摩尼山とは

摩尼山は、鳥取県鳥取市にある標高357メートルの山で、平安時代後期までに開かれた摩尼寺の境内を成す天台宗の霊山であり、平成28年(2016年)10月3日に国の登録記念物(名勝地関係)に登録された。

読みは「まにさん」。摩尼寺の山号から喜見山(きけんざん)とも呼ばれる。文化庁のデータベースによる登録面積は36万7296平方メートル。山腹の境内の堂宇から、旧参道、歴代住職などの墓所、山頂近くの奥の院と立岩までを含む広い範囲である。

文化庁の解説によれば、摩尼山は大山・三徳山と並ぶ鳥取県内の天台宗の拠点的な霊山で、因幡に暮らす人々が亡くなって彼岸へ旅立つとき、魂がいったんとどまる場所として信仰を集めてきた。

摩尼山が登録された理由

摩尼山は、自然の名勝地として登録された。文化庁が評価したのは、巨巌と岩窟から成る奥の院の奇景と、日本海や鳥取砂丘を一望する鷲が峰(立岩)の眺めである。立岩はこの地域を代表する展望地点として長く親しまれてきた。山内に点在する多くの石仏も、独特の風致を添えるものとして挙げられている。

山の成り立ちも解説に記されている。摩尼山は新第三紀の安山岩質の岩脈・岩頸を基盤とし、落葉広葉樹と照葉樹を主とする自然林に覆われる。山頂付近では凝灰岩質の巨巌や岩体が地表に現れており、これが奥の院の景観をつくっている。

名前の由来には伝承がある。天和3年(1683年)の摩尼寺の縁起書は、唐から帰った円仁が、八枚の蓮の花弁のように峰が分かれた山頂の形に目を留めて寺を開いたと伝える。須弥山の頂の喜見城に住む帝釈天が、摩尼宝珠を手に立岩へ降り立ったという話から、喜見山摩尼寺の名が付いたという。

発掘調査の成果は、摩尼山が遅くとも平安時代後期には開かれていたことを示している。鳥取環境大学が2010年に行った奥の院遺跡の発掘では、山上の境内は10世紀後半以降に営まれたとされた。文化庁の解説によれば、奥の院では聳える巨巌をえぐって岩陰や岩窟を設け、平場や階段を削り出し、崖に張り出す懸造の仏堂などを建てていた様子が確かめられている。

摩尼山の見どころ

摩尼山の見どころは、山腹の摩尼寺境内から山道を上った先にある。寺の公式サイトによれば、境内からは立岩、奥の院、賽の河原へ向かう山道が整えられている。寺は立岩をかつての鐘楼と三祖堂の跡、奥の院を洞穴、賽の河原を楼門の跡と案内している。

立岩(鷲が峰)は摩尼山でいちばんの展望地である。文化庁のデータベースには、立岩から見下ろす日本海の写真が収められている。眼下に日本海と鳥取砂丘が広がり、摩尼山が砂丘のすぐそばにそびえる山であることが実感できる。

奥の院では、巨巌そのものに目を向けたい。岩肌をえぐった岩陰や、削り出された平場と階段は、かつてここに堂が建っていたことの手がかりになる。鳥取環境大学の調査報告(2015年)によれば、山上にあった閻魔堂と三祖堂は昭和戦後に山麓の境内へ移されたが、向拝などに山上の古材が使われている。

石段の参道沿いや山道に点在する石仏も、摩尼山の風致の一部として登録の評価に含まれている。上り下りの途中で足を止めて見ていきたい。

摩尼山の見学

摩尼山へは摩尼寺の境内から入る。寺の参拝時間は公式サイトで午前9時から午後4時30分まで。山道は自然の地形を歩く道なので、滑りにくい靴と飲み水を用意したい。雨の後は岩場が滑りやすくなる。

立岩や奥の院までの所要時間、山道の通行に寺への届け出が要るかどうかは、寺の公式サイトにも鳥取市の案内にも記載が見当たらない。山に入る前に寺務所で道の状況を確かめておくと安心である。境内への行き方と参拝の条件は摩尼寺のページにまとめてある。

Q&A

Q摩尼山はいつ登録記念物になりましたか?
A平成28年(2016年)10月3日に、登録記念物(名勝地関係)として登録されました。登録面積は36万7296平方メートルです。
Q摩尼山と摩尼寺はどのような関係ですか?
A摩尼山は摩尼寺の境内を成す山です。山腹に本堂などの堂宇が建ち、山頂近くには奥の院と立岩があります。摩尼寺の本堂・山門・鐘楼は登録有形文化財で、登録記念物の範囲の中にあります。
Q摩尼山の立岩からは何が見えますか?
A鷲が峰とも呼ばれる立岩からは、日本海と鳥取砂丘を一望できます。文化庁はこの地域を代表する展望地点と評価しています。
Q摩尼山の奥の院とはどのような場所ですか?
A山頂付近の巨巌と岩窟から成る場所で、かつて摩尼寺の境内が置かれていました。巨巌をえぐった岩陰や岩窟、削り出した平場や階段、懸造の仏堂の跡が発掘調査で確かめられています。
Q摩尼山は登れますか?
A摩尼寺の境内から立岩・奥の院・賽の河原へ向かう山道が整えられています。所要時間や通行の条件は公式の案内に記載がないため、寺務所で確かめてから入山してください。

基本情報

名称摩尼山
所在地鳥取県鳥取市
指定区分登録記念物(名勝地関係)
指定年平成28年(2016年)10月3日登録
員数1所
寸法面積367296平方メートル(標高357メートル)
所有者不明(文化庁データベースに記載なし)
公開状況摩尼寺の境内から山道あり(参拝時間は午前9時〜午後4時30分)。通行条件は寺に要確認

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁):摩尼山
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/411/00003962
文化遺産オンライン:摩尼山
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/273892
鳥取環境大学紀要 第13号(2015年):摩尼寺建造物の調査(PDF)
https://www.kankyo-u.ac.jp/f/introduction/publication/bulletin/013/079-097.pdf
天台宗安楽律法流 喜見山 摩尼寺(公式サイト)
https://kikennzan-mani.com/

最終更新日: 2026.10.04