三棟を連結した大正5年の長屋建て
塚田歴史伝説館事務室、売店及び休憩所は、栃木県栃木市倭町2-16にある大正5年(1916年)建築の2階建建造物で、平成12年(2000年)10月18日に国の登録有形文化財に登録された。登録番号は09-0050である。
名称が長いのは、これが通常の意味での一棟ではないからである。塚田家屋敷地の東辺に沿って三つの建物が連結され、東西に長く一続きの桟瓦葺屋根の下に収まる。建築面積は約180平方メートル。登録上はこれで1棟として扱われている。
建設年代は建物自身が語る資料から確定した。部材に残された墨書によって大正5年の建設と判明しており、様式からの推定ではなく文字による裏づけがある。南隣に建つ展示館より13年遅く、屋敷内の登録建造物のなかでは新しい部類に入る。
「再現することが容易でないもの」という評価
登録有形文化財の登録基準は三つあり、この建物は「再現することが容易でないもの」で登録されている。屋敷中央の旧荷蔵と同じ基準である。評価の対象は美しさよりも手法にある。独立した三棟を一体の実用建築として結び、平面が変化する下で屋根の通りを崩さずにまとめる仕事は、当時の職人層と材の供給があって初めて成り立つものだった。
屋敷側から眺めると、その苦心が形になって見える。長い軒線を破風が断続的に切り、窓の配置が区画ごとに異なる寸法を与えるため、敷地の奥行きに匹敵する長さの建物が単調に落ちない。見るべきは継ぎ目である。一棟と次の一棟が出会う箇所で、軒がどう処理されているか。
栃木は日光例幣使街道の宿場町として、また巴波川の河岸として栄えた商都だった。大正5年といえば塚田家が木材回漕を始めてからおよそ70年。鉄道貨物が河川舟運を置き換えていく直前の時期に、これだけの規模の実用棟を新築できたという事実自体が、家の到達点を示している。
登録の告示は平成12年11月6日。所有は一般財団法人塚田歴史伝説館である。
来館者が最初に足を踏み入れる建物
この建物は現在、館の事務室・売店・休憩所として使われている。つまり来館者の大半は、他のどの蔵より先にここを通り、しかも自分がすでに登録文化財の内部にいることに気づかないまま通り過ぎる。券を買い、蔵芝居の開演を待ち、観覧後に腰を下ろす。その一連が大正5年の屋根の下で起きている。休憩所では商品棚ではなく天井を見上げてほしい。
開館時間は9時30分から16時、入館受付は15時30分まで。休館日は月曜日(祝日の場合は翌日)と年末年始。入館料は大人700円、小人350円。10名以上は大人600円、30名以上は大人500円・小人300円となる。各種障害者手帳の提示による割引もある。
JR両毛線・東武日光線の栃木駅から徒歩約10分。敷地内に普通車15台、大型2台の駐車場があり、蔵の街第1駐車場からも徒歩5分ほど。隣接して遊覧船の乗り場があるため、川からの眺めと合わせて回ることもできる。
撮影の可否と蔵芝居の上演時間は受付で確認するのが確実である。人形劇は時刻表に沿った定時上演ではなく、2名以上での観覧を条件に上演される方式をとっている。屋敷内には8棟の登録建造物があり、当日どこまで見られるかもここで尋ねられる。
Q&A
- 塚田歴史伝説館事務室、売店及び休憩所とはどのような建物ですか?
- 塚田家屋敷地の東辺に建つ大正5年(1916年)の登録有形文化財で、三つの建物を連結して東西に長い2階建としたものです。現在は館の事務室・売店・休憩所として使われています。
- 塚田歴史伝説館事務室、売店及び休憩所の大正5年という建設年はどのように確認されたのですか?
- 部材に残る墨書によって判明しました。墨書は工事の際に大工が書き残した記録で、様式からの年代推定より確度の高い根拠になります。
- 塚田歴史伝説館事務室、売店及び休憩所には入館料を払わずに入れますか?
- 受付と売店の部分は券を求める場所ですので、入口側には立ち入れます。その先の展示蔵を観覧するには入館料(大人700円、小人350円)が必要です。
- 塚田歴史伝説館の休館日はいつですか?
- 月曜日(祝日の場合は翌日)と年末年始です。開館は9時30分から16時、入館受付は15時30分まで。臨時休館が入ることもあるため、遠方から向かう場合は事前に電話で確認することをおすすめします。
- 塚田歴史伝説館には登録有形文化財が何棟ありますか?
- 屋敷地には旧主屋をはじめ8棟の登録建造物があります。このうち登録番号09-0049の展示館(明治36年)、09-0050の事務室・売店及び休憩所(大正5年)、09-0051の旧荷蔵(明治42年)は平成12年10月18日に同時に登録されました。
基本情報
| 名称 | 塚田歴史伝説館事務室、売店及び休憩所(つかだれきしでんせつかんじむしつ、ばいてんおよびきゅうけいじょ) |
|---|---|
| 所在地 | 栃木県栃木市倭町2-16 |
| 指定区分 | 登録有形文化財(建造物)/登録番号 09-0050 |
| 指定年 | 平成12年(2000年)10月18日登録、同年11月6日告示 |
| 員数 | 1棟 |
| 寸法 | 土蔵造2階建、瓦葺、建築面積約180平方メートル/大正5年(1916年) |
| 所有者 | 一般財団法人塚田歴史伝説館 |
| 公開状況 | 塚田歴史伝説館の事務室・売店・休憩所として使用中。9時30分〜16時、受付15時30分まで。月曜休館・年末年始休館 |
参考文献
- 文化庁 国指定文化財等データベース「塚田歴史伝説館事務室、売店及び休憩所」
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00001896
- 文化遺産オンライン「塚田歴史伝説館事務室、売店及び休憩所」
- https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/178116
- とちぎの文化財「塚田歴史伝説館事務室、売店及び休憩所」
- https://bunkazai.pref.tochigi.lg.jp/cultural/【塚田歴史伝説館事務室、売店及び休憩所】/
- 栃木市観光協会「塚田歴史伝説館」
- https://www.tochigi-kankou.or.jp/spot/tsukadarekishikan
最終更新日: 2026.08.05