巖華園新蔵とは

巖華園新蔵は、栃木県足利市月谷町の巖華園にある文久2年(1862年)建築の土蔵で、平成17年(2005年)に国の登録有形文化財に登録された。

主屋の西、蔵の北に位置する。桁行4間半、梁間2間半の土蔵造2階建で、建築面積は40平方メートル。屋根は切妻造の置屋根を桟瓦葺とし、外壁は白の漆喰塗、腰まわりを黒漆喰で塗り分けている。

名前は「新蔵」だが、巖華園の土蔵のなかでは古いほうに属する。すぐ南に建つ「蔵」は明治中期の建物で、新蔵より新しい。名前の由来を示す記録は確認できていない。

巖華園新蔵が登録された理由

巖華園新蔵の登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」である。巖華園の登録7棟のなかで、建築年が墨書によって年単位で確かめられるのはこの新蔵だけで、ほかの6棟は「江戸末期」「明治中期」といった幅で示されている。

根拠は小屋束に残された墨書である。小屋束は屋根裏で梁の上に立ち、棟木や母屋を支える短い柱で、建てる際に大工が年号や施主の名を書き残すことが多い。文化庁の解説は、この墨書によって建設年代を文久2年としている。

置屋根は、土蔵の本体とは別に木造の屋根を載せる形式で、塗り込めた土壁の上にもう一枚の屋根をかぶせることで、防火と雨仕舞いを両立させる。白と黒の漆喰の塗り分けと合わせて、関東の土蔵が江戸末期に備えていた装いをよく伝えている。

巖華園新蔵の見どころ

白壁と黒い腰

巖華園新蔵の外壁は、上部の白漆喰と腰の黒漆喰がくっきり分かれている。黒漆喰は煤や墨を混ぜた漆喰で、磨き上げると艶が出る。雨の跳ね返りが当たる腰を黒で仕上げるのは、汚れを目立たせない工夫でもある。

両開きの漆喰戸

戸口は南面の西寄りにあり、両開きの漆喰塗の扉を吊る。土蔵の扉は火事の際に閉じて中の品を守るためのもので、壁と同じく厚く塗り込められている。

2階の窓の向き

巖華園新蔵の2階には、南面と東面に窓が開く。主屋のある東と、日の入る南に向いた配置である。

巖華園新蔵の見学方法

巖華園新蔵は主屋の背後、敷地の西寄りに建つため、表門からは見えない。主屋の西側へ回ると、南の蔵と並ぶ位置関係で見ることができる。巖華園は旅荘として営業しており、会食や宿泊で訪れた際に敷地内を歩けるか、見学のみの訪問が可能かは、事前に電話で確認したい。

内部の公開について案内は出ていない。撮影は宿に確認してから行いたい。

Q&A

Q巖華園新蔵はいつ建てられましたか?
A小屋束に残る墨書から、文久2年(1862年)の建築とされています。平成17年(2005年)に国の登録有形文化財に登録されました。
Q巖華園新蔵は名前のとおり新しい蔵なのですか?
Aいいえ。江戸末期の建物で、明治中期に建った「巖華園蔵」より古い蔵です。名前の由来を示す記録は確認できていません。
Q巖華園新蔵の大きさと構造は?
A桁行4間半、梁間2間半の土蔵造2階建で、建築面積は40平方メートルです。屋根は切妻造の置屋根を桟瓦葺としています。
Q巖華園新蔵の外観の特徴は何ですか?
A白漆喰の壁に黒漆喰の腰を塗り分けた外壁と、南面西寄りの戸口に吊られた両開きの漆喰塗の扉です。
Q巖華園新蔵はどこから見られますか?
A主屋の西側、蔵の北に建っています。表門からは見えないので、主屋の背後へ回る必要があります。敷地内を歩けるかは事前に電話で確認してください。

基本情報

名称巖華園新蔵(がんかえんしんぐら)
所在地栃木県足利市月谷町8
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年平成17年(2005年)登録
員数1棟
寸法土蔵造2階建、瓦葺、建築面積40平方メートル
所有者個人(中島家)
公開状況旅荘の敷地内。見学の可否は事前に電話で確認

参考文献

文化庁 国指定文化財等データベース「巖華園新蔵」
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00004517
文化遺産オンライン「巖華園新蔵」
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/117597
文化庁 国指定文化財等データベース「巖華園蔵」
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00004516
足利市「巖華園 主屋・蔵・新蔵・好時亭(旧外蔵)・巖華園倶楽部(旧馬屋)・ゲストハウス(旧書院)・表門」
https://www.city.ashikaga.tochigi.jp/education/000029/000169/000627/p000814.html

最終更新日: 2026.09.25