末年始。入館料は大人700円、小人350円で、10名以上・30名以上の団体割引と、各種障害者手帳の提示による割引がある。

JR両毛線・東武日光線の栃木駅から徒歩約10分。敷地内に普通車15台、大型2台の駐車場がある。この建物は屋敷地の中央にあるため、東辺の受付棟から中庭を横切って向かうことになり、その道すがら8棟の登録建造物がどう配置されているかを俯瞰できる。撮影については、建物と展示品で扱いが異なる場合があるため受付で確認したい。

Q&A

Q塚田歴史伝説館人形山車・銘木展示館(旧荷蔵)はもともと何に使われていた建物ですか?
A木材回漕問屋であった塚田家の荷蔵、つまり荷を扱う倉庫でした。明治42年(1909年)の上棟で、中央に通路を設け、荷を通り抜けさせる構成をとっています。
Qキングポストトラスとは何ですか。塚田歴史伝説館の旧荷蔵になぜ使われているのですか?
A棟から中央の吊束を下ろして垂木と陸梁を結ぶ洋式の小屋組で、中間の柱なしに広い幅を架け渡せます。かさばる荷を扱う倉庫では床に柱が立たない利点が大きく、明治期に日本へ入った構法がここで採用されました。
Q塚田歴史伝説館人形山車・銘木展示館(旧荷蔵)の内部は見学できますか?
A見学できます。人形山車・銘木展示館として塚田歴史伝説館の観覧順路に含まれています。開館は9時30分から16時(受付15時30分まで)、月曜と年末年始が休館、入館料は大人700円、小人350円です。
Q塚田歴史伝説館の旧荷蔵に展示されている人形山車はどのようなものですか?
A栃木の秋祭りで蔵造りの町並みを巡行する形式の山車で、車体の上に大型の人形を据えます。屋内展示のため、彫刻や幕といった細部を近距離で観察できます。
Q旧荷蔵は塚田歴史伝説館のなかでどれくらいの大きさですか?
A建築面積は約322平方メートルで、L字型平面をとります。明治36年の展示館が約50平方メートル、大正5年の事務室・売店及び休憩所が約180平方メートルですから、屋敷内の登録建造物では最大規模になります。

基本情報

名称塚田歴史伝説館人形山車・銘木展示館(旧荷蔵)(つかだれきしでんせつかんにんぎょうだし・めいぼくてんじかん(きゅうにぐら))
所在地栃木県栃木市倭町2-16
指定区分登録有形文化財(建造物)/登録番号 09-0051
指定年平成12年(2000年)10月18日登録、同年11月6日告示
員数1棟
寸法土蔵造、瓦葺、建築面積約322平方メートル/L字型平面、小屋組はキングポストトラス/明治42年(1909年)上棟
所有者一般財団法人塚田歴史伝説館
公開状況公開(人形山車・銘木展示館として観覧順路に含まれる)。9時30分〜16時、受付15時30分まで。月曜休館・年末年始休館。大人700円、小人350円

参考文献

文化庁 国指定文化財等データベース「塚田歴史伝説館人形山車・銘木展示館(旧荷蔵)」
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00001897
文化遺産オンライン「塚田歴史伝説館人形山車・銘木展示館(旧荷蔵)」
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/114977
とちぎの文化財「塚田歴史伝説館人形山車・銘木展示館(旧荷蔵)」
https://bunkazai.pref.tochigi.lg.jp/cultural/【塚田歴史伝説館人形山車・銘木展示館(旧荷蔵】/
栃木市観光協会「塚田歴史伝説館」
https://www.tochigi-kankou.or.jp/spot/tsukadarekishikan

最終更新日: 2026.08.05