青木家住宅とは

青木家住宅は、徳島県美馬市美馬町にある大正4年(1915年)建築の屋敷で、主屋・土蔵2棟・倉庫・納屋・門・土塀・煉瓦塀の8件が平成10年(1998年)に国の登録有形文化財に登録された。読みは「あおきけじゅうたく」。美馬市の観光サイトでは「青木邸」とも書かれる。

敷地は3,590平方メートル。その外周を土塀と煉瓦塀が閉じ、美馬市は塀の高さを約2メートルと紹介している。屋敷は現在、美馬市が所有し、市の施設として管理されている。

藍の農家から建設業へ、青木家住宅の成り立ち

文化庁のデータベースは、青木家をもと藍の生産を行った農家で、近代に入って建設業を営み栄えた家と記す。敷地の北西にある土蔵2棟は、どちらも藍の生産に使った蔵と解説されている。

美馬市の観光サイトは、建て主の側から別の話を伝える。青木伊三郎が長崎から妻の故郷であるこの町へ戻り、大正4年(1915年)に隠居のための住まいとして建てたという。隠居所にしてはかなり広く、妻のコキクは老後、広い庭の草を朝から夕方まで竹べらで抜くのを日課にしていたと言われる。

その後、青木家住宅は30数年にわたって空き家となった。平成4年(1992年)、大阪に住む青木夫妻から地元の旧美馬町へ寄贈される。平成10年(1998年)10月9日、主屋から煉瓦塀までの8件がそろって登録有形文化財となった。

平成17年(2005年)の合併で美馬町が美馬市の一部になると、同じ年に「青木家住宅設置条例」が定められた。条例は、国登録文化財の保護と市民文化の向上、市内外との交流による地域の活性化をこの施設の目的に掲げ、管理を美馬市教育委員会に委ねている。

青木家住宅の8件と登録

青木家住宅の8件は、平成10年(1998年)10月9日付で同時に登録された。第14回の登録で、登録番号は36-0010から36-0017まで続く。登録基準は主屋が「造形の規範となっているもの」、残る7件が「国土の歴史的景観に寄与しているもの」である。文化庁のデータベースに載る構造と規模は次のとおり。

  • 主屋(36-0010):木造2階建、瓦葺、建築面積149㎡
  • 土蔵(1)(36-0011):土蔵造2階建、瓦葺、建築面積30㎡
  • 土蔵(2)(36-0012):土蔵造2階建、瓦葺、建築面積50㎡
  • 倉庫(36-0013):木造2階建、瓦葺、建築面積104㎡
  • 納屋(36-0014):木造平屋建、瓦葺、建築面積40㎡
  • 門(36-0015):木造四脚門、瓦葺
  • 土塀(36-0016):延長44m
  • 煉瓦塀(36-0017):煉瓦造、延長42m

8件とも年代は大正4年(1915年)とされる。母屋だけでなく、蔵・作業用の建物・門・塀まで、同じ時期に整えられた屋敷構えが一式で残っている点に、青木家住宅の登録の意味がある。

青木家住宅の屋敷構え

主屋は敷地のほぼ中央に建つ。美馬市によると、入母屋造の2階建てで、間口は十一間(約20メートル)、奥行きは六間(約11メートル)。座敷、中の間、帳場、土間、寝室、台所、かま屋からなる八間取りという。

主屋の西には納屋があり、その先、敷地の西の縁を倉庫が南北に長く区切る。北西の隅にはL字形の土蔵(2)が建ち、その東に土蔵(1)が続いて、北側の道路に蔵の壁を見せる。主屋の北、道路に面した位置に建つのが四脚門で、文化庁の解説は、もとは庭を通って主屋の座敷へ向かう裏側の門だったとする。

境の塀も2種類ある。北側の道路沿いと東側は石積みの上に立つ土塀、南側は煉瓦塀で、煉瓦塀の東の部分は屋敷へ上がる斜路に沿って登っていく。青木家住宅の各棟と塀の造りは、それぞれのページで詳しく扱う。

青木家住宅の見学とアクセス

青木家住宅は資料館ではなく、催しの会場として使われる市の施設である。美馬市の観光サイトは、町おこしを考える座談会、華道教室、舞踏と三味線の集い、結婚披露宴などの例を挙げる。定期的な公開日や開館時間の案内は、市のサイトには見当たらない(2026年10月1日確認)。

条例では、使用料は原則として無料である。令和6年(2024年)4月1日からは営利目的の使用も認められ、その場合は1か月の売上額の10パーセント以内で規則が定める額を納め、電気・水道などの費用も負担する。内部を見たい場合や会場として使いたい場合は、文化財の窓口である美馬市教育委員会の地域学習推進課(電話0883-52-8011)へ事前に問い合わせたい。

外から見える部分も多い。北側の道路を歩くと、土塀、四脚門、土蔵の壁が順に現れ、青木家住宅の屋敷の規模がつかめる。写真撮影の決まりについて公式の案内は無いため、敷地に入る機会があれば、その場で確かめるのがよい。

訪ねるには車が便利である。観光情報サイトの案内では、徳島自動車道の美馬インターチェンジから車で約10分、JR徳島線の阿波半田駅から車で約5分とされる。駅は吉野川の対岸にあるため、駅からはタクシーを使うことになる。

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁)青木家住宅主屋
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00000907
国指定文化財等データベース(文化庁)青木家住宅土蔵(1)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00000908
国指定文化財等データベース(文化庁)青木家住宅土蔵(2)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00000909
国指定文化財等データベース(文化庁)青木家住宅倉庫
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00000910
国指定文化財等データベース(文化庁)青木家住宅納屋
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00000911
国指定文化財等データベース(文化庁)青木家住宅門
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00000912
国指定文化財等データベース(文化庁)青木家住宅土塀
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00000913
国指定文化財等データベース(文化庁)青木家住宅煉瓦塀
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00000914
美馬市観光サイト 青木家住宅(あおきけじゅうたく)〔国登録有形文化財〕
https://www.city.mima.lg.jp/kanko/map/list/4050.html
美馬市観光サイト 青木家住宅
https://www.city.mima.lg.jp/kanko/map/list/11530.html
美馬市例規集 青木家住宅設置条例
https://www.city.mima.lg.jp/reiki_int/reiki_honbun/r096RG00000546.html
じゃらんnet 青木家住宅
https://www.jalan.net/kankou/spt_36207ae2182065966/

最終更新日: 2026.10.01

基本情報

名称青木家住宅(美馬市)
所在地徳島県美馬市美馬町字宮前225
所有者美馬市
指定登録有形文化財 8件
座標34.04640, 134.00469