高橋家住宅(徳島市)とは
高橋家住宅は、徳島県徳島市南矢三町にある、寛政11年(1799年)建築の主屋を中心とした藍製造農家の屋敷で、主屋・藍寝床(東納屋)・西納屋・蔵・表門・練塀の6件が平成11年(1999年)8月23日に国の登録有形文化財に登録された。読みは「たかはしけじゅうたく」。
同じ名前の文化財は青森県黒石市や大阪府和泉市などにもあるため、このサイトでは徳島市の高橋家住宅を「高橋家住宅(徳島市)」と表記している。6件はいずれも個人の所有で、徳島県の文化財一覧も所有者を「個人所有」としている。
藩士の家が藍をつくった屋敷
文化庁のデータベースによると、高橋家はもと徳島藩の藩士で、明治維新ののちにこの土地と家屋を買い取り、藍の製造を始めたと伝えられている。主屋は棟札から寛政11年(1799年)の建築と分かっており、高橋家が住むようになる少なくとも70年ほど前から建っていた家ということになる。
一方、藍寝床(東納屋)・西納屋・蔵の3棟は明治初期、表門と練塀は明治20年代(1887年〜1896年)の建築とされる。江戸時代の農家を買い取った元藩士の家が、まず藍の作業棟と蔵を整え、その後に屋敷の正面を武家風の門と塀で構えた、という順序が年代から読み取れる。どの棟を誰が建てたかを記した資料は、今回調べた範囲では見つかっていない。
徳島で「寝床」と呼ぶのは、刈り取って乾かした藍の葉に水を打ち、100日ほどかけて発酵させて染料の蒅(すくも)をつくる作業場である。藍住町の解説では、寝せ込みから仕上げまで、山に積んだ葉を20回ほど切り返すという。高橋家住宅の6件のうち3棟がこの藍づくりに使われた建物で、文化庁は藍寝床を、藍製造農家の屋敷構えを示す主要な建物のひとつと解説している。
高橋家住宅の6件と屋敷の配置
高橋家住宅の6件は、平成11年(1999年)8月23日付の第19回登録で同時に登録された。登録番号は36-0022から36-0027まで続く。登録基準は、主屋が「造形の規範となっているもの」、練塀が「再現することが容易でないもの」、残る4件が「国土の歴史的景観に寄与しているもの」である。文化庁のデータベースに載る構造と年代は次のとおり。
- 主屋(36-0022):木造平屋建、瓦葺、建築面積138平方メートル。寛政11年(1799年)
- 藍寝床(東納屋)(36-0023):木造2階建、瓦葺、建築面積121平方メートル。明治初期
- 西納屋(36-0024):土蔵造平屋建、瓦葺、建築面積58平方メートル。明治初期(解説文は2階建と記す)
- 蔵(36-0025):土蔵造平屋建、瓦葺、建築面積60平方メートル。明治初期(解説文は2階建と記す)
- 表門(36-0026):木造一間薬医門、瓦葺。明治20年代
- 練塀(36-0027):練塀、瓦葺、延長39.1メートル。明治20年代
屋敷の中央に主屋があり、敷地の正面中央に表門が立つ。練塀は表門の左右へのび、西側は折れて西納屋の南面に、東側は東納屋(藍寝床)の西面に取り付く。つまり正面は、西納屋・練塀・表門・練塀・東納屋が一続きになって屋敷を閉じている。主屋の南東、敷地の南東隅が藍寝床、南西の西境が西納屋、主屋の北方、敷地の北西隅が蔵という配置である。
西納屋と蔵は、石を高く積んだ基礎と小さく少ない窓をもつ点でよく似ていると文化庁は解説している。屋敷を歩く人は、正面の門と塀で武家の出自を、その奥の作業棟と蔵で藍の家業を見ることになる。
高橋家住宅を訪ねるとき
高橋家住宅は個人の住まいで、一般公開の日程や見学の受付は、2026年10月時点で公式の案内が見つからなかった。敷地や建物の中に入ることは考えず、見学は外からにとどめたい。訪ねる場合も、住人の暮らしを妨げないよう、門前に長く立ち止まったり、車を停めたりしないことが大切である。
所在地は徳島市南矢三町2-5-22。最寄りの駅はJR徳島線の蔵本駅で、高橋家住宅は駅の北東、地図上の直線距離でおよそ700メートルの位置にある。各棟の見どころと外から見るときの目安は、それぞれの棟のページにまとめた。
参考文献
- 文化庁 国指定文化財等データベース「高橋家住宅主屋」
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00001300
- 文化庁 国指定文化財等データベース「高橋家住宅藍寝床(東納屋)」
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00001301
- 文化庁 国指定文化財等データベース「高橋家住宅西納屋」
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00001302
- 文化庁 国指定文化財等データベース「高橋家住宅蔵」
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00001303
- 文化庁 国指定文化財等データベース「高橋家住宅表門」
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00001304
- 文化庁 国指定文化財等データベース「高橋家住宅練塀」
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00001305
- 文化遺産オンライン「高橋家住宅主屋」
- https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/186030
- 徳島県「国・県指定文化財件数一覧(令和7年(2025年)9月26日時点)」
- https://www.pref.tokushima.lg.jp/file/attachment/1072671.pdf
- 藍住町「すくもの加工」(藍住町歴史館 藍の館)
- https://www.town.aizumi.lg.jp/ainoyakata/sukumono.html
最終更新日: 2026.10.02
基本情報
| 名称 | 高橋家住宅(徳島市) |
|---|---|
| 所在地 | 徳島県徳島市南矢三町2-5-22 |
| 所有者 | 個人 |
| 指定 | 登録有形文化財 6件 |
| 座標 | 34.08264, 134.52524 |